↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/221

第32話 最初の侵略者ダスター・グラン・1

W19-1~W19-3にノイズを散らしてみました。W19-4以降もこの形式でいくつもりです。

色んな世界の人が、てんでばらばらにしゃべっているので、上下のセリフが繋がっていない場合が多いです。

もう少し詳しい事情は「世界想造者の生み出した128世界」にあります。


W19-1



 …………

 …………

 …………

 リシアン「グラズには言ってはいけないよ」

 赤の王「活力とは、何のことだ、何を捧げればいい……? 」

 ゼイン「エルミールダレク、君は天才だ」

 グラズ「言いにくいな、エルミーと呼んでいいか? 」

 ハイエルライン「あそこも、なんとかしなければな」

 …………

 …………

 …………


 うっ、頭が痛い。

 男が、気がついた時、そこはうらぶれた路地裏だった。

 石造りの建物を背にして座り込んでいるようだ。

 丁度斜め前に座り込む痩せた乞食のように、力なく。


 …………

 …………

 …………

 ギリー「ジィィィィィィーー……ーィィィ…ーィイィィィー……ー…」

 グラズ「あの犬人は…、あの方の似姿の一つなのかもしれないな」

 ロランド「運命なんてくそくらえだ」

 イータ「もういいのかな、もういいよね? 」

 …………

 …………

 …………


「それは、ダメだ」

-「なんだったのだ、今のは? 」


 男は頭を振った。

 記憶が茫洋(ぼうよう)としているようだ。

 男にはなにもなかった。

 ただ通路の向こうの、石造りの建物の背を見るともなく見ているだけだ。


 男は昼夜の別なく見続けた。

 どれくらい経ったことだろう。

 三日か五日か七日か……。


 ある時、斜め前方にいた乞食が傾き、横倒しになった。

 そして乞食が再び起き上がることはなかった。


 ある時、空をカラスが横切った。

 視界の上からカラスの糞が降ってきた。


 ある時、野犬が路地裏をうろつき始めた。

 野犬は横たわった乞食に近づき、鼻腔を近づける。

 一匹、また一匹と野犬は増え、乞食の亡骸(なきがら)を奪い合う。


 野犬が群れる石壁の上層でガタッと音がした。

 ほどなく、腐ったような刺激臭がする生ごみが大量に落ちてきた。

 乞食の亡骸(なきがら)に夢中になっていた野犬たちは生ごみをまともに頭から被り、散を乱して逃げ散った。

 生ごみの刺激臭は強烈で、忘我の境地にあった男の意識を現実へと引き戻した。

 犬の嗅覚を持つ彼は咳き込み、地面に手を付いて、えづき、体液を何度も吐き出した。

 口から滴り落ちるのは唾液と胃液ばかりだ。


 彼はもう何日も、何も食べていないことを思い出した。

 力の入らない肉体を奮い起こして、とにかく、この刺激臭から逃がれることだけを考えた。

 それは理性というよりは本能で、何度も地面を足で引っ掻きながらも、四つんばいで這い進む。

 気を抜けば手足から力が抜け、ともすればへたり込みそうになるが、刺激臭から逃れたい一心で這 いずり進む。


 ついに大通りに出た。

 刺激臭はまだ鼻の奥に残っているが、複数の匂いに紛れ、なんとか息をつくことができたのだ。


 大きく息を吸う男。

 周りの空気に清涼感はないが、そこには安堵があった。


 そこで周囲に気を配る余裕が出てきた男の耳には、女の歌声が聞こえた、気がした。

 耳を澄ますと風が歌声を運んできた。

 女性の歌声だ。

 彼の脳裏に、涙が出るほどの郷愁と共に、黒く塗りつぶされた少女が、笑いかけているのがみえた。

 黒くて表情も分からない少女だったが、彼に手を差し伸べている情景が浮かぶ。

 少女の前に跪く彼は、少女の手の甲に口づけしていた。


 いつの間にか彼の周囲には、黒く塗り潰された人影たちが集っていた。


 身長ほどもある杖を支えに立つ小柄な老人、

 数多の武器を背負う戦士、

 大弓を構える青年、

 威圧感漂う剣士、

 大槌を担ぐ巨漢。


 彼らの仕草から、男とは近しい間柄だと連想できる。

 彼らの方に意識を向けると、男の心に暖かいものが溢れ出た。


 男は彼らをなんとかして思い出そうとした。

 しかし名も、詳細な姿も、生い立ちも、なにも思い出せぬまま、記憶は遠ざかる。


 ま、待ってくれ、(それがし)を置いていかないでくれ。


 生きる意味を再び失った、と感じた彼は、

 夢遊病患者のようにふらふらと大通りを歩く。

 ただ、そこに路があるから。


 ガラガラという音と共に彼の側を馬車が走り去った。

 馬車が巻き起こした突風が彼を煽る。

 遠ざかる馬車の音はやがて小さくなり、辺りは再び静寂に包まれる。


 彼は足を止め耳を澄ます。

 犬の聴覚を持つ耳は微かな女性の歌声を拾った。

 彼は足を向け、女性の歌声の方へ歩き出した。

 再び暖かい記憶が浮かび上がることを期待して。


 …………

 …………

 …………

 エヴリナ「わたしの可愛いユズナー、わたしのお願い、聞いてくださる? 」

 ユズナー「ねえさん…、ねえさんさえ、ねえさんさえ居なければ…」

 …………

 …………

 …………





演出として、「世界想造者の生み出した128世界」のダスター・グラン周辺情報をぼかしてみました。→一部情報開示しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。