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G・G SKILLで異世界奇譚!  作者: 下心のカボチャ
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第三章 盗賊領主はハンコウする編 プロローグ

 久しぶりの更新ですが……ちょっと短くなりました。


 なかなか新しい職場に慣れないもどかしさを感じつつ、文章を考えていると涙出る(汗)


 生活を営むって大変ですね。


 ーーアド上空、ギャンビット号甲板


 「……以上が二年前の事実だよ。」


 「………。」


 予想だにしなかった冒険譚を聞かされたものだ……まるで半年間位掛けて小説を読んだような。

 おかげで途中からは俺もシオリさんも甲板で胡座をかく始末だった。

 しかし依然としてまだ釈然としない部分が残っている。


 「ロジャー達が聴いたガーラントの名と二年前の子どもが同一人物なのかは判らないな……それにシオリさんは言ったよね、現状でルート予測を使えるのは二人だと。」


 「ああ……この話しには続きがある。」


 「随分と勿体ぶるね。」


 「……ウォルターナでの一件から三ヶ月後、碧渦の勇者が襲撃されたんだよ。」


 いやはや……サラ・ストーム襲撃事件、シオリさんが語ったそれは何とも不明瞭で疑念の尽きないものだった。

 今から一年と半年以上前、ギルド加盟国であるデストラーデ公国においてエレメンツ教会の祭事中に来賓者数十名が爆発に巻き込まれるテロ事件が発生したという。


 「で、その来賓者の中にサラさんが居たのか。」


 「教会の関係者を含め死傷者は多数、サラも重傷を負ったらしい、以後彼女の居場所は秘匿される様になった。この時点で判明していたのは直接襲撃犯とやり取りをしたサラの証言のみでな、奴はガーラントと名乗り、復讐を宣ったそうだ。……その情報を元にデストラーデ公国の威信と総力を以て襲撃犯を捜査したが現在まで見つかっていないと云うのが公式発表だな。」


 「気になる言い方だな……まるで公国ぐるみで隠蔽してるみたいな。」


 「襲撃現場を直接視た限り、事件自体は確かに起きたんだろう。だがその後の捜査状況が勇者である私にも降りてこない、実際に捜査の陣頭を執っているだろう公国内の捜査機関すら分からないんだ。唯一判明していたのはサラが重傷を負う際にスキルを奪われたという事だけだ。」


 「判明ね……イマイチ分からんけど、俺達のスキルってこの世界ではどの程度の認知度が在るの?」


 「前にも話したかもしれないが、稀にスキルに覚醒する者は居る。多くは奇跡として各地の伝承で語られているが、より原始的なものならば現世で見られるかもだな。認知度は皆無だよ大きなアドバンテージだからね、君も不用意にスキルの存在を明かしてはいないだろ?」


 「……公式ではスキル強奪は伏せられてんのか、じゃあ何でシオリさんはそれを知り得たんだよ。」


 全く要領を得ず、呆れ顔でそう俺が囀った瞬間ーー余りにも重苦しい沈黙が突如として訪れた。

 げんなりした表情で口を結び、何とも言えない程に目を泳がせる……いや、見事なストロークの遠泳を見せられ、俺も思わず閉口せざるをえなかった。


 「言い忘れていたが……襲撃現場には蒼空の勇者も居たんだ、スキル強奪はそのイカレポンチから聞いた。」


 何だよ!?情報は正確に言えや!!……っと叫びたかったが出来る様子ではなかった。

 いやはや、よっぽど嫌いなのね蒼空の勇者、状況説明でも居なかった事にするなんてどんな因縁なんだ。

 いつか会う事も在るだろうし、サラさんを含めて、そこら辺の話は二人から聞くしかないか。


 「つまりシオリさんを蚊帳の外にして、碧渦と蒼空の勇者が何か盛り上がっていると?」


 「イヤな言い方をするなッ!?」


 俺は溜め息を深くつき、眼下に広がるアドの廃墟へと視線を移す。

 ……襲撃事件について、これ以上の詮索は無意味だろう。


 ならまずは目先の事に対応するしかないか、このウエストバーク地方でヤラかしてくれてる勢力とかな。

 これに関しては情報の欠片ピースがそれなりにある。


 「俺達が今やらなきゃならないのはこの地方を跋扈してるグール共の殲滅だろシオリさん。」


 「そうだな……それにはグールを生み出していると思われる大元を叩く必要があるが、ニッカが証言していたナボルの一団から辿るしかないか。」


 「多分そこにはサラさんも一枚噛んでるかもしれない。」


 そこはほぼ確定だろう、ガーラントが属する、或いは率いている規模不明の軍勢の攻勢とサラさんの暗躍。

 問題はアームベルン本国の目が届いていない、もしくは盲目にされているのか?どのみち現場の俺達で対応するしかないだろう。


 「そういや、何でシオリさんはナボルへ来たの?」


 ふと湧いた疑問に俺が素で聞くとシオリさんの表情も一瞬、ハトに豆鉄砲よろしく、固まってしまった……おいこの人、また大事な事を忘れてたんだな。


 「いや、違うんだ、決して忘れていた訳では……。」


 「もう良いから、ホントいいから、はよ。」


 俺の心無い催促に対して、苦々しく唇をへの字に結んで僅かに息を洩らすシオリさん。


 「……ガルマ派から君の捜索依頼を受けたんだよ。しかもギルドを経由しない個人的な依頼でね。」


 不吉なワードだった……ギルドを経由しないの一言で、粗方の状況が容易に想像出来てしまったからだ。


 「あの時に別れたみんなが無事に修道院ホームヘ帰れたのは良かったが、裏腹に生き証人の言葉をギルドは黙殺したのか。」


 「いや、どちらかと言えばアームベルン政府からの圧力だろう、私と彼等のパイプ役を買ってくれたのはギルマスだからな。」


 全く嫌な展開だ、この世界の国家権力は民衆を何だと思っているのか……まぁ、実情で言えば何処の世界も大差ないのかもしれない。

 俺のこの感情も平和ボケした日本に生まれたからこそのものかもしれないしな、対岸の火事で済むなら高みの見物、花火程度の愉しみで傍観を貫くのもアリだと思うわ。


 現実問題として当事者になった今では、その立場は180度変わってしまったが……。


 「言伝もある、バルローから茶会ヘ招待されているのだろう?必要な準備はガルマ派の方々が整えとくから四日後には戻って欲しいそうだ。」


 「ああっ!?そういや在ったわ、そんな話し……四日?六日後じゃなかったっけ?」


 もうホントにメンドイ話しである。


 この際無視するべきだと思ったが、それを口にしたらシオリさんに注意されてしまった。


 王侯貴族との繋がりは決してマイナスにはならない、寧ろ率先して利用し合う方が得らしい、俺からしたらしがらみしかなさそうだったが。


 ……取り敢えず、大まかな方針は決めた。


 アドの避難民をギャンビット号でフェデルヘ輸送し、俺、ロジャー、イチタロウ、ミシェルたんの四人はやはり魔族領との国境で別行動に移る事にする、目指すは鬼人族オーガの集落だ。

 シオリさん達は暫くフェデルに駐留してもらい、キシリア派からの増援が到着し次第その指揮を執って防衛網の構築に当たってもらう。


 余り宜しくないかもしれないが早急に残りの街から人々をフェデルヘ避難させる、少しでも防衛策を充実させるのもあるが、何よりあの街は大谷に面していて守り易い地形なんだそうだ。

 またサルマンさんには悪いが、彼の広大な牧場に仮設の住宅を建設するのもアリだと思う……涙を呑んでもらうしかないわな。

 しかしそれにはやはり建築技術に秀でたガルマ派の力が必須だ、まァ、そこら辺をまるっとシオリさんにやってもらう事になった、持つべきものは勇者の友達だね♪


 さて、初めての魔族領か、正直に言えば何があるか分からない不安は確かにある。

 ティンもまだ戻ってこれない……だがここからは時間との戦いなのは明らかだった。



 つづく

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