表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
机の上の三姉妹~あなたの心サポートします~  作者: はらぺこ姫
大会予選・動画作成(後半)編
31/47

第二次予選

【コメント欄】

頂点

『文字は書かないと忘れる』


点々

『秋ちゃんの指導、羨ましい。

このまま儂も字を教えて貰いたい。

冬殿、成果が出ないなら、儂と変われ』


院展

『夏様。何度もドリル出現していたね。

冬くんの才能じゃないかな』


通りすがりの人

『あれは、わざとそういう演出を狙って』


夏『そんな訳ないでしょ』


匿名者

『でた…』


【冬樹のバイト先】

「あ、店長おはようございます」

冬樹が店長に挨拶すると。

「冬樹くん、悪いんだけど。

これ、隣に持っていってくれる?」

電話をしていた店長が、届いた荷物を指差す。

隣はカラオケスペース。

今日は誰が来ているんだろう。

「お、冬樹くん。久しぶりだね」

居たのは、店長の奥さんと子供の2人。

そこに。

「冬樹くんも手伝ってくれるの?」

美奈さんの声が入り口から聞こえる。

「お母さん!」

奥さんと美奈さん、親子だった?

「この前、冬樹くんにブロマイドをあげたでしょう?」

美奈さんに言われて頷く。

「ちーくん(店長)に、お店にも欲しいと強請られてね。

こうして、当時のポスターを持ってきたの」

ああ、だから額縁が届いたのか。

「ほら、お母さん。ここ、サインして」

美奈さんにペンを渡す奥さん。

何も言わずに、ペンを握りサラサラと書く美奈さん。

「やっぱり、社交ダンスで有名な人だったんだ」

驚く冬樹に。

「あら、知っていたの?」

美奈さんは堂々としたものだった。

無事、カラオケスペースに額縁を飾り終え。

満足気に頷く、後から来た店長。

「この勢いで、お義母さんには復帰して欲しいな」

などと言って、照れた美奈さんに。

パシパシされている。

「こんな年寄りがいつまでも活動していたら。

若い子が嫌でしょうに」

そう言いながら。

孫でもある店長の子供を抱き上げたりと忙しい。

「そんなこと言いながら、この前―」

言いかけた店長が、美奈さんを見て固まる。

隣の冬樹ですら、一緒に震えた。

美奈さん、怖いです。

春の気持ちがちょっとわかった冬樹。


【冬樹の部屋】

「美人な人が怒ると怖いな」

バイトから戻ってきた冬樹の一言に、春が頷いている。

「自分のことじゃないのに―」

夏の髪が渦巻き出したのを見て、冬樹が止まる。

春が秋の後ろに隠れた。

その時、冬樹のスマホに通知音。

二次予選の開始だ。

店長たちのおかげで。

今回は余分な緊張はせずに済んだものの。

これで良いのかなと思いながら、スマホを開く。

「お題。

“このシステム、ちょっと人間すぎる”

“その展開、早すぎる”」

読み上げながら、三姉妹を見る。

頷く三姉妹に、答えは決まっている。

「よし、春。

二次予選は、三姉妹の紹介動画を頼む。

いくつか候補があると思うから。

タイトルは“三姉妹、参上!”。

秋、春がやりすぎないように頼む」

秋がキラリと光る眼鏡をあげる。

秋『規約違反ギリギリを見極めます。

春、やれるとこまでやりますよ』

春の腕がぐるぐる回る。

春『任せて!夏、リソースこっちに回して!』

夏の扇が揺れる。

今回の夏は、観戦モードのようだ。

春が、パンと手を鳴らす。

春からあふれ出す光。

「虹?」

春が出す編集線は初めて観た。

音楽の譜面を思わせる夏の線と違い。

春の線はどこまでも春らしい。

春『みんな、いっくよー』

キラキラ光る春の手の指示に従って。

カニが編集線を切り。

鳥がそれを繋ぎ。

別の場所では、猫が爪で引っ掻いた?

秋『それは違います』

隣で犬が、秋の指示棒によって。

牧羊犬のように走っている。

「大丈夫、だよな?」

思わず、隣の夏をみる。

夏『見る限り、違反ではないわよ』

ソファでくつろぎながら夏の返事。

一応、夏もチェックしてくれているらしい。

春『できた』

そこには、アニメのオープニングを思わせる映像。

三姉妹の掛け声と共に爆破音が。

元の音楽にピッタリと合っている。

「元の映像と違う気もする」

冬樹の声に。

春『よく見て!繋ぎ目の演出。

小さな元動画の圧縮を演出に変えているの!!』

隣で秋が頷く。

秋『この部分は、2つの映像を同時進行させています』

夏『ここは、映像を回転させて演出しているわよ』

冬樹の目がぱちぱちとなる。

「途中、春の目のウルウルとか。

夏の流し目とか。

秋の眼鏡キランとかあったか?

春、最後にはウインクしているぞ」

三姉妹がそれぞれ黙って該当の箇所を指差す。

「本当だ。いつの間に…」

そしてアップロード画面。

無事に通過する。

「本当に、なんなんだよ」

人間過ぎるお題はお願いした通りになっている。

でも、その展開、早すぎるでも通ったかも知れない。

春『だって冬樹お題指定しなかったよ?

だから、どっちでも通じるように作ったの』

あれ?言ってなかった?

頷く春。

言わなくても通じていると思ったのは自分だけ?

秋『こういうのは、今後きちんと指定してください』

…はい。

そして、締め切り時間が過ぎる。

夏『今回、私は何もしていないから』

そういって、夏は静かにスマホの向こうに消える。

「怒ってないよな?」

秋に確認をする。

秋『違うと思います。

おそらく確信したのでしょう』

冬樹が首を傾げる。

春『夏は、今回の動向はある程度調べているよ。

二次予選は、お題選びさえ間違えなければ。

7割の確率で大丈夫って言っていたの』

スマホの向こうにいる夏。

そう言えば、コメント欄の返事も。

夏だけがこまめにしていた。

冬樹は、反応を返すので手一杯なのに。

秋『そろそろ、結果がくる時間です』

思わず、スマホを握りしめる。

鳴る通知音。

結果は―二次予選通過。

春『お知らせ、する?』

動画の準備をしながら、春の確認。

「応援してくれる人のためにもしとかないと」

たぶん、夏もスマホの向こうでそれを待っている。


画面の向こうで、春と夏。

春『今回、春。めっちゃ頑張ったんだよ』

春の言葉に、秋が頷く。

秋『春の編集風景、観てもらいましょう』

春が、パンと手を叩く。

浮かび上がったのは、冬樹が歌っている姿。

「おい」

思わず声が出る冬樹。

それは相手にされず、春の虹がかかる。

先ほど同じように、生き物たちが動き。

出来上がった動画は10秒ほど。

春『じゃあね』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ