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私と彼の恋模様  作者: 辰野
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113/224

113.

 「おーーい、こっちこっち。あと10分ぐらいで始まちゃうよ」

 「お、いたいた。それにしても早くないか?なんで一番前に陣取ってるんだよ」

 「それが私たちもついさっき来たんですよ。でもなぜか前の方の席が空いていてラッキーでした」

 「ラッキーね…………まぁいいや。もう後ろの席は空いてないし」

 「ん?なにか言いました?」

 「いいや、なんでもない。それよりせっかく前に座ったんだからしっかり見ないとな」


 うーーん、なんで白崎さんが前の席に座りたがらないのかは分からないけど…………まぁいっか

 たぶんここの人たちは観光客の人にものすごく優しい人なんだ。だからわざわざ前の席を開けてくれているんだと思う

 …………ってこれも違うか。もしかして上から見たほうが全体が見えて楽しいのかな

 けど前に座っているなら泳いでいる姿を間近で見られるからいいとは思うんだけど…………


 「みなさん、こーんにーちはーー」


 そんなことを考えていたらいつの間にかイルカショーが始まっていた

 でも始まったからといって後ろから前の席に移ったりする人は誰一人としていなかった

 中には私たちみたいに前の方に座っている人もいるけど、その人たち同じようにきょとんとしている

 ま、もう過ぎたことだし別にいっか。前で見ることができてラッキーだったし


 「さ、お次はアザラシのたまちゃんにこの大きなボールを回してもらいましょう。えっ、どこで回すのかって?

 確かにたまちゃんのお手ては大きくないけど、代わりにこのお鼻で回してもらいたいと思いまーーす」

 「あれって本当に回せたりするもんなの?それに手が使えないから鼻で回すって考え方おかしいでしょ」

 「いや、回せるからここで披露するんだろ」

 「浜口うるさい!!」

 「あぁ?!」

 「二人とも黙ってて!!」


 こういう時ぐらい喧嘩せずに見てくれませんかね、お二人さん!!

 二人に挟まれている私は両方の耳から雑音が入ってしまってショーに集中できないのですよ


 それにしてもアザラシってみんながみんな、あんなにバランス能力高いのかな

 鼻の上にボールを乗せられても落とさないようにバランス取ってるし、ボールの上に乗ることだってできてた

 海音ちゃんのよくボールが割れないねっていうツッコミは面白かったけど、特別なボールでも使ってるのかな

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