初めてのお泊まり12
マキナは俺の胸の中でしばらく涙を堪えるように小さく震えていた。
少し落ち着いたのか、マキナは
ありがとう。そして、ごめんね。
と言いながら、キスをしてきた。
謝る事は何もないよ。
と言いながら、キスを返した。
マキナは笑いながら、抱きついてきて
太一は優しすぎ
と明るい声で言ってきた。
その後、ちょっと落ち着いたのか、またソファでのんびりしていると、
お父さんの事気になる?
そう言われ、なんと答えるべきか迷ったが、無理に話さなくていいよ。マキナが話したいと思った時に話してくれればいい。
そう言うと、クスッと笑いながらマキナはゆっくりと話し出した。
さっきも少し話したけど、私のお父さんはね、お酒を飲めばすぐに暴力を振るう人。
「私もお母さんも何度も殴られた。」
思わず息をのむ。
何か言葉を返そうとしたが、何も出てこなかった。
マキナは少し目を伏せたまま、続きを話し始める。
お金もお母さんの財布から、いつも取ってた。
他にも色々あるけど…とにかく昔はお父さんが怖くて怖くて仕方なかったの。
だから、お父さんはもちろん嫌いだったけど男の人も嫌いだった。
でも成人して、学歴も無いし、資格もないから中々良い仕事に巡り合わなくて、風俗の世界に入ったの。
生きていくのに必死だった。嫌なこともたくさんあったけど、それでも生きていくために頑張るしかなかった。
そんな時に太一に会えたの。
最初は太一も性欲処理に来たただのお客さんだった。
でも太一だけは…違ったの。
思わず「えっ……」と声が出そうになる。
それでも、今は最後まで聞こう。
そう思い、黙ってマキナの話に耳を傾けた。
何がって言われると良く分からないけど…
そう言いながら、俺の顔を見て笑った。
話し終えたマキナは、小さく息をついた。
どれだけ話すのにも勇気が必要だったのか、その表情を見れば分かった。
そっか。話してくれてありがと。
そう言いながら、自然とマキナを抱きしめていた。
「実はね……この話、カルナにもしたことがあるの。」
久しぶりに聞くその名前に、思わず懐かしさを覚えた。
…そっか。親友なら相談しやすいよね。
うん。カルナも太一みたいに、真剣に話しを聞いてくれたんだ。
少し嬉しそうに、マキナは言った。
そういえば…カルナは最近元気してるの?
ちょっと話題を変えようと思って聞いてみた。
気になるの?
その言葉に少し怒りを感じた。
やってしまった…。
そう思いながら
最近連絡とってないんじゃないかな?と思ってさ…。
ドキドキしながら答えると、昔を思い出したのか
そうだよねー私をほったらかしにしてカルナと良く遊んでたもんね!
イタズラっ子ぽい顔で言ってきた。
さっきまで泣いていたとは思えないその笑顔に、俺も思わず笑ってしまった。




