決勝戦最終試合
【決勝戦視聴者待機室】
『な、なんで?』
『どうした』
『ダンスの達人落ちた』
『は?んなわけ。本当だ』
『代わりに新人が入っている』
『確かに混んでいたもんなあ』
『その割に動画の元々の視聴者が少ないんだけど』
『てことは、お題の一致と早出し?』
『になるなあ。て、なんで解けたんだ』
『ものすごいおじいちゃんかもよ』
『ああ、なるほど。
だからAIなんて言葉を知っていたのか』
【決勝戦第三試合】
秋『次でラストです』
言われなくてもわかっている。
胃が痛くて吐きそうなのと。
これは夢じゃないか疑っている自分が混在している。
そこに通知音。
『お題:1.9(7.1)9.5(14.1)9(11.15)(20.15)
A=1 I=9』
とうとう、字まで消えた。
冬樹の目にはもう暗号でしかない。
秋『解析します』
秋の静かな声。
秋『A I Ga I E Na I Ko To』
秋もあえてなのだろう。
いつもにもまして機械的な話し方だ。
てことは、素直にAIと読むべきなんだろう。
でも、愛もありえるし。どっちにする?
メモを見比べる。
言えないなら言語禁止。
愛なら餃子だ。
ここは、餃子が良い気がする。
アップロード画面。
春『今回は、皆早かったね』
春の言う通り。
今回は、最後のお題まで待つことなく皆出揃っている。
夏『やや、愛をテーマにしたものが多い印象よ』
タイトルからは、推測するしかないがそのようだ。
そして答えの通知音。
『AI(愛)が言えないこと』
両方とも正解ということは、お題はクリアだ。
春『ねえねえ、カップルMENてなあに?』
春の言葉に、コーヒーを飲もうとしていた冬樹はムセかけた。
秋『TENTYOOですね』
…まさかの、別のところでお題が被っていた。
夏『カップ麺の話でしょう?
ほら、ボーナスが出て冬樹の服のお金になった』
夏の扇が揺れる。
春『あ、冬樹がカップ麺と書いたのを店長が、
カップル面と読んだあれかあ』
春が懐かしむようにうんうんと頷いている。
秋『何故、これを出したのでしょうか?』
秋の疑問に。
春『案外お店の宣伝だったりして』
と冗談めかしていう春。
後日、その話があながち的外れでないことを冬樹は痛感する。
視聴者タイム
春『やっぱり、冬樹のところは少ないね』
夏『今度はTENTYOOがずっとマックスだわ』
もう何もしなくていいという緊張感から解放された冬樹。
顔を伏せていても、三姉妹の会話だけで状況が判る。
秋『でも、天楽さんのタイトル。
お店のシステムについてとは。
出して大丈夫なやつでしょうか?』
秋の呟きに、聞き返したいけどそれだけの気力がない。
春『大丈夫だと思うよ。
だって、天楽さんがお店のシステムって言っているだけ』
春、今何って言った?
【決勝戦第三試合視聴者室】
管理者:現在2名がマックスです。
管理者:現在1名が混雑しています。
『TENTYOOは、やっぱりカップルMENか』
『あのシリーズ面白いよな。
何故か、彼女がカップ麺にお湯を入れると
怪人が来るんだよな』
『そうそう、そのカップ麺が出来るまでに
怪人倒さなきゃいけないって何でだよ』
『天楽の、お店のシステムシリーズも
結構好きだけどなあ』
『ああ、店の売り上げの伸ばし方とか
ちょっとお笑い芸人ぽくて面白い』
『でも、あれって本物の芸人だよね。
わざとにそうしてるんだよね』
『それがまた面白いところなんだよ』
【最終結果】
春『下から発表でしょ?冬樹はどこだろ』
春が、胸を押えて深呼吸している。
秋『決勝戦は、点数も同時に出ますから』
秋の眼鏡が何度も行き来している。
夏『どのみち最下位なのはわかっているんだから』
夏の扇が揺れている。
皆で画面を見る。
5位:冬 195点
…わかっていたけど、地味に悔しい。
4位:人の限界 205点
思った以上に点差が開いていない。
3位:AI共同体 225点
うん。問題は、最後の二人だ。
店長、頑張ってください。
2位:天楽 260点
1位:TENTYOO 275点
TENTYOOの優勝の表彰式。
と言っても、ボイスチャットで繋がっている。
実際の店長の声を知っているだけに違和感があるけど。
天楽も準優勝の表彰がされている。
自分にも、5位の証明書が送られてきた。
これがあれば、全てのチャンネルが1年間無料らしい。
あと、うちのバイト先の商品10パーセントOFF券1年分。
いるのか?バイト先のご飯、タダなんだけど。
…スポンサーだもんな。
そして、大会専用の画面が消える。
秋『では、来年の大会に向けて反省会しますか』
え?秋。せめて余韻には浸らせて。
春『何を作ろうかなー。冬樹、いっぱいあるもんね』
だから、お願いだから。
お祝いとか、無いの?
夏『今回で、ある程度相手の傾向もわかったわ。やるわよ』
初心者が5位だよ?わかる?




