バレる
「闇魔法……」
まず、なぜミロはここにいる。
ここは俺の部屋だった筈。
「あぅ、すみません。勝手に部屋に入ってしまって……反応がなかったので大丈夫かなと思いまして」
「なるほど」
状況は分かった。
それにしてもタイミングが悪い。
「ラミエスさんは、光魔法だけじゃ無くて闇魔法も使えるんですか」
「あぁ」
「闇魔法って確か、性格が変わってしまうんですよね」
「……」
「じゃあ今日のラミエスさんは変わった後で……でも初めて喋ったのも変わった後で……」
迷っている様子だ。
さて、真剣にどうするか。
「確認なんですけど……今日優しくしてくれたのは貴方ですよね」
「あぁ」
「それじゃあ良かったです」
彼女は部屋を去ろうとする。
「ミロ……」
「夜にちょっと整理してみます。安心してください誰にも言わないので」
嫌な空気のまま今日が終わった。
確かに、俺としては結婚はあり得ない話で、関係が悪くなろうと別に関係ないのだがこの終わり方は……
俺は眠りについた。
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「ハッ……」
起き上がる。
いつもよりも少し怠い。
「今日の昼に帰るんだったよな」
俺は支度を済ませて部屋を出る。
今日も屋敷は広く、綺麗である。
「あっ」
と早速ミロと出会う。
少し気まずそうな空気が流れる。
彼女はその空気を打ち切る様に近づいてきた。
「私、昨日よく考えたんです」
「あぁ」
「私は……気にしない事にしました」
「……」
今回の件においては、昔の俺を知らない者であったが、もし知るものが別人ではないかと疑いを掛ければそれはもう終わりだ。
闇魔法が原因ではないが、実際に性格は大きく変わっている。
警戒をさらに高めないといけない。
「それで昨日渡しそびれたんですけど……」
とまた一つ。
ぬいぐるみだ。
「弟さん……がいるんですよね?プレゼントとして渡してくれませんか」
「勿論、絶対に喜びます」
「それはよかった」
とまたニコニコとした表情を見せる。
「昨日の事は置いておいて……とにかく朝食に向かいましょう」
「あぁ」
とりあえず一旦はよしだ。
食卓に向かうと、誰もいない。
皆、既に食べ終わっているのか?
「……」
対面に置かれている椅子に両者が腰掛ける。
そして黙々と食べ始めた。
「美味しい」
「私の料理長はとっても料理が上手なんですよ」
「らしいね」
朝食を食べ終える。
「もうすぐお別れですよね」
「あぁ」
「もっと……ずっと一緒にいたいぐらいに良い時間でした」
ミロの耳が赤くなっていく。
「では……用事がありますので」
と駆け足で去っていった。
何にせよよかった。
ピンッ
……来いという事か。
なぜ俺の様な子爵の子を出迎えたのか。
それの原因はきっと……
「ようやく2人で話せるわね」
ミロの母が俺の瞳を見つめて放つ。
「闇魔法、気づいていましたか」
「そう、結構敏感な方でね。一回見かけた時に気になったの」
「それでお見合いを理由に会おうとした」
「そう言う事。思ったよりも娘は貴方の事が気になっている様だけど」
全てが見られている様な感覚だ。
なかなかの使い手であろう。
「闇魔法の使い手はもっと凶暴になるのが基本、どうやって抑えたのかしら」
「はて」
これは秘術。
詰められる可能性もあるので隠す必要がある。
「ま、明らかに12歳にしては冷静、少しは性格が変わっているように見えるけどね」
「貴方は……一体」
「私はね闇魔法に恨みを抱いているの。闇魔法使用者にね」
……
「だから……少しでも怪しい動きをすれば……」
チョン
っと肩に触れられる。
「ね、分かった?」
「分かりました」
恐ろしい母だ。
下手に動きすぎると転生の事までも知られるかもしれない。
要注意だな。
そのまま時間が経ち、別れの時がやって来る。
「ラミエスさん……また会いましょう」
「あぁまた会おう」
馬車は屋敷、自分の部屋へと戻っていく。
今回のお見合いは相当大変だった。
そして警戒をすべきだという事を再認識した。
「とにかく!カリファにまた会えるぞ!!」
同じ道を辿って帰って行った。




