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温かいお茶 その後  作者: カラカラ


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4/7

初めてのお泊まり その4

カルナのこんな弱い姿を初めて見た。

いつも、明るく眩しいくらいの笑顔をしていた。

そんなカルナを見て俺は咄嗟にカルナの手を包み込んだ。


カルナは驚いたような顔でこちらを見る。


続けて、俺は言った。


カルナ…大丈夫。


それが精一杯だった。


もっと上手く言葉にできないのか、もっとカルナを安心させる言葉なないのか…


そう思いながら、強く手を握った。


カルナは俺の顔を見つめたまま、涙を拭う。


太一・・・


長い沈黙。


本名で呼んで欲しい。


そう言えば、俺はまだ本名を知らなかった。


ずっと源氏名であるカルナと呼んでいた。


付き合ってるのに、全然気にならなかった…


あっ…と俺は情けない声を出しながら、本名知らない…


そう言うしかなかった。


マキナ。


カルナは俺の顔を見たまま呟いた。


本名を聞いただけなのに。

それだけで、少しだけ“本当に恋人になれた気”がした。


俺は、もう一度手を握り直して、言った。


マキナ。大丈夫。


やはり。大丈夫しか言えなかったが、マキナは満面の笑みで頷いた。


その笑顔を見た瞬間。

俺は、今日ここに来て本当に良かったと思った。


カルナ…いや、マキナは


名前…呼んでくれて嬉しかった。ありがとう!少し、安心した!ごめんね。変な空気にして。


カルナおどけたように顔の前で両手を合わせた。


その後、食事をしながら雑談していると、またマキナの携帯が鳴った。


ちょっとごめん。電話してくる。


少し申し訳なさそうに外に小走りで出て行った。


数分するとマキナは戻ってきた。


着席するなりマキナが


電話はお店からだった


と報告してくれた。


お店から?大丈夫?


そう聞くと、常連さんが出勤してくれないか?って言ってるから出勤できないか?って言われたから、今日は無理です。って断ってきた!


とマキナは笑顔で言った。


俺は少し安心していた。


マキナが、今日は俺との時間を選んでくれた。

それが嬉しかった。


……でも同時に。

デリヘル嬢と客が付き合うって、お店側からしたらどうなんだろう。


今さら、そんな事を考える。

別れろって言われたりしないのか。

マキナは大丈夫なのか。

さっきまで浮かれていた頭の中に、少しだけ現実が入り込んでくる。


すると、そんな俺の顔を見たマキナが、くすっと笑った。


「太一、また一人でぐるぐる考えとるやろ? ほんま顔に出やすいなぁ」

……やっぱり、顔に出ていたらしい。

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