初めてのお泊まりその2
「久しぶりやね!」
カルナは満面の笑顔でそう言った。
……反則だろ。
たった一週間。
それだけしか会ってないのに、こんな顔を見せられたら、一気に理性が吹き飛びそうになる。
「一週間ぶりじゃん」
浮かれているのを隠すように、俺はわざと冷静に返した。
でも本当は。
今すぐ抱きしめたいし、キスだってしたい。
カルナはニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む。
「えー?」
「会いたくなかったん?」
多分、分かっているのだ。
毎日のLINEで、俺がどれだけ浮かれているか。
「そんな訳ないじゃん」
俺も誤魔化すように笑った。
そしてカルナは、温かいお茶を飲みながら聞いてくる。
「今日はご飯行くのは聞いてるけど、その後どうするん?」
「……え?」
俺は固まった。
そういえば。
会いたすぎて、とりあえずご飯だけ誘っただけだった。
その後の予定なんて、何も考えていない。
「……もしかして」
カルナは少し間を置いてから、ニヤニヤしながら聞いてきた。
「ノープランですか?」
久しぶりに聞く敬語。
なんか懐かしくて、変なところで少し嬉しくなる。
でも今は、それどころじゃない。
俺は必死に頭を回転させていた。
映画?
いや、今何が上映してるかなんて知らない。
食後に散歩?
……無難すぎるか?
ホテル。
──いや、めちゃくちゃ行きたい。
でも流石に付き合って一週間でそれは引かれる気がする。
そんな事を真剣に考えていると。
カルナが吹き出した。
「やっぱりノープランなんじゃん!」
ケラケラ笑いながら、カルナは俺の顔を覗き込む。
「まぁ想定内だけど!」
そう言って笑ったあと。
カルナは少しだけ頬を膨らませた。
「ていうかさ」
「今、ホテルとか考えてないでしょうね?」
ギクッ。
心の中で、そんな効果音が鳴った気がした。
「ほんと太一って、すぐ顔に出るよね!」
カルナはケラケラ笑いながら言った。
そんなに分かりやすいのか、俺。
少しだけ反省する。
でも。
もう変に誤魔化すのも違う気がした。
「そんな事考えてる訳ないじゃん」
「カルナに会いたくて、会いたくて仕方なかったんだから」
言ってから、自分で恥ずかしくなる。
でも、カルナの顔を見た瞬間。
俺は少しだけ安心した。
カルナの顔が、茹でダコみたいに真っ赤になっていたからだ。
……あ、これカルナも照れてる。
そう思った瞬間、今度は俺まで顔が熱くなる。
恥ずかしすぎる。
そんな俺を見ながら、カルナは真っ赤な顔のまま笑った。
「……正直でよろしい!」
真っ赤な顔で笑うカルナが、可愛くて仕方なかった。
「じゃあさ」
俺は少し笑いながら言う。
「今日の“初めてのデートプラン”は、ご飯食べながら一緒に考えよう」
完璧なプランなんて無い。
でも。
カルナと一緒なら、きっと何しても楽しい気がした。
「うん!」
「ありがとう!」
カルナは嬉しそうに笑う。
その笑顔を見るだけで、胸の奥が温かくなる。
こうして俺たちは、予約していたカフェへ向かった。




