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第21話 死屍累々

D01-21



 頭が痛い、ジンジンする。

 ちくしょっ、ダンジョンコアのやろうっ、

 なんで、すぐ上にいるんだよっ、

 空気読んでもっと上にいろよ。

 さっきぶつかった、コブができているところに、またっ、ああっ、もうっ。

 オレは物言わぬダンジョンコアに八つ当たりしながら、辺りを見まわす。


 死屍累々、

 まばらに生えている木々を縫うようにして、

 猿、というよりは猿人だな。

 体表には体毛の他に、鱗も生えているようだ。


 大柄な猿人たちの死骸がそこらじゅうにある。

 身体の一部が爆散している死骸もあり、

 ヤズナの投擲の破壊力の凄まじさを物語っている。


 なあ、ヤズナ、もう入れていっていいのか? 

 -はい、お願いします、数が多いですからね、沙耶にも手伝ってもらうことにしましょう-

 

 さあ、なんだかんだでこれが、初インベントリだな。

 …死骸に触らなきゃいけないのか?

 なんか嫌だな。

 まずは触らず入るかどうか試してみよう。


 オレは目の前の猿人の死骸に、手をかざし、


 はいれぇ、はいれぇ、


 と念じる。

 猿人の死骸はなにかに吸い込まれるように消えていった。

 よし、この調子でいってみよう。


 黙々と作業を続けていると、

 -ご主人様、作業中失礼致します、手長猩猩の第二波が来るようです- 

 また、隠れなくていいのか? 

 -ええ、さっきの戦闘の様子から、近づかせなければどうとでもなるでしょう、行ってきます-

 いってらっしゃい、

 ダンジョンコアの範囲領域は大丈夫なのか? 

 -それは安心してくださいダンジョンコアの範囲領域はそれほど狭いものではありませんので- 

 なら、安心だな。


「ヤズナ? 」


 沙耶さんがヤズナの行動に疑問の声をあげる。

 あっ、けっこう近くにいたのね、気付かなかった。


「ああ、安心してください、ヤズナは猿人の第二波を迎撃しに向かったようです」


 オレは沙耶さんの疑問に答える。

 沙耶さんはジッとこちらを見る。

 …なんだなんだ、なんか失敗したのか、

 だんだんと、オレの背筋に冷たいものが這い上がってくる。


「どうして、解るの? 」


 ああ、そういうことね、オレはホッとする。


「ヤズナと召喚主のオレは経路(パス)で繋がっているらしく、情報のやり取りができるみたいなんですよ」


 そうだな、

 このこと、沙耶さんには伝えてなかったな、

 きっかけとなったのがやましいことだったので、

 つい、説明しそびれていたようだ。


「ねぇ、わたしの悪口とか言ってないでしょうね」


 な、なんという邪推。


「い、言ってませんよっ、そんなの怖れ多くて…」

「……なによ、恐れ多いって…」


 沙耶さんはけっこう近くまで来ている。

 紅い瞳がオレをねめつけているように見えて仕方ない。

 し、心臓にわるいよこのヒト。

 もう少し離れてくれると助かるんだが…、

 だが手長猩猩の死骸はあらかた片付いており、

 見渡す限りには死骸は落ちていない。

 ちぃっ、外堀を埋められたか、これでは離れる理由がない。

 オレは目を瞑って念じる、


 はなれろ~、もすこしはなれろ~。


「どうして目を瞑ったの、何をしているの? 」


 目を開くとすぐ目の前に沙耶さんがいる。


「あ、ああ、ヤズナと情報のやりとりをしていたんだ、慣れれば大丈夫なんだろうけど、集中する時はつい目を瞑ってしまうんだ」


 スラスラと嘘をつくオレ。

 すまん、ヤズナ、つい言い訳に使ってしまった。

 というか、ヤズナ、助けてくれ、オレはどうしたらいい? 

 ヤズナの呆れた感情が伝わってくる。

 -自分でなんとかしてください-


 望みは絶たれた…



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