第39話 事後報告・3
D01-36
「あら、こんなところにいたのね? 」
背後から声をかけられオレはビクッとした。
処置は間に合ったようだ。
オレはインベントリに涙を入れ終えていた。
少し鼻声になっているかもしれないが、
泣いていたとは判るまい、……多分。
満を持して振りかえり、声の主を確かめる。
「沙耶さん、肉の方はいいんですか? 」
「熟成させるから、わたしのインベントリでは、むしろ使いにくいそうよ」
-「それよりなんだか目が赤いようだけど、どうかしたの? 」
「え、ええ、急に目がかゆくなって…」
「大丈夫なの、未知の毒虫にでもやられていたら大事よ? 」
-「ここは異世界なんだから、用心しないと」
「ええ、ヤズナに見て貰いましたが、なんともなかったみたいです、一応、川で水を汲んできてくれるそうです」
「……あ、…また……、いえ、それでヤズナもいないのね」
(ヤズナ、頼むぞ、話を合わせてくれよ)
オレはヤズナに強く念じる。
「肉のことですが、今から熟成するとなると、すぐには食べられないということですか? 」
話を逸らす意味合いも込めて肉に興味があるフリをする。
沙耶さんはホッと小さく溜息をついて、
「今回は魔法でなんとかするようよ、本当は自然に熟成させた方が美味しいらしいけれど」「…それで、なにか用ですか? 」
「シルコワに様子を見てきてと頼まれたの、お邪魔だったかしら? 」
「…もちろん、そんなことあるわけありませんっ!」
「…まあ、いいわ」
-「それで、二人して何の話をしてたの? 」
「今後、手長猩猩にどう対処していくかの確認です」
-「聞きましたか、手長猩猩はヤズナが倒した者も含めると、1456体もいたそうですよ? 」「そうみたいね、詳しい数字までは聞いてなかったけど」
「彼らは今後、オレたちの下について、貢物やら上納金やらをくれるそうですよ」
「全部ヤズナのおかげね」
-「まったくヤズナは凄いわね、そんなヒトがどうしてこんな、…草次君みたいな人に付き従っているのかしら」
「そこらへんの理由は、まだ聞いてないんですけどね」
-「ゆっくり落ち着くまではダンジョンマスターだから、という理由で納得しておきましょうよ」
「…そうね、それはそれとして、わたしたちは彼らにどう報いればいいの? 」
「ああ、そうでした、……だったな」
オレは沙耶さんに先ほどの話を報告する。
オレが沙耶さんに説明を続けていると、ヤズナが身支度を整えて物陰から顔を出した。
こころなし、頬が上気しているように見えるのはオレの気のせいか?
「将来性のある話ね、誰かさんとは大違い」
「当りがキビしいね、沙耶さん」
-「でも、いずれ、ということは今すぐでなくてもいいんだろ? 」
「ええ、というより、今すぐはムリです」
-「なにしろ未だダンジョンLv1ですからね、まずはダンジョンLvを上げることを考えましょう」
「ダンジョンLvか、どうやったら、上がるんだ? 」
-「やっぱりDPが必要なのか? 」
「いえ、ダンジョンLvを上げるには、意外かもしれませんが、ダンジョンコアにEXPを注ぐことで上げることができます」
「へー」




