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机の上の三姉妹~あなたの心サポートします~  作者: はらぺこ姫
大会予選・動画作成(後半)編
32/47

サポートキャラの機能

【コメント欄】

頂点

『やるねえ、冬くん。

とにかくおめでとう』


通りすがりの人

『サポートキャラの編集画面。

僕の普通ですけど。

どうやったら、春ちゃんみたいなの出るの?』


匿名者

『自分も同じ。課金しているとか?』


頂点

『課金にはそんな機能はない。

そういう設定をしたと考える』


通りすがりの人

『その設定画面ってどこに?』


院展

『たぶん、初期設定と拡張で設定したのかな。

あー。夏様の編集線が見たい』


点々

『秋ちゃんのドラマ。まだですか』


通りすがりの人

『え、拡張押したら、空欄なんですけど』


頂点

『たぶん、そこに設定を書いたはず。

ただ、それまでのキャラと合わないとバグる』


匿名者

『というか、編集線の設定なんて普通はしない。

もっと他のところに使う』


夏『ちなみに、私の編集線は楽譜。

秋の編集線は木よ』


点々

『木…想像がつきませぬ』


匿名者

『だから、普通じゃないからね。それ』


【スマホの中】

秋『編集線が木…』

秋が、コメントを見て固まっている。

夏『まあ、事実だから』

夏の扇が揺れている。

春『もともと、夏の設定から私と秋の拡張の時に。

秋は本。本と言えば紙。紙と言えば木みたいな?』

だからと言って、他の人が同じようにできるかと言えば。

おそらく無理。春もそう言い切れる。

本来なら、一人の設定のところを無理やり三人にし。

その入りきらなかった部分をのちに拡張。

バイト代が入る度にその拡張を繰り返していたせいで。

他のサポートキャラとは違い。

ミルフィーユのように設定が積み重なっている。

夏『その場その場の思いつきじゃないのがまた』

夏の扇の揺れが、呆れている。

秋も、冬樹の暗号のような設定ノートを思い出す。

秋『でも、ドラマで木なんて育てませんよね?』

春は着ぐるみ。夏はピアノ。

編集線の設定に絡んだものがドラマになっている。

秋の設定は、ドラマにどう影響するのだろうか。


【冬樹のバイト先】

「そうか、二次予選も通過したか」

バイトに着くなり報告した冬樹に、店長は嬉しそうだ。

このまま、自分のアカウント名を伝えるか悩むも。

本戦に出場してからと思い直す。

ふと、思い出したように店長。

「TENTYOO、天金、天楽、でTENINN。

この4人が四天王の話覚えている?」

今更何を?と思いながらも頷く冬樹。

「今年、応募を変更した理由も言ったよね」

確か、四天王の2人が引退したら観る人が減るかもとか。

「蓋を開けてみたらさ。

誰が次の四天王候補?で盛り上がっていてね」

その気持ちはわかる気がする。

「そう言えば、天金さんの引退理由ってなんですか?」

店長なら、噂じゃなく事実を知っていそうなので聞く。

「去年さ、自分の限界に挑戦する!

そう言って、足の骨折っちゃったんだよ。天金。

いくらアクションが得意といっても。

崖から飛び降りる演出に挑戦しようなんて無茶だよね」

えっと。

「詳しく知りたいなら、本人に聞くといい」

店長がカラオケスペースを指差す。

まさか、本人が近くに居るんですか。

目で店長に促されて、扉を開けて、閉める。

中に居たのは、伝五郎さん。

それは良い。

机の上にはスマホ。

そして、サポートキャラのホログラム。

これも良い。

でも何故。

サポートキャラにマイクを向けて。

デュエットしてくれと頼んで。

それには対応していませんと断られているんだろう。

悩む冬樹に、目の前の扉が開かれる。

「お、冬樹くん助けてくれ」

この光景、既視感がある。

そして今回は。

何故、伝五郎さんとデュエットしているのか。

しかも女性パート。

冬樹の音程は、自分でもわかるくらい外れている。

そんなことは、伝五郎さんは全く気にしていないようで。

終始ニコニコしながら歌っている。

目の前では、サポートキャラが手拍子を行なっているが。

手拍子がメトロノームのようだ。

「他では、歌うキャラが居たのにねぇ」

伝五郎さんが肩を落とす。

「俺のやり方で良ければ、教えましょうか?」

相手は、伝説級の四天王の1人にも関わらず。

冬樹は思わず提案する。

「本当かい?うちの子でもできるかな」

伝五郎さんは、嬉しそうに冬樹の手を握った。

「ただ」

冬樹は、サポートキャラを見る。

『性別変更しますか?』

サポートキャラが首を傾げる。

「いやあ、これは自分の若い頃がモデルだからねぇ」

伝五郎さんが悩んでいる。

サポートキャラと伝五郎さんを見比べる。

似てなくもない。

「そのままでいいと思いますよ」

そう言いながら、冬樹は紙を広げる。

「それに合わせて、自分が曲を作ればいいだけですから」

それは盲点とばかりに、伝五郎さんが冬樹をみる。

「まずは、思い浮かぶ歌詞を書くんです。

メロディが思いつけば、それは鼻歌でもなんでも」

伝五郎さんが、さっそく紙に何かを書き始めた。

「そうだ。どうして動画引退したのですか?」

冬樹の質問に、伝五郎さんが首をひねる。

「骨折したから?」

それは聞いた。

でも、今は普通に踊れるほど回復している。

「若い頃は、アクション俳優に憧れてね。

スタントの仕事をしていたんだよ」

伝五郎さんの遠い目。

「その仕事を引退した頃に。

息子から動画制作を勧められてね。

楽しくて夢中になっていたら。

四天王なんて呼ばれていたんだよ」

へえ。

「でも、ついついやりすぎちゃってね。

あちこちにガタがきていると。

骨折したとき、医者から止められたんだよ」

日常生活に支障はないんだけどねえ。

そう言いながらも。

冬樹の助言に従って、歌に直し始める。

「なるほど。歌う箇所を指定しておけば良いのか」

伝五郎さんが出来上がった歌を、サポートキャラが読み込む。

やがて、それを元に出てきた曲を聴きながら。

伝五郎さんと2人で編集する。

「自分で編集なんて初めてです」

冬樹の驚きに、伝五郎さんが頷く。

「アナログにはアナログの良さがあるからね」

やがてお互い満足できるものができ。

伝五郎さんが歌いはじめた。

「お、デュエットかい?」

そこに飲み物を持った店長が現れる。

「息子よ。これは楽しいぞ」

マイクを持ったまま、伝五郎さんが叫ぶので。

冬樹は思わず耳を塞ぐ。

でも、店長に向かって。

息子とか言ってなかった?

「そうだよ。僕のお父さん」

冬樹にも飲み物を渡しながら、店長。

「そっくりでしょ?」

いや、もう少し細ければ比較も出来るんです。

その言葉を冬樹は飲み込む。

「そういや、子供の頃」

今度は、店長が遠い目。

「憧れのピンク戦隊の女性が。

変身した間の中身が、父親だと知った時。

本気で家出を考えたな」

…それはわかる。

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