第52話 目覚めの朝
D01-48
チュンチュン、
朝か……。
寝ぼけ眼のオレは天井を見る。
なんか、凄いな……。
黄色い石のブロックが弧を描くように組まれている。
段々になっており、中心に行くほど天井が高くなっている。
そして中心、丁度オレの目の前が中心だ。
ここってどこなのでしょうね。
それに、なんなのだろうな、この感触。
右脇腹から右膝にかけて妙に熱いものが当たっている。
身じろぎすると分かるが、完全にくっついている訳でもないらしく、僅かに空気が入り込んでくることがある。
まあ、昨夜の状況から考えると、いきなり倒れてしまったみたいだからな。
随分心配をかけただろうし、色々看病してくれたのだろうな、主にヤズナかシルコワが。
まあ、オレが最後に見たのは沙耶さんだったし、心配して色々言ってくれたのは覚えているけどね。
ということはこの熱源は……。
身体の一部に、生理現象で血流が集まっている場所があったが、そこが更に硬度が増した気がした。
軽く柔らかい掛け布団〈羽毛布団か? 〉を開いて中を覗こうとすると、布団の下から手が伸びて、オレの喉仏の上、顎のすぐ下あたりを掴んだ。
「動かないでね、草次君」
布団の内側にある毛布の隙間から、くぐもった声が聞こえてくる。
声からは誰かを特定できないが、こ、この呼び方はもしかして……。
オレは右半身に全神経を集中させる。
右太腿にザラザラしたものが触れているのが判った。
ピクリ。
右腕を動かす。
右腕は布団の中にあった。
右腕を身体の方に引き寄せる。
「ひゃっ」
汗ばんだ人肌に触れた。
にもかかわらず、オレの身体のどこにも手が触れた感触がないので、やはり、オレの身体の一部ではないのだろう。
脇にさらさらしたものが時節触れてくすぐったい。
汗ばんだ肌をオレの方に寄せて圧力をかけ、右脚を動かして片方の脚を絡めとる。
「ちょ、ちょっと、草次君? 」
細かいことはいい、今はこの奇跡を逃してなるかぁ。
掛け布団と掛け毛布をバッと跳ね上げられ、熱源は消失した。絡め取ったはずの脚も器用に外されている。
オレは身を起こし、本能で後を追う。
白い後ろ姿が視界の端に見えた。
やけに大きいベッドから出ようとすると、人影がオレの視界を遮った。
誰だっ、オレの邪魔をするのは。
荒ぶる心で人影を睨みつける。
ヤズナだった。
「ご主人様、おはようございます」
-「無事、回復されて何よりでございます」
「ああ、迷惑かけたね…」
「お召し物をと思いましたが、まずは汗で濡れた肌を拭った方がよろしいでしょうね」
オレは下を見た。
全身には、何も着けていなかった。
しかも一部、臨戦態勢のおまけつき。
「ああ、そうだな……」
バツが悪くなったオレは、何も言えなくなった。




