第28話 雑木林の奥へ・3
D01-28
「こっちです、こっち」
遠くからヤズナが人影を伴って、早足で歩いてくる。
ハァッ、ハァ、ハァ、ハァ
オレは息を荒げながら出迎える。
「けっこう、かかったな」
ー「でも、もっと遠くまで行っているものだと思っていたぞ」
オレはヤズナの隣の人影を意識して、少し強がって言う。
もっともヤズナにはオレの気持ちは筒抜けかもしれないが。
「いえ、本当は彼らの拠点の近くで待っていたかったのですが、お二人を待っていたら、日が暮れそうでしたので、こちらからも移動して合流することにしたのです」
あらら、
こうなったらやけくそだ。
「それは悪かったな、オレの体力にまで配慮してくれて、世話をかけるな」
オレたちは小川の手前で合流した、
小川をどう越えるのかと思って見ていたら、
ヤズナも、伴っている人影も、なんでもないことのようにぴょんと跳んでこっちへ来た。
川幅は、5mはある、
オレには無理だな。
そんなこんなで合流する4人。
「ご主人様、紹介します」
-「この者が手長猩猩たちの代表です」
「袁女シルコワと申します、以後お見知りおきを」
ヤズナの傍らで片膝をつき、頭を下げる女性。艶やかな黒髪が顔の両側から垂れ、地面にまで流れこんでいる。
「頭を上げなよ、君のことはヤズナに聞いているよ、随分な美人だってね、君の顔、見てみたいな」
「……これは、畏れ多い、お美しいお二方を前に気後れする思いですが……」
そういいながらも、シルコワは顔を上げてくれた。
ヤズナほど小顔ではないが、面長で線が細く、端正な造作をしており、
水墨画で描かれたような雰囲気を持つ。
猿だと言われてもまったく連想させない佳人だ。
なるほど。
……なにが、なるほどなんだ、オレ。
「ご主人様には、袁女シルコワと眷族契約を結んでいただきます」
ー「彼女の存在はご主人様に利することでしょう」




