第41話 彼女なりの優しさ
D01-38
「ま、待ってくれ、沙耶さんっ」
オレは沙耶さんに、オレの心配事を話した。
寄生虫とか大丈夫だろうか、とか、こっちにそういう概念あるのかな、とか。
ボソボソと小さい声で。
本当はこんなことしてもヤズナには筒抜けだろうが、なぜか、今ならいける。
そんな根拠のない自信がオレを支配していた。
じとっとした目でオレの話を聞いていた沙耶さんだったが、
「また、そんな小さいことを気にして…」
-「女の子が持って来てくれた水を掛けて、つぶれてしまう程度の目なら、そんな目つぶれちゃいなさいよ」
「え? 」
-「え? 」
混乱するオレに水をぶっ掛ける沙耶さん。
「つめた」
思わず声が出た。
「ね、大丈夫だったでしょ? 」
沙耶さんの赤い瞳が戸惑ったオレを映し出す。
「…あ、……ああ…」
何時の間にかヤズナがすぐ側にいて、布を渡してくれた。
「沙耶、あまりご主人様に乱暴しないでください」
「そうね、少し乱暴だったかもしれないわね、悪かったわ、草次君」
沙耶さんのそんな言葉を聞きながら布で顔を拭った。
アレ?
布が水を吸わないような…、顔に水が掛かっていない?
「草次君、髪のほうに多く掛かっちゃったみたいだから、そっちも拭きなさいよ、風邪を引いてしまうかもしれないわ」
オレは布を一度髪に当てたが、これでは非効率だなと思い直し、布を広げてわしゃわしゃと拭き始めた。
やはりただの布だからか、吸水率は高くない。
布を何度か絞って髪の水気を取ることに専念する。
「もう、いいのではないですか? 」
「…ん、そうかな? 」
布をどうしようかと思ったが、いつのまにか自然な形でヤズナが布を受け取ってくれていたようだ。
うん、少し湿っているけど、このくらいなら、すぐ乾くだろう。
乱れた髪をヤズナが手櫛で整えてくれる。
「いたれりつくせりね、草次君」
最後に沙耶さんにからかわれた。




