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机の上の三姉妹~あなたの心サポートします~  作者: はらぺこ姫
大会予選・動画作成(後半)編
37/47

ノルマ達成

【冬樹のバイト先】

冬樹がバイト先に着くと。

「毎回済まないね。冬樹くん」

自分の子供を抱いた店長の姿。

隣では、動画機材を持った伝五郎さん。

「撮影は任せとけ」

夏からは、ここで元四天王の1人が。

バイト先で待っていると聞いたけど。

「まさか伝五郎さん?」

でも、伝五郎さんなら、そう言うか。

「向こうで待っているよ」

店長に促されて。

カラオケスペースの扉を開けて、閉める。

居たのは店長の奥さん。

冬樹は記憶を漁る。

たしか、TENINNの引退理由は産休。

確かにその頃、冬樹もここで働きだした。

産まれたのもその後だから話は合う。

情報が追いついたところで、ドアが開く。

「何をしているの?」

そのまま、店長の奥さんに中に引きずり込まれた。

後から入ってきた伝五郎さんがカギを掛けた。

これで、すぐには店長も入れない。

でも、冬樹も簡単には出られない。

「夏様とのピアノ。楽しみだったのよ」

夢見る乙女のような表情で、店長の奥さん。

目の前には、トロピカルなジュース。

夏様にと書かれているので、冬樹は手をつけられない。

仕方なくスマホを出し、夏を呼ぶ。

夏『あら、気が利くわね』

夏は、夏のバカンスのような服装。

しかも、パラソルなんか出しているけど。

まるで有名女優並みの扱いと態度だ。

いや、確かに夏の動画は撮る。

でも、これで良いのか?

思わず、自分の服を見る。

自分の服装はいつもと変わらない。

店長も、仕事扱いにしてくれる。

不満もないけど、しっくりもこない。

夏『で、何がしたいの?』

サングラスを外しながら夏。

目の前のジュースと同じものを持つあたり。

今の待遇が気に入っているようだ。

冬樹より夏の扱いに詳しいとは一体。

遠い目をしている冬樹の横で。

「そうそう、伝五郎お義父さんが。

秋ちゃんと歌っていたでしょう?」

伝五郎さんが、カメラを回しながら頷く。

「私は、夏様とピアノを弾きたいのよ」

示された機材は、冬樹にはわからないが。

確かにそれっぽいもののようだ。

夏『アクセスしても?』

夏の確認に。

「光栄です」

と照れながら返す店長の奥さん。

何か違う気がする。

でも、2人は違うようで。

「へぇ。ここ、こんなふうに」

と、店長の奥さんが言えば。

夏『なるほど。この方向ならこうすれば』

と忙しい。

伝五郎さんは、孫の成長を記録するように、

ニコニコしながらカメラを回している。

部屋の片隅には、冬樹がひとりぽつんと佇む。

むしろ、店長のところに居る方が平和かも。

そう思い始めたところで、2人が頷きあう。

そして、思い出したように冬樹を見る。

「冬樹くん。夏のピアノのドラマで。

夏が1人では弾けないピアノを前に。

困っているシーンがあったよね」

冬樹が頷く。

「あのシーンで流れていた曲の完全版ができたよ」

えっと。あれって、適当に夏が弾いていたのでは?

夏『あれのベースは、冬樹の外れた歌だから』

あの。それはどういう?

「春ちゃんと秋ちゃんが動画を編集していたでしょう?

あれをみていたらそうかなあと思って、夏様に聞いたの」

何、そのガチ勢。怖いんですけど。

そんな冬樹を置き去りに、更に2人で盛り上がっている。

でもまてよ。…俺の歌ならいいのか?


【冬樹の部屋】

秋『お疲れ様です』

2日連続で、バイトをした気になれない冬樹。

夏『よし、これで2つできたわよ』

対する夏は、一仕事終えたとばかりにすがすがしい。

春『いいなあ。私も何かしたい』

春が羨ましそうにつぶやく。

夏『仕方ないわよ。元四天王は2人しか居ないもの』

確かにそうではあるけども。

あと、残り3つ作らなければ。

何かないか。

ひたすら自身の動画の一覧表とノートを見比べる。

ふと、今日の話を思い出した。

伝五郎さんも、店長の奥さんも不思議がっていたこと。

サポートキャラは、普通は物を動かせないらしい。

他の機械へのアクセスは、権限を与えれば出来る。

この世界において、文房具も機械が組み込まれたものが主流で。

例えば、このペンもインクが切れたら自動で補充される。

ノートも、持ち主以外は使えない。

だから、三姉妹もノートを見ることは出来ても書き換えは出来ない。

実際、動画の撮影においてはどうか。

それを応用すれば、物を動かしたように見せることは可能である。

その結論に達した伝五郎さんと店長の奥さん。

冬樹にやり方を聞いて実際にやってみたところ。

伝五郎さんのサポートキャラも出来ることはできた。

でも、三姉妹の場合は、それだけではない気がする。

まずは確認とばかりに三姉妹に聞く。

「春。確か現実の食べ物は食べられないよな」

当然とばかりに、春が頷く。

今日の夏も、実際には雰囲気だけで食べてはいない。

「基本、現実のものは作れない」

夏が扇を揺らす。

実際、動画の中で三姉妹が出すのは、ホログラムだ。

「でも、現実のものは動かせる」

秋が頷く。

今でも、冬樹のノートは秋の手によって動いている。

「その定義はなんだ?」

三姉妹が首を傾げた。

冬樹は、ノートを取り出して何かを書く。

「春、これができるか?」

しばらくノートを見つめていた春。

春『できるよ!』


画面の中央には、ピエロの格好をした春。

春『やっほー。春だよ。

今日はね、曲芸をするんだ』

目の前には、コイン。

それを春が投げると、コインが立てる。

その上に立つ春に、横から夏がペンを投げる。

春『よっと』

コインの上にペンが乗り、その上に立つ春。

更に反対から秋。

秋『行きます』

消しゴムがペンの上に乗り、更にその上に立つ春。

春『じゃーん』

そこで映像が切れる。


「やっぱり」

冬樹のノートに書かれた絵。

それと同じ光景が映像に収められている。

理由はわからないけど、実際にできている。

「じゃあ、これはどうだ?」

機械が組み込まれていない消しゴムを絵にかく。

春『それは無理だよ』

やっぱり無理なようだ。

それも動画に収める。

ラストの1本。

冬樹がコインを立てらせようとしても上手くできない動画。

こじつけのような気がしないでもないが。

これで、100本の動画が出来上がった。

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