初めてのお泊まりその3
「彼女がデリヘル嬢って、太一的にアリなの?」
カルナは俯いたまま、静かに聞いてきた。
──来た。
いつかは絶対、向き合わなきゃいけない話だと思っていた。
でも。
思っていたより、ずっと早かった。
俺はすぐに言葉が出なかった。
正解なんて分からない。
ただ一つだけ。
もうカルナと離れたくない。
その気持ちだけは、はっきりしていた。
だから俺は、一度深呼吸してから口を開く。
「……正直に言うね」
「俺は、多分世間から何言われても気にしない」
「デリヘル嬢の彼女なんてやめとけって言われても、多分平気」
カルナは黙って聞いていた。
「でも」
そこだけは、誤魔化したくなかった。
「俺の知らないところで、カルナが他の男に抱かれてるって考えると」
「……正直、苦しくなる時はある」
言葉にすると、胸が少し痛んだ。
でも。
それも全部含めて、カルナを好きになったのだ。
「だからって、今すぐ仕事辞めてとは言えない」
「カルナにも生活があるし」
「でも」
俺はカルナを見る。
「もっと俺がちゃんとした人間になれたら」
「その時は、辞めてほしいって思う」
そこまで言うと。
カルナは俯いたまま、静かに黙り込んだ。
少しの沈黙のあと。
カルナは、小さく呟いた。
「……やっぱり、太一を選んで正解だった」
その言葉は、嬉しいはずなのに。
俺は何も返せなかった。
カルナはゆっくり顔を上げる。
目が少しだけ潤んでいた。
「太一が本音で話してくれたから」
「私も、本音で話すね」
カルナは静かに話し始めた。
「太一と会う前はさ」
「どんな男の人と会っても、正直全然楽しくなかった」
「どれだけ優しい人でも」
「どれだけエッチ上手い人でも」
「何も感じなかった」
その言葉が、少し苦しかった。
でもカルナは、無理に笑いながら続ける。
「でも仕事やから」
「生活しなきゃいけないし」
「だから必死に演技してた」
俺は何も言えない。
多分。
俺が思ってるより、ずっと大変だったんだと思う。
「でもね」
カルナは、少しだけ優しく笑った。
「太一と会って」
「いっぱい話して」
「指名してくれるようになって」
「気づいたら、本当に会うの楽しみになってたの」
胸が熱くなる。
「でも、実際付き合うとね」
カルナは俯く。
「嬉しいのに、めっちゃ不安になる時あるんよ」
「デリヘル嬢の彼女とか、普通ありえへんやんって」
「いつか遊びやったって言われるんじゃないかって」
声が少し震えていた。
「太一が、そんな人じゃないって分かってるんやけど……」




