第38話 葛藤
D01-35
オレはおもむろにヤズナのボリュームゾーンに手を伸ばす。
だが、オレには、ヤズナに対して一歩踏み込めない理由があった。
もちろん、今までこんな機会がそうそう巡ってこなかったのもそうなのだが……。
…………
………
……
……つまりは付いているか、付いていないかだ。
あの時、ヤズナを召喚する時、一度は付いていることを許容したオレだが……、
…やはり、気になるものは気になる。
ヤズナの名は女性寄りだが中性的とも言えるし、
女神とかではなく、魔神では男か女かわからんしね。
もちろん、胸があるから男ということは無いだろう、…無いと思いたい。
だが、なぜか知らんが、ヤズナはオレに好意を抱いてくれているみたいだしな。
実際に関係が進んだとして、当たり前のように見慣れた物を曝け出されたりしたら、オレはどうするのだろうと、ついつい考えてしまう。
そこで気持ちが冷めてしまうのか、物理的に萎えてしまうのか。
ヤズナを傷つけたくないという気持ちはある。
だが、オレもこういう経験があるわけではない。
EDの人だってなりたくてなっているわけじゃないはずだ。
実際、現場に立ってみないと、どうなるのかわからない。
オレが心の中で葛藤していると、何時の間にか目を閉じていたヤズナが、目を開け、オレに告げてくる。
「いけません、沙耶が近づいてきているようです」
-「ワタクシは身だしなみを整えてきますので、時間を稼いでくれませんか? 」
「あ、ああ、わかったよ…」
ヤズナはサッとオレの背後の茂みへと入っていった。
「ボーナスタイムは終わりか…」
オレは右手と左手の手のひらを交互に見て、指をわきわきとさせる。
いまだ両手のひらには感触が残っていた。
やわらかかった。
ヤズナの熱が伝わってきて暖かかった。
それに、なんと、ヤズナは直に触らせてくれたのだ。
だが、オレは今考えなくても良い、くだらない事を考えて気を逸らしてしまっていた。
おっぱいに全力投球できなかったのだ。
オレは両手を白くなるほど、きつく握りこむ。
手のひらに触れた感触はある。
……だがせめて突起には…、
…………別のアプローチをするべきだった…。
今なら幾らでも思いつくのに…。
もっと集中していれば、赤子に、いや、乳呑み児になるという最高の結果も出せていたかもしれないのに…。
ポタッポタッと握り締めた両の拳に水滴が落ちる。
雨か……、いや。
天を仰ぐまでもなく、雨などではなかった。
目頭が熱くなっていた。
頬をつたう過程で熱い液体が熱を失う。
オレは泣いていた。
身も世もなく泣いていた。
許されるならば声を上げて泣き叫びたい…、だがっ。
「ダ、ダメだ」
-「もうすぐ沙耶さんが来るんだ」
-「この涙をどうにかしないと……」
袖口で拭いて、どうにかなるような量ではない。
こうなったら、…いちかばちか。
オレは爪の痕で血が滲んだ右手のひらを目頭に当てた。
マジ泣きする刈谷君




