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暗黒事務所を打ち破れ!3

挿絵(By みてみん)

戦いだ!

「何者だ貴様ァ!」真っ先に反応したのはマリシャスアサシンであった。「キキィィィィ!」奇妙なシャウトと共に音速パンチを放つ!


即死のスキル。転生キラーは警戒する。ガードは危険か。


転生キラーはジャンプ回避! 更にマリシャスアサシンの頭部にキック攻撃を加える!


「ウグァッ!」マリシャスアサシンは瞬時に前方に倒れ込む姿勢を取り致命傷を回避!


「ギガフレア!」突如、灼熱の火炎弾が転生キラーに発射される! エターナルの最上級魔法攻撃!「ッチ!」舌打ちする転生キラー。サイドステップ回避! 火炎弾は部屋の剥製ワーウルフを灰に変えた!


その一瞬の回避時間は転生者の体勢を立て直すには十分であった。マリシャスアサシンは再度フォームを構える。その右腕が黒い煙めいたオーラに覆われる!

「酔生夢死(インスタントデス)! キキキキヒーッ!」地面を蹴り、弾丸のように超高速接近! 転生キラーの頭に音速で手を伸ばし、掴みかからんとする!


「グボッ!?」しかし転生キラーの方が早く裏拳を叩き込んだ!「能力頼みの屑が! 死ね!」転生キラーはとどめをさすべく右ストレートを再度打ち込もうとするが……直前で停止した!


「死なすのは俺の専売特許なのよォ……!」マリシャスアサシンの土手っ腹、攻撃を受けようとしていた箇所が黒いオーラに纏われていた。罠!


「マジにいくぜ!」マリシャスアサシンはベルトに携帯していた鞭を構えた! 

鞭には黒いオーラが漂う。


黒いオーラは物体にも付与可能か。検証は不可能だが、おそらくは触れれば即死。厄介な……。転生キラーは内心で呻いた。


「キヒヒヒィヒィヒィ!」半狂乱の形相を成す殺し屋がムチを振るう!


転生キラーは確実に攻撃を避けていく。ムチは高価と思われる陶器製インテリアや本棚を破壊していく。マリシャスアサシンの力量は実際低い。倒すのはわけないだろう。しかし転生キラーは不気味な沈黙を保つエターナルを傍目で見る。


問題はこちらか。神妙な面持ちで椅子に座るルチアーノの傍らで、依頼主の守りに徹するように見えるが、実際は転生キラーに魔法を発動するタイミングを見計らっていることは明白である。


「ちいっ、暴れおって……。給料から天引きだ。」ルチアーノは暴走するマリシャスアサシンを見て呻いた。「危険ですので私の側を離れませんよう。戦闘に巻き込まれれば相手の意図に関係なく死ぬでしょう。」「わかっている。しかし奴はなぜここまで来れたというのだ……? いや、考えるまでもないな。」


ルチアーノは即座に思い至る。「あの魔術師の女か! それしか考えられん……。初めからそのつもりだったのか?」

(ちげえよアホ! てめえが約束も守らねえ屑だからだろうがよ!)盗聴虫を通して会話を聞くレインは心の中で毒づいた。

(黙れ。気が散る。)転生キラーはレインに向けて年を送る。


(ていうかまずいんじゃねえか私。転生者をこっちに差し向けられたら確実にお陀仏だぞ……。お前、もっとがんばれよ! さっさと倒しちまえ!)(できるものならそうしている!)


千日手じみたマリシャスアサシンの即死攻撃には転生キラーも苛立ちを見せていた。狭い室内で一撃死を回避する行為は確実に敵対者の精神を削る。それに加え、エターナルに攻撃の機会を与えないために逃げる一方となっているのだ。


そしてこの精神内交信による一瞬、注意がそれた隙をエターナルは見逃さなかった。転生視力のなせる技!「ギガエクスプロージョン!」閃光が走る!

「ぬう……!」マリシャスアサシンの即死鞭に対し、床に散乱した悪趣味なオブジェクトを蹴り上げることで妨害していた転生キラーはエターナルの完璧な一手に唸った。


しかし一方の転生キラーもまた、曲者! 隙ができることは予想した上で、敵の魔法発動の直前に自らの術を発動させた!「……転生!」

閃光を視認するその一瞬の時間。マリシャスアサシンは、目の前の黒服の男の手に、カード状の光の結晶が現れるのを見た。


「スライモール……!」そして暗殺者は聞いた。光のカードから発せられる、転生キラーではない何者かの声を!

次の瞬間、凄まじい破壊が部屋を破壊し尽くした。ギガエクスプロージョン。極めて熟達した魔術師のみが使えるギガクラス魔法だ。

「オオオオオ!?」マリシャスアサシンは爆炎に飲まれた!


爆炎は室内のオブジェクトや壁を砕き燃やし尽くす……ことは無かった。


「ウオッ!? なんだこれは」暗殺者は驚いた。「ギガシールド。私の攻撃による損害はゼロです。」そう、攻撃と同時に……正確には、爆発魔法を使用する前から、エターナルはバリア魔法の準備を行っていたのだ。利口!


「ご苦労。」これほどの戦闘の中でも悪徳商人ルチアーノは動じなかった。「シールドを解除します。」エターナルの言葉で周囲を覆っていた薄青色のエネルギーバリアが解除された。


「やるなら先に言えよな。死ぬかと思っ」言い切る前に、マリシャスアサシンの首が切断された。


「……エッ?」暗殺者は落下感を味わった。しかし、首が地面に衝突するよりも早く、彼の意識は闇に沈んだ。「ギガサンダー!」ドンというマリシャスアサシンの首の落下音と同時にエターナルは魔法を発動した!


今度の攻撃に余裕はなかった。凝縮された電気エネルギーがその手を血に染めた転生キラーに襲いかかった!しかしその攻撃は虚しく標的を外し、背後の暗黒書類本棚を破壊した!


だが、しかし!「大地に潜る盲目の罠(クリアランスホール)!」不思議!転生キラーは水に沈むように地面に消えたのだ!


「馬鹿な……!」エターナルの目に焦燥が浮かんだ。「ッ! おい、後ろだ!」ルチアーノが叫ぶ!「……くっ!」地面が波打ち、弩砲じみた勢いで転生キラーがエターナルの背後に現れた!


これぞスライモールの誇った、あらゆる場所に潜行するチートスキルだ!そして転生キラーはギロチンの十倍の切れ味を誇るジェット断頭チョップを放つ!


ーーチートスキルは全ての転生者が持つ力。しかしこれは。何かが違う。エターナルは脳裏をよぎる疑問をひとまず無視し、最適な反撃手段を弾き出す!「ハーッ!」あえて魔法を捨てること!エターナルは前方に一歩踏み出し、振り向きざまに相殺パンチを繰り出した!


「グワーッ!」「ヌウーーッ!」両者の手に度外視できないダメージ!


エターナルの予想以上の反応速度に転生キラーは不意をつかれた。魔法頼みと侮っていたか。かつてない思考速度の持ち主だった!「ドォッ!」転生キラーはパンチ反動を活かしバックジャンプ!一方のエターナルも同様にし、距離を取った。「お互いの腕は破壊されたな。だが戦況は俺に有利だ。」エターナルは余裕を相手に示すように言った。


「貴様のスキルは回避能力。つまり攻撃は物理手段に限られる。魔術攻撃を取れぬ貴様には、その負傷は致命的だ。」言いながらに、エターナルは敵の様子を伺った。そして気づく。転生キラーの片目が土色に変色し、全身が火炎のような同色のオーラに包まれている。やはり単なる潜行能力とは思えない。


「例え四肢がもげようとも貴様ら転生者を殺す。それだけだ。」転生キラーの言葉に迷いはない。その事実に多少の畏怖を覚えながらも、エターナルは眼前の敵の焦燥を感じ取った。おそらくはダスティシルクとの戦闘から残るダメージが未だ残っているのであろう。この無駄話に応じることが、体力回復を必要としていることを説明していた。


「戯言を! ハーッ!」エターナルは相手の懐に潜り込み突き上げるアッパー攻撃!「オオーッ!」転生キラーはバック転回避! 更に地面に潜水した! 「卑怯なり!」エターナルはしかしその一瞬を狙っていた!「ギガファイア!」地面に巨大な火球を放つ! 頑丈な特性床材が飴細工じみて溶け、大穴が空いた!


「ヤァァァーッ!」煙立ち上る大穴から離れた位置に転生キラーが出現!エターナルに飛び蹴りを繰り出した!「読めている!」エターナルは殺人キックを最小の動作で回避し、ガードが甘い胴体にその拳を打ち付けた!「グオオーッ!」転生キラーが吹き飛び、違法薬物収納キャビネットに叩きつけられた!


「ギガサンダー!」無慈悲な高速電子真槍がキャビネットに身を沈めた転生キラーに放たれた! もはや万事休すか!? しかし! 


「クリアランスホール!」転生キラーは倒れ込むように、再び床下に消えた!


転生キラーは地面を泳ぐ中で思考を巡らす。もはやこれが最後か。スライモールの魂は風前の灯火。次の出現で転生が切れる……。


一方エターナルもまた高速思考する。潜行能力は極めて厄介。例えこの建物を破壊しつくしたとて、屋外戦闘に移るだけ。このまま浮き上がらず逃げる可能性さえある。そうなれば常に暗殺のチャンスを与えることになる。ならば逆に、この潜行直後のこの一瞬がチャンスだ。逃してはならない。


「ルチアーノ様、申し訳ありません。」「な」ルチアーノが確認の質問をするよりも早く、エターナルは魔法を唱えた。「ギガインパクト!」その瞬間。ドラコ市は揺れた。エターナルはチートスキルによって底上げされた膨大な魔力、そのほとんど全てを物理攻撃エネルギーを下方向に発射したのだ!


衝撃そのものの顕現! 激しい爆音が轟き、床に巨大な穴が空いた!

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