初めてのお泊まり 7
マキナに手を握られたまま、俺は何も言えなかった。
嫉妬なんて格好悪い。
そう思っていたのに、マキナには全部見透かされていた。
「ふふっ。太一、分かりやすすぎ」
「うるさい」
「拗ねとる?」
「拗ねてない」
そう言い返すと、マキナは楽しそうに笑った。
「じゃあ、次は絶叫系乗ろ!」
「えっ?」
「もちろん一番怖いやつな!」
嫌な予感しかしなかった。
そして…
この遊園地で大人気のジェットコースターに乗る事になった。
待ち時間は15分程。
雑談しつつも俺は苦手なジェットコースターにドキドキしていた。
そして順番に乗り込み、ガタゴトと動き出す。
その時、マキナが俺の手を握ってきた。
マキナの顔を見ると、緊張していた。
もしかして、絶叫系苦手⁈と聞くと、
高所恐怖症やねん…
真剣な顔で前を見つめながら呟く様に言った。
思いっきり笑ってやろうと思ったが、少しずつスピードを上げるジェットコースターに俺も余裕がなくなった。
ジェットコースターから降りると、2人とも疲れはて、ベンチに座り込む。
数分程、無言の時間が続く。
ふと、気づくとマキナは俺の顔を覗き込んでいた。
俺もマキナの顔を見る。
特に、何か起きた訳ではない。
ただ、お互いの情けない顔を見ていると、おかしくなってしまった。
気づけば2人とも、声を出して笑い合っていた。
笑いながら、そろそろ閉園時間も近づいてきたから、最後に観覧車で落ち着こうと話しになった。
乗り場まで歩いてると、
よければ写真お撮りしましょうか?
と、スタッフから声をかけられた。
俺はマキナにどうする?と聞こうとマキナの顔を見る前に、マキナが、
お願いします!
と答えていた。
俺は呆れた様に笑いスタッフにお願いした。
観覧車の前で撮りますね!
そう言い、スタッフは俺たちを撮影スポットまで誘導した。
観覧車の真正面まできて、何かポーズしてください
と求められ、ありきたりではあるがしっかりと手を繋ぎ満面の笑顔で大きくピースして撮ってもらった。
スタッフから写真を受け取り、観覧車の乗り場もすぐそこだった為観覧車の中で写真を確認した。
そこには、本当に幸せそうな2人が満面の笑顔で映っていた。
「いい写真やね」
マキナは嬉しそうに写真を見つめ、小さく笑う。
「これ、大事にする。」
そう言って、バッグにしまおうとした時だった。
ふと、俺は写真の端に目を止めた。
「……ん?」
俺達から少し離れた所。
人混みの中から、こちらを見ている男が一人写っていた。
帽子を深くかぶり、腕を組んだまま、真っ直ぐ俺たちを見ている。
偶然……だよな?
そう思った、その瞬間。
マキナの表情が変わった。
笑顔が消えた。
「……えっ」
手にしていた写真を、ぎゅっと握りしめる。
「どうした?」
俺が聞くと、マキナは写真から目を離さないまま、小さく呟いた。
「この人……」
そう言いながら、俺も気になった男を指差した。
その声は、さっきまで笑っていたマキナとは別人のように震えていた。




