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私と彼の恋模様  作者: 辰野
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111/224

111.

 「そういえばなんでサメは他のお魚たちを食べないんでしょね。サメからしたらここは餌がたくさん泳いでいる天国でしょうに」

 「いつも餌をもらっていて満腹状態になってるからじゃないか?わざわざ自分で狩らなくても餌がもらえるなら誰でも楽な方を選ぶだろ」 

 「確かにそうかもですね…………ならこの水槽の中は実際の海の風景じゃなくて人間が手を加えた仮の風景なのかもしれませんね…………」

 「おもしろい例え方だな。確かにこの中には普段考えられないほど大量の魚がいるし、魚からしてみれば息苦しいのかもな」


 確かにこの水槽は大きい

 けど海に比べたら何万分の一だよと言いたくなるほどものすごく小さい

 そんな中に無理やり押し込められて、展示させられてるのって本当にお魚にとっては嬉しいことなのかな?


 餌は毎日もらえるし、天敵に襲われる心配もほとんどない

 こんなにもお魚がいるから友達とかはたくさんできると思うけど、このお魚たちにとってはなんの変化もない毎日だ

 生き物を飼うって難しい…………


 「さ、そろそろ次のところ行くか。魚はここだけじゃないぞ」

 「…………そうですね。早く行かないとイルカショーに間に合わなくなっちゃいそうですもんね」


 けどそれは私たちが答えを出していいものではない

 水族館が少しでもお魚さんの負担を減らそう、少しでもご飯を美味しくしてあげようと頑張っているのだからそれを見る私たちはただ魚を見たいから見るだけでもいいのかもしれない

 確かにお魚にとっては負担になっているのかもしれないけど、それを負担だと決め付けることは私たちにはできない

 お魚さんたちと話せたらいいんだけど、そんな幻想的なことは起こらないので私たちはお魚さんたちの思いを汲み取って、生活しやすくするしかないのだ


 水槽によって写真を撮るのはいいが、フラッシュをたくことは禁止されているところや撮影自体がダメなところもある

 それは水族館側がこのお魚は光に弱いからダメ、ストレスに弱いからダメだと心遣いから来ているものなんだ

 私たちができることはその心遣いを忠実に守り、その時だけの楽しみのためだけにそれらを無視しないことだと私は思う

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