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お絵描きゲーム

【冬樹の部屋】

夏『これから、100本の動画到達まで。

どうやって作るつもりですの?』

と夏の指摘に始まり。

春『同じことばかりだと飽きちゃう』

と春の言い分もわかる。

冬樹は考える。

「そろそろうちの動画の看板企画が必要だな」

動画バトル小冊子に書いてあったこと。

まずは広く浅く。

そこから、看板企画を育てる方法。

こうすれば、お題の網羅にも繋がる。

冬樹はノートを幾つか開く。

三姉妹達も一緒に覗き込んだ。

春『この、大喜利面白そう』

春らしい意見。

夏『お絵描き対決ですわ』

夏も自分の得意分野。

秋『詩を作る。良いですね』

秋の意見は…視線を追う。

視線の先には、日記帳。

あれは、封印したい。

「とりあえず、後々色々試すとして。

今回は、お絵描き伝言ゲームはどうだ?」

三姉妹の目がキランと光った。

映像では、三姉妹がそれぞれ。

背中合わせに座っている。

中央には、伝言ゲームの文字。

まず、お題を冬樹からもらう春。

春『ふむふむ。描けたよ、夏』

春から絵をもらう夏。

映像では、内容は見えない。

夏『春の絵から想像するに』

夏のペンがキラリと光る。

夏の手から、秋の手へ。

秋『はい。わかりました』

さらさらと描き上げ、冬樹に絵が渡る。

絵を受け取る冬樹。

カメラは、秋の絵を映す。

「これ、ポータル?」

秋の手によって描かれたのは、時空の穴。

夏『え?時を旅する少女じゃありませんの?』

夏の出した絵は、時空を渡ろうとする少女の絵。

春『違うよ!混沌とした世界!ほら見て』

春の絵には、遠くに時空の歪み。

手前に少女?やら動物やら街並みやら。

ごちゃ混ぜに描かれている。

夏『ところで、本来のお題は?』

お題は「厨二病の書く絵」

タイトルだけの表示。

沈黙のまま、映像が切れる。

「ホラーじゃないか」

冬樹は頭を抱える。

冬樹の中では、三姉妹のツッコミやら。

軽い笑いを期待していた。

まさか、これを深層心理で描くとは。

秋『やり直しますか?』

別のお題でやり直すか?

いや、結果はあまり変わらない気がする。

春『指定してもらったら。

そういう絵も描けるよ?』

それもわかっている。

「それだと、面白くないんだよ」

冬樹には、冬樹なりのこだわりもある。

そのままアップロード画面へ。


【スマホの中】

秋『どうすればよかったのでしょうか』

珍しく秋が落ち込んでいる。

春『逆にしたら結果、変わった?』

三姉妹で顔を見合わせる。

夏『その前提でやってみます?』

頷く三姉妹。

まず、秋が絵を描く。

夏『なるほど、じゃあこうね』

夏から春へ。

春『へぇ。となると』

三姉妹で、出来た絵を見比べる。

春『召喚の儀式』

まず、春の絵。

そこは、サバトとも呼べる光景。

夏『悪魔召喚』

夏の絵は、魔法陣の上に悪魔が乗っている。

秋『魔法陣ですね』

秋の描いたのは、緻密に描かれた魔法陣。

夏『冬樹の言う通り、あまり変わらないわね』

夏が絵を片付けながら言う。

春『むしろ、悪化していたね』

最初が、春だったから。

まだあれで済んだ。

一瞬、夏が最初なら。

そんな思いが春の頭を掠めたものの。

やっぱり結果はそう変わらない気がする。


【冬樹のバイト先】

冬樹がバイトに着くと。

店長が、机の上にペンと紙を広げている。

「店長、珍しいですね。

ポップの作成ですか?」

いつもなら、客の傾向やら。

商品の特徴やらを加味して。

ポップは自動で出てくる。

「たまにはね。

やらないと感覚が鈍るというか」

そう言えば、店長。

字を気にしていたけど。

ポップの字を見る限り。

見た目に似合わない、可愛らしい字を書く。

思いがけないところで、意外な才能を見た冬樹。

「これ、ポップだけでも売れますね」

思わず、冬樹の漏らした感想に。

「ポップを売るためじゃなくて。

商品を売るためなんだけどなあ」

作業の手を止めないまま店長。

後日。

「あの、専用のポップお願いできますか?」

若い女の子たちが店長を囲んでいる。

店長のポップが人気となっているのは明らか。

「兄ちゃん、これ配達お願いできない?」

冬樹の元には常連であるお年寄り。

配送の手続きをする冬樹。

その待ち時間の間、常連さん。

「もう少し私も若ければ、あの輪に入れたのに」

…すいませんね。俺はポップなんて描けないんで。

こうして、冬樹が悔しい思いをするのは。

完全に余談である。

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