看板企画誕生
【スマホの中】
春『結局選べないって、冬樹らしいね』
笑いながら春。
夏『まあ、ラストに使うのは良いでしょう』
夏もまんざらでは無さげ。
秋『必死でどこに使うか悩んでいましたからね』
結局、オープニングには春を。
エンディングには夏を。
場面転換などには。
秋のロゴを使うことでまとまった。
春『そのうち、歌とか出したりして』
春の、冗談ともとれる言葉に秋の目が泳ぐ。
冬樹の封印したはずの日記が。
再び日の目を見るのは、そう遠くないかも知れない。
【冬樹のバイト先】
冬樹がバイト先に着くと、賑やかな声。
「お、冬樹くん。いいところに来たね。
一曲どうだい?」
どうやら、近所の人たちと店の喫茶スペースで。
店長たちはカラオケ大会をしていたらしい。
「懐かしいねえ。こうやって歌うのも」
そう言いながら、冬樹の知らない曲を熱唱する人。
それに掛け声をかけながら、タンバリンを鳴らす人。
最後には、踊りだす人までいる。
その人たちが、時々店の商品を買っているので。
店の売り上げにはなっている。
「冬樹くんの知っている曲も、あると思うけどねえ」
そう言いながら、店長が歌った曲は。
確かに、冬樹の子供のころに流行った曲だ。
しかも、記憶より上手い気がする。
新たな店長の才能を知った冬樹。
家で一度練習する必要があるかも。
そう思いながら、レジの方へ避難した。
【冬樹の部屋】
家に帰った冬樹。
早速、カラオケモードを起動する。
春『冬樹?どうしたの?』
普段見ない冬樹の様子に、春が反応する。
「たまには歌おうと思って」
その間に、バイト先の話を聞いた三姉妹。
春『ライティングは任せて』
何故か、急に部屋がチカチカ光りだす。
夏『じゃあ、音響は私が』
部屋隅に、巨大なステレオが出現する。
秋『じゃあ、採点モード担当します』
思った以上にノリノリの三姉妹。
「別に、これ、動画にしないからな」
何度も念を押す冬樹。
そして、待望の一曲目。
「あれ、音程これだったっけ?」
思い出せない冬樹に。
春『じゃあ、一緒にハモってあげる』
春のサポートでなんとか1曲歌い切った冬樹。
秋『点数は…必要ですか?』
秋の確認に。
夏『冬樹の歌、リピート再生する?』
状況から冬樹は察した。
やっぱり、あの時歌わなくて正解だった。
【スマホの中】
春『楽しかったね』
あれから何曲も歌った春は満足そう。
夏『たまには、こういうのも』
夏も、それなりに歌ったのでご機嫌だ。
秋『まさか、演歌を歌わされるとは』
秋には、想定外の出来事だったようだ。
春『冬樹が聞いた曲を秋が探すからだよ』
まさか、バイト先で冬樹が聞いた曲を。
つい意地になって検索しているうちに。
正解が出るまで歌わされる羽目になるとは。
何かの罰ゲームだったのだろうか。
そして後日。
面白がった春と夏の提案により。
冬樹の鼻歌から三姉妹が歌を当てるという。
初の看板企画が誕生したのである。




