特訓
「……」
無言の時間が過ぎる。
「ミロさん」
「どうしましたか」
「何故私を選ばれたのですか」
と1番気になっていた事を聞く。
「実を言うと母からの推薦なので……意図は分かりません」
「なるほど」
とすると、相手も乗り気ではなさそうだ。
「ミロさん、ここの屋敷の事を知りたいので紹介していただけませんか」
「紹介ですか……はい、分かりました」
彼女に着いていく。
まず見えたのは大きな庭だ。
「昔よくここで遊んでいました」
「今は中々遊ばないのですか?」
「はい、魔力の勉強をしているので」
魔法使いか。
「属性とかは」
「水です」
庭の方へと移動する。
「ウォーター」
と唱えると水の球が掌の上に出来る。
綺麗な球だ。魔力調節は流石だな。
「えい!」
と魔法を放つと目の前の木にポシャンと当たる。
木は濡れるが、それだけである。
「昔、水魔法がいいと駄々を捏ねて水魔法にしたんですけど……正直後悔しているんです」
「後悔ですか」
「はい、この様に中々威力も出ないし……活用法がないなと」
水魔法は攻撃というよりは防御に徹する魔法だ。
水の壁は全ての壁技で1番防御力が強い。
だが彼女はどうしても攻撃に転じたい様だ。
「ならもう少し密度を高めたほうがいいですね」
「密度ですか?」
「そうです。今、ミロさんの水球は大きい。なのでもう少し縮めるんです」
当てるのが難しくなるが、彼女の魔力調節を持ってすれば簡単だ。
「あれが的ですね」
と置かれた的に指を刺す。
「はい」
「一度例を出します」
最初に大きな光の球を出す。
「大きい……」
「でも密度は殆ど0です」
的に当たるとポンッと消える。
殆ど威力が出ていない。
「これを縮めます」
キュイーーンッ!
これがいつもの小ささだ。
「小さい……」
「でもこれで十分です」
パシュンッ!
光の球は高速で的に当たる。
的は18回転ほどして漸く止まった。
「凄い……」
さらに当たった場所もちょうど中心である。
練習した甲斐がある。
「命中力もある……」
「ミロさんも魔力調節においては同じ、いや優に私を超えています。あとは縮ませる事ができればいけますよ」
しかしまだ困っている様だ。
「なら補助しましょう」
「え」
俺は肩に触れる。
「あのっ」
「水球を出してください」
水球が現れる。
まだ大きい。
「流れを掴みましょう」
「……」
俺は魔力の調節を安定させる。
よし、安定した。
キュイーーンッ!
水の玉は縮まっていく。
パシュンッ!
共に放出。
的は13回ほど周り止まった。
「凄い!出来た!」
「この感覚を覚えておいてください」
「……はい」
ミロは何かを思い出し恥ずかしそうにする。
「ラミエスさんって同い年とは思えませんね」
「えっ」
「自分の兄と話しているみたいです」
……やばいな。
バレる。
「と……ともかく、もう少し屋敷を紹介します」
一安心だ。
そういえば元々は屋敷の紹介だったか。
俺達はその後、食卓やリビングなどを回った。
「そしてここは私の部屋です」
「へぇ……」
開かれると出てきたのは大きな部屋。
1人で使えるのか怪しい所だ。
「ちょっと待っていてください」
部屋の中へ入り、棚から何かを取り出す。
「渡すものがあって」
と手渡しされたのはマフラーだ。
「これは……」
「母と一緒に作りました。どうかお受け取りください」
「ありがとう」
綺麗な柄のマフラーだ。
「どうぞつけてみてください」
首が暖かくなる。
「気に入って頂けましたか?」
「はい……」
「良かったです」
と笑う。
微笑ましく俺も笑った。
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夜。夕食を済ませた俺は部屋に戻る。
「さぁ、大丈夫か」
闇魔法でカリファの様子を見る。
「兄ちゃんいない……」
と悲しんでいる。
よし、計画通り行くか。
「影移動」
シュッ
影に沈む。
俺は部屋から姿を消した。
トントン
そしてカリファの肩を叩く。
「え!?兄ちゃん!?何処にいたの?」
「ちょっと用事があってね、隠れてたの」
「そうなんだ……」
カリファは嬉しそうに笑う。
「今日、元気だったか」
「うん」
「それはよかった」
カリファはベットに潜り込む。
「良かった、寝る前に兄ちゃんに会えて」
「俺もだ」
「良かった……」
とすぐに寝てしまった。
早い。
「よし。用事も済ませたし帰るか」
シュッ
「え?」
机の影から出ると目の前にはミロがいた。
「あっ」
勿論、影から出たとこも見られて……だ。
「あの……その魔法って闇魔法じゃ」
終わった。




