第42話 夜宴会
思いついたファンタジー食べ物をぶっこんでみました。(三部作)
D01-39
ここは急遽設営された宴会場だ。
辺りはすっかり暗くなっており、所々にある篝火が夜の森の木々を照らす。
テーブル上には様々な料理が並べられていた。
オレは最上段に据えられ、シルコワに甲斐甲斐しく世話をされている。
手長猩猩たちも思い思いに料理を手にとって食べている。
うわぁ、オレには許容できない食べ物もあるな。
今、手長猩猩が摘まみあげて美味そうに食っているのは、何かの幼虫だな。
オレの拳ほどもある大きな幼虫で、湯気が立ち、汁が垂れていることから、煮てあるのか?
花瓶のような縦長の陶器の壷に入っていたようだな。
拳大幼虫の壷煮ってところか。
大皿に盛られているあれはなんだ?
長い木串が二本刺さっているな。
何かの蒲焼きのようだ。
おお、手に取った奴がいるぞ。
うへぇ、あの形はムカデだ。
うわっ木串ごとバリバリ食っているぞ。
小皿に盛られた緑の丸い物は果物かな?
マスカット一粒ほどの大きさでオレでも食べられそうだ。
少し小柄の手長猩猩が掴みとろうとしているな。
な、なんだ? たくさんの脚が生えてきたぞ。
それだけでなく、上部が割れて羽が出てきて飛び始めたぞ…。
ってか虫かよ?
小柄な手長猩猩が何度も掴もうとして、逃げられているようだ。
周りを見ると、両隣にはヤズナと沙耶さんがいる。
オレたちは50体前後の手長猩猩の重鎮どもに囲まれていた。
死骸を回収する時に判っていたことだが、奴らは大概オレたちより大きく(平の戦闘員でもオレの3倍くらいある)最上段にいても見下ろされている気分になる。
といっても、鬼岩の大猪のときも思ったが、数値ほどの大きさの差は感じない。
まあ、体格値64でも実際には縦、横、高さがそれぞれ4倍ってことだからな。
周囲の様子をうかがうと、沙耶さんはシルコワタイプの女性たちと二言、三言、言葉をかわしているようだ。
おお、沙耶さん、意思の疎通ができているぞ。
異世界の言葉が解るのか、スゲーな。
と思ったが、耳を済ませると、何故かオレにも理解できた。
異世界人がデフォルトで持ってる(持たされてる?)、異世界言語理解が働いているみたいだな。
ヤズナの方は凄いことになっている。
ヤズナより遥かに大きい、大の男どもが、ヤズナに向かってヘコヘコしている。
緊張のあまり、汁物が入った器を取り落とし、周囲から折檻を受けながらも、泣きながら掃除している奴までいる。
ヤズナはそれほど口を動かしているように見えないのに、目の前の大きな器がどんどん空になり、旺盛な食欲っぷりを見せているようだ。
考えてみれば、今の状況はヤズナ一人で生み出したもの、オレはやさしい視線でヤズナを見守った。
そうだヤズナ、もりもり食べろよ。
ちょんちょんとつつかれる。シルコワだ。
彼女は手に持った器から、柄の長い、先端がバネのような形状の食器(バネのように伸縮はしない)に一口大の肉を刺し、食べさせてくれようとする。
彼女はさっきから、異常にオレにかまいたがる。オレが少し現実逃避しても仕方ないよね。
(いや、そんな気遣いはいいよ、自分で食べるよ)
オレが意志を示すと、彼女はしょんぼりした様子で器と食器を渡してくれる。
なんか悪いことしたかな、そう思いつつも、ホッとして器と食器を受け取る。
オレは食器を改めてじっくり見た。
変な形状だよな、ワインのコルクを抜くやつに似ている。
オレは急に笑いがこみあげてきた。
先がバネになっていたら汁とか飛び散って大変だったろうな。
食べようとしたら刺さっている食材が逃げて、反動でほっぺたに当たったりしてな。
まわりじゅう大惨事だったろうぜ。
オレが、先端が螺旋状の食器に思いを馳せていると、
「どうかなさいましたか? 」
シルコワがオレの顔を窺うように上目使いで尋ねてきた。
オレは
「なんでもないよ」
と言って、刺された肉を口に入れた。




