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G・G SKILLで異世界奇譚!  作者: 下心のカボチャ
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第四章 王都騒乱編  「残酷な真実との邂逅。」 前編


 「ん?……何でネバーランドが起動してるんだ。」



 宇宙に似せた電脳空間……初期設定らしいが面倒臭くてなかなか変える気にならねぇわ。



 『移動中に申し訳ありません、最近マスターがこちらに来られないのでお呼びしました。』



 声のした宙空を見上げるとティンのヴィジョンがゆっくりと降りてくる……呼び出しは仕方ない、それよりも毎度毎度、問題はその服装なのだが今回は少々肩透かしを食らってしまった。



 「それギルド受付嬢の制服だよね、何時も露出が激しかったり、コスプレだったから意外だったよ。」



 『このコスは……性癖に刺さりませんか?』



 !?……ティンさんや、君は何処でそんなパワーワードを仕入れてくるんだい?いや、まぁ明らかに俺の記憶アーカイブだろうな。



 「充分に可愛ぃんじゃねぇか、んで?急にどうした?」



 『………。』



 「えっ?何でそこでふくれっ面すんの?俺何かした?」



 本当に判らないから素直に聞いたんだが……暫く気不味い沈黙が流れてやり切れんかったわ。


 が、やがてティンの方から折れてくれたのか、溜め息をつきながら口を開く。



 『もう結構です……それで、マスターをお呼びしたのは新たに獲得して頂く拡張スキルとゴア・オウグについての件です。』



 「ああっ、好感度で獲得出来る……そういや先延ばしにしてたっけ?すっかり忘れてたよ。」



 強制誘惑テンプテーション……発動スキル



  好感度plus補正30%……常時発動スキル



 陸式幻毒蛇掌スネーク・イーター……攻撃発動スキル



 認識阻害インジブル……任意発動スキル



 身体能力任意操作フィジカル・シフト……短時間任意発動スキル



 俺の前に現れたウィンドウに表示されている五つのスキル名……認識阻害は既に獲得しているが、さて今度はどれを選ぼうか。



 『全て獲得可能です。』



 「……そうなん?じゃあ拡張スキルはこれで全部か?」



 『いえ、正確にはこの五つはシークレットを除いたスキルツリーの起点でしかありません。』



 「起点……ツリーって今後は好感度ptを使って強化していくって事でOKなのか。」



 『その認識で合っていますね、ただし獲得と強化を行う度に補正が掛けられ、必要好感度ptが増加してゆきます。

 ですのである程度獲得スキルを絞るか、万遍なく獲得するか取捨選択が必須でしょう。』



 「何だよそのルール、じゃあ因みにだけど強制誘惑の効力ってどんくらいなの?」



 『獲得前のスキル内容は明かせません、ですが【伝説の樹の下で(トキメキ・ドリーム)】の文字通り根幹にも関わるスキルですのでアーガマ様によって大変効率の悪い仕様に再設定されているようです。』



 あの神サマーめ……って、ん?……何か今、さらっと聞き捨てならない事言われた様な……気のせいか?



 『………。』



 「まぁいいや……効率悪いし、何か強制誘惑とか極悪ワードっぽいのも嫌だから好感度Plus補正と併せて覚えなくていい。

 それと強化もひと通りスキルを確認してから考えるから後回しな。」



 「了承しました、実行します。」



 実行の言葉と共にティンが俺へ手をかざした瞬間、眩い光が俺の身体を包みこみ、熱い痛みが迸った……。


 歯を食いしばって耐え続けて、次第に全身ヘ新たな感覚が根付いてゆくのを実感する……やがて光が消え去った頃、まだ癒えない痛みの名残りが煩わしかったが、何とか平静を装えるまでには回復出来た。


 そんな様子を見守り、ティンは頃合いを測って口を開く。



 『では次にゴア・オウグについてですが。』



 「………。」



 『システム・ネバーランド、【伝説の樹の下で】双方の補機として非常に高い親和性が確認されましたのでご報告いたします。』



 「そんなにか……因みに統合した場合、蒼黒装甲ギガント・オニキスの能力は消えるのか?」



 『答えはNOです、統合先のスキルに特性を付与しつつ相乗効果でゴア・オウグの能力も強化されるでしょう。』



 良い事尽くめじゃね……けど前にネバーランドの補機でも使えないって言ってたよなティンさんや?



 『本補機のブラックボックス解析が90%終了し導き出された数値です。

 ですが以降の解析が進んでいません。』



 「なるほど、だから提案じゃなく報告なんだな。

 もうひとつ聞くが統合した後の再分割は可能か?」



 ……俺の問に対しティンさんから返ってきた答えはやはりNOだった。


 元々あの魔導具は魔王のぶチーが勇者時代に使っていた代物をダロスが改修したと聞いている……分割不可ならおそらく陛下は統合しなかったんだろう。


 勿論まだ解析が済んでいない以上、分割手段が無いとは言い切れないが、そうなるとティンが解析出来ない技術レベルのブツを改修したダロスにきな臭いものを感じちまう。


 素知らぬ顔で一切触れてこなかったが多分……ダロスは俺達が持つネバーランドやファミリアの秘密を掴んでいるのかもしれない。



 「慎重に解析を続けてくれ、それが終わるまで統合はナシだ。」



 『了承しました、報告は以上になります。』



 「…………。」 『…………♪』



 変な沈黙が俺達の間に流れてゆく……。



 何となく……何となくだが、何故ティンが今このタイミングで俺を呼んだのか理解った気がする。


 それは多分、シスターからされた相談が起因しての事だろう。



 「ああー、その、なんだ……ありがとうな、それとあまりこっちに顔を見せに来なくてすまなかった。」


 ◇


 ◇



 「………。」



 「モンテ様?……道の真ん中で呆けてどうしたんだい。」



 「いや、何でもねぇから気にしないでくれ。」



 現実に戻り、何時の間にか遠くの窓辺で風に揺れている白いシーツを意味もなく眺めていた……。


 あれから俺とシスターはモルダーの店を出て、今は二番街まで足をのばしている。


 行く先は冒険者ギルドで、シスターから話を聞いた俺は引き続き同行する事にしたのだ。



 「ウェストバークに出て以来か、ほんの数週間だが妙に懐いわ。」



 「本当にいいのかい?別に付き合う必要は無いよ。」



 「……いや、立ち会いますよ……立ち会わなきゃ俺が後悔するんで。」



 「………。」



 若干歯切れの悪い表情を滲ませながら、シスター・デロリスはギルド兼酒場の戸を開く。




 「………。」 「………。」



 ……相変わらず、陰鬱としたならず者の吹き溜まりみたいな場所だな。


 まだ太陽が高い時間から入り浸り、酒を呷る連中が一斉に俺達ヘ視線を向ける。


 最初にやらかしたからか俺だと判るとちらほらと舌打ちが聴こえたが、シスターに対してはやはり場違いで罰当たりだと感じたのか、連中スゲエ苦々しい面しててちょっと笑いそうになった。


 んな最中をズカズカと進むシスターは痛快にも思えたわ。


 チラリと奥のカウンターに目を向けると、ギルマスは不在のようだ……本来ならグール討伐依頼が握り潰された件で話を聞かなきゃいけねぇんだが、今日は諦めるか。



 「すまないねぇフラニーの嬢ちゃん、今日は依頼を頼みに来たよ。」



 真っ直ぐに受付カウンターヘ進み、そう告げたシスターとは対照的に金髪をハネさせた美女は困惑した表情を隠しきれずに居る。



 「おはようございますシスター、例の討伐依頼でしたら……申し訳ありませんがお受け出来ませんよ。」



 例の討伐依頼……と言ったのか?



 「いや、別件……とは言い切れないが少なくとも討伐では無いさね。」



 その瞬間、討伐では無いとの言葉に言質を取ったとでも思ったのか、受付嬢の顔が明るくなった気がした。



 「判りました、それでは詳しいお話しを聞いてもよろしいですか。」



 「ああ勿論さ……。」



 「………。」



 はてさて……この先の話を聞いて受付嬢のお姉さんがどんな面をするのやら……。


 ◇


 ◇



 「先日ウチの人間の訃報が判ってね、依頼ってのはその遺体……までは残って無いと思うが、せめて遺品になりそうな物を探して持ち帰って欲しいんだよ。」



 「あの……それは……もしや?」



 「簡潔に……西の森林街道へティガー司祭の遺体と遺品の捜索を頼みたい。」



 「………。」 「………。」



 「解りました……ですが捜索隊の編成やグールが跋扈する場所への派遣となると危険度の兼ね合い上、かなりの高額になってしまいますがよろしいですか?」



 「編成の人件費は了承するが、グールの跋扈云々の話は聞き捨てならないね。」



 「………!?」



 ……やはり表情が曇ったな。



 「あんたらギルドの見解じゃ、あそこにグールは居ない事になっているんだろう。なら危険度は最低ランクの筈さ、違うのかい?」



 「………。」 「………。」



 「私の一存で判断は出来かねます、ここは時間を頂けますか。」



 「……どの位だい。」



 「五日間頂ければ……。」



 「遅いね……こっちとしちゃ早急にティガーの葬儀を執り行わなきゃならないんだ!実行まで込みで二日で決めな。」



 「!?……それは流石に横暴が過ぎませんか?」



 「じゃあ断ればいいじゃないか、但し最低ランクの簡単な探索依頼を断るんだ、あたしは教会を通して他のギルドに外注という形で依頼して経緯までちゃんと一言一句説明するだけさ。」



 ……以前、シオリさんが言ってたな、ここのギルドの評価、評判はすこぶる悪いって、他所のギルドとなると下手すりゃ他国から派遣される訳だ……信用どころじゃない、国家間の問題にまで発展しかねないわ。



 「解りました……明日までには告示致します。」



 「……賢明な判断に感謝するよ。」



 「………。」



 ……踏んだり蹴ったりって顔だ、が、悪いがまだだ。



「済まないが俺の方からもひとつ要望を付け加えさせてくれ。」



 「あなたは確か……新人の盗賊さんですよね?」



 「ああ、それと知っているだろうがウェストバークの領主もやってる……つまり当事者だ、今際のティガーを目撃してもいる。

 最低ランクの探索クエストなら俺も参加出来るだろう?なら人員に必ずねじ込んでくれ。」



 「それは……確約出来兼ねます。」



 その時、受付嬢だけでなくシスターまで「やっぱり」みたいな渋い顔をしていた、まぁある程度予測済みだわな。



 「出来る出来ないの話じゃない……やれと言っている。

 今回の件、領主としちゃあ腹に据えかねているんでな、ある意味あんたらにとっちゃ最後の信用回復の機会だと思った方がいいぜ。

 あと当日はギルド員じゃないが、俺の仲間も同行してもらうから宜しく♪」



 「ーーー!?」



 ふぅっ、どうやら俺は受付嬢に嫌われる宿命さだめに在るらしい……まぁ今回はほぼワザとだったがな。


 結局、俺達の依頼はほぼ普段通りの速度で受理されたようだ。



 翌日には告示され、人員を募って予定通り二日後の明け方に出発する運びとなった。


 懸念が有るとすればその翌日に控えたバルロー子爵との物資の引き渡しか……そちらはもしもの場合、シスター・デロリスに立ち会いを頼んだから何とかなるだろう。




 さて……ようやくだな、ティガー、せめてお前をホームに連れ帰ってやるからな。




 つづく

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