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G・G SKILLで異世界奇譚!  作者: 下心のカボチャ
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第二章 領主編 『焦熱の戦場にて』前編

今回もちょっと短くなりました。


というかキリの良い所でブッタ切って、更新した方が楽しい……かな?なんてね。


多分、三話くらいをアドでのエピソードに使う予定です、



猛り狂う炎が町並みを呑み込んでゆく……斯くも呆気なく、抗えずに人の築き上げた一切を塵へと崩して。


それでもまだ人間は生きている限り、渇望のままに逃げ惑う。

否、人間だけではない、外気すら肌を焼き、肺を焦がす熱を帯びた地獄の最中を異形の者共が絶叫を轟かせ押し寄せる……押し寄せ続ける。


遺された破壊衝動のみを原動力に、炎に包まれ身体が崩壊しようが構わずに、生者へと追い縋り貪り喰らう……。


それはアドの町へ突如として来襲したグールと巨大な蜘蛛の魔獣の混成群であった。


夜空を紅く染め、治まる気配のない火の手と魔物群……阿鼻叫喚たる死の領域において為す術など人間にあろうか?


ーー否、留まる者達がいた。


新たな領主により再編された私兵団『アライブズ』から割かれ、戦力増強を兼ねて駐留していたジョー・アベルの分隊だ。

彼等の戦力は約40名……絶望的な状況にも屈せず、火災域がまだ及んでいない居住区へ展開し、生き残った住民100名あまりを護りながら戦線を下げていた。


人員を分けて巧みに入り組んだ路地裏へと敵を誘い込む事で、巨大蜘蛛の侵入を防ぎつつ、畳盾と長槍を柱とした陣形戦術で、一撃すら許されぬグールの攻撃を徹底的に抑える。

元々練度の高い傭兵である彼等に、連携の乱れ等微塵もない。


だがそれでもと……ジョーは苦虫を噛み潰す。


状況が予断を許さぬ程の速度で悪化し続けていたのだ。

絶え間なく押し寄せるグールの群と、勢いを増しながら迫り地の利を消し去る火災、まさに二重奏の責め苦に加え建物の上部より鋼並みの強度を持つ粘糸を撃ち出してくる巨大蜘蛛への対応……住民を護りながらの戦いには限度があった。


何より救いが無いのは町の周囲を完全に封鎖された事だろう。

住民を退避させる事さえ叶わないのだ、予断を許さぬ状況であるのにも関わらず、打てる手段が残されていない。

彼等に許されたのは戦線を下げ続けるジリ貧だけであった。


「………。」


尚も続く責め苦に精神が削られる最中……ゆっくりとそして確実に『死』が背後へ忍び寄る。

あと僅か……退れる場所さえもうない。


その時、陣形の一角で悲劇が起こる。


団員の一人がグールに組み付かれ、鎧の隙間へ傷を受けてしまったのだ。


刹那、団員達へ伝潘する迷い……まだ生きている仲間を、その息の根を絶たねばならない、一体誰が?

彼等が平常心を保っていられたなら、近しい者が躊躇いなく介錯していただろう。

それ程に事態は切迫していたのだ。


だが次の瞬間、みなの迷いを断つべく剣閃が疾るーー!!


仲間の首を刎ね飛ばし、返す刀でグールへトドメを刺したのはジョーであった。


「陣形を組み直せェェーーッ!!」


響き渡る非情なまでの絶叫が手練れの傭兵達へ『即座の覚悟』を促す……否、決意させた。


鼻腔内を充たす血肉の焦げる匂いは果たして誰のものなのかーー?


知る由もない、知りたくもない……ただ指一本動く限り、今この一瞬は敵を屠る、屠り続けるのみであると。


人間として死ぬ……その一点だけに意志を傾ける、まさしく決死の覚悟を……。


そんな彼等を、路地裏の片隅で身を寄せ合う住民達は如何なる心境で視なければならなかったのか。


それからの攻防は……最後の一線を巡る戦いは……苛烈を極めた。


炎が渦巻く最中で、雄叫びを幾重も轟かせてグールの群へと畳盾を捩じ込み脇から長槍で刺し裂く。

されどグールは留まる事を知らない、蜘蛛も上空にて足場を形成しようと粘糸を吐く。


やがて引火した粘糸が溶け落ち敵味方関係なく炎を撒き散らすと、いよいよ一線は焦熱地獄と化した。


炎に巻かれ、或いはグールの群れに呑み込まれて……一人、二人と永い永い数分間に犠牲を増してゆく。

傷を受けて助からぬと悟り、自身諸とも刺し貫かれんのを望んで突撃した者もいた。


気付けば団員は当初の三分の二にまでその数を減らし、新たな死者は新たな敵に……。


何時しか住民達は両の手を握りしめ、みな顔を伏せて祈っていた。


神は不在である、この絶望の現実から救い上げる者等居ない。

なれば何故に祈る必要があろうか?


それでも震える身体を推して神へ祈る民衆の中に……その幼子は居た。


皆が地へ伏す最中で幼子故に理解せぬまま……火災に喘ぐ建物の間に巣くう糸の、また間。

夜空へ吸い込まれて消えてゆく火の粉の美しきこと。


幼子は視た、確かに視たのだ……夜空に橙を映す銀影をーー。


次の瞬間、炎を薙ぐ風がアドへ舞い降りた!!


ローター音を轟かせ、町並みを旋回しながら過る艦体……浄火の勇者が座す希望の飛空挺、その名もギャンビット号。


『一斉掃射!!ッッてぇ!!』


旋回しながら左右側舷から計八門の対ドラゴン用回転式多銃身機関砲が凄まじい煙りを吹き上げ、放たれる。


その圧倒的な火力は文字通り、アド周辺へ展開していた夥しい敵群を駆逐してゆく。


『キャプテン!!町にもかなりの数が入り込んでる、そちらは任せます。』


伝声管からバララの指示が飛ぶのと呼応し、ドックが低い唸りを上げてハッチを開いた。


「行くぞモンテ君……ここからは我々の出番だ。」


四枚羽根の小型挺『ドラゴンフライヤー』が二機、ドックから地上へと飛び立つ。


「俺達は町へ、飛行型のグールはいないみたいだ。シオリさんとイチタロウ、あとダナンで手筈通りに援護射撃を頼む!!」


……そう通信機に叫んだ瞬間、俺の脇でロジャーが畏まり、一礼をしてきた。


「先を急ぎますので、我々はここで……。」


そう言うやいなや、ロジャー、キャサリン、マッコイ、婆ちゃんの四人が飛び降りて行っちまった……おいおい、まだかなり高いんだけど?町並みがミニチュアサイズなんですけど!?


「バカ野郎!?あたしらも速く行くんだよ!!」


「勝手な事言うなよ!?普通の人間は死ぬ高さだぞ!?」


速攻で後追いを決め込もうとしたミシェルに殴られながらも何とか抑えつけ、俺は町並みへもう一度視線を向けてレーダーMAPを視界に展開させる。


【思念伝達!!聞いてるか戦闘狂共!!お前らは遊撃だ、掻き回しながら表示した生命反応まで走れ!!】


【ふふふ、御主人様の仰せのままに……。】


【速く来ないと全部倒しちゃうからねリーダー♪】


【ちょっとボス?乙女に向かって戦闘狂はないんじゃない。】


【年寄りの冷や水……とは言わせんよ。】


まったく……頼もしい限りだよ。




「………。」


一体何が起きたのか?……銀色の飛空挺が過った一瞬、ジョーは事態を呑み込めずにグールの猛攻を忘れかけていた。


仲間の叱咤で我に返り、長槍でグールを薙ぎ払いながら、不意に脳裏へ湧いた小さな希望をやっと認識する……。


「援軍……なのか?」


その小さな呟きは小さな波紋となって絶望の只中へ身を置く者達の間に拡がってゆく……しかし。


不意に視線を感じて頭上を見上げたジョーの視界に巨大蜘蛛の開いた顎が映る。

鋼の強度を誇る粘糸が今まさに自分へと放たれようとしていた。


避けきれない……ならばヤツの口へ運ばれるのと同時にその眼のひとつでも潰してやる。

……そう瞬時に覚悟を終えた刹那、それは起きた。


突如として巨大蜘蛛の胴体を突き破り、何かがグールの群れへと凄まじい衝撃波を伴って落ちたのだ。


炎を立ち退かせ、群れの一部を吹き飛ばした衝撃波を畳盾で何とか耐え、ジョーを始め全員がそれを砲撃によるものだと直感する最中……。


その爆心地にて佇む者の姿を誰もが理解出来なかった。


「あれはゴブリン……なのか?」


小柄な体躯に執事服を纏い、一流を思わせる優雅な佇まいに似合わぬ武骨な双剣……それらの形容と威容を一身に集める者の姿がゴブリンである事に戸惑うのは仕方がないだろう。

寧ろその文化的な一面がジョー達の敵味方の判断をより混乱させた一因と云える。


そんな戸惑いを余所に、ゴブリンは身近なグールを踊る様に斬り裂きながら、ジョーに身構える隙すら与えず、眼前まで接近して、ようやく何かに気づいたようだった。


「これは失礼しました……まず友軍である事を伝えるべきでしたね。」


「友……軍?」


背後から迫るグールの側頭部を振り返らずに刺し貫き、そのゴブリンは牙を覗かせ微笑む。


「私の名前はロジャー・ザ・スミス……。モンテ・クリストフ・モンキーパイソン様が第一の従者にして、左右の剣と盾たる者。」


(領主様の?……まさか、あの人は一体何やらかしたんだ!?)


先程までの緊迫感が眼前のゴブリンから告げられた、予想だにしなかった名前ですっかり弛緩してしまっている。


最早、戸惑いを通り越して驚愕と言ってもいい。


だがジョー自身は気付いていない、その心境の変化の要因が自身に芽生えた確かな希望にあった事を……。



つづく

どうでしょうか?今回はテンポを念頭に書いてみましたが、あまり普段と変わらない仕上がりになってしまいました。


内容は前半で思いっきり暗く辛い展開にしたかったんですが、出来ましたかね?


まぁ、全然感想メッセとかないからイマイチ分からんのですわ。


いえいえ、決して感想が欲しいな~なんて考えてません、少しでも楽しんで貰えたら幸いです。


また読んでやってつかぁさい、宜しくお願い致します。

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