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半魚人ビアドラス

 三人のエージェントたちはグラン・ストリームに乗り込んで、マリが消えたという通路を走った。


 奥には巨大な広間が見えた。

 邪教徒たちの神聖なる広間だ。

 ダゴン像の横にある壁の向うに兵器庫があり、扉が開き、中で魚人司教と契約の巫女マリが『ビヒモウス』の操作盤を作動させていた。


 そこへグラン・ストリームが乗り込み、90度スピンして停車した。運転席からアクアブルーが飛び出す。


「貴様らは、イクシード・フォースか!? おのれ、封印を解く邪魔はさせん!!!」


「ようやく会えたな、魚人司教!」


「穢れた地上の民よ……よくもアビサロン秘儀教団の神聖なる場所を、土足で踏みにじったな……神罰を受けよ!!」


「なにが神罰だ。それより、マリさんはどこだ!!」


「和鷹マリは『契約の巫女』として生まれ変わった。彼女が『ビヒモウス』を操り、関東平野に大地震を起こし、湾岸地帯は水浸しになるのだ!!」


 魚人司祭の視線を辿ると、兵器庫の扉がすでに開かれ、巫女姿のマリが操作盤に触っているのが見えた。


「なんでマリさんがアビサロンの手先になっているんだ!?」


「ん……きっと、操られているにちがいないわ!」


 ソルレッドが冷静に分析した。


「そうに違いないのだわよ。マリさんがアビサロンの片棒をかつぐなんてありえないかも!!」


 イクシード・フォースを見下ろす魚人司祭は、


「わが信者たちよ……偉大なるアビサロンの忠実な使徒たちよ……不敬者たちを血祭にあげよ!!」


「ギョオォォォ!! ギアァァッ」


 信徒の群れから奇怪な喜びの叫びが響きわたる。


「我等が忠実なる使徒ビアドラス!」


「ギュギャッ!!」


「我が教団最強の戦士よ……イクシード・フォースを全滅せよ!!!」


「ギャロア!!」


「そうはいくかいっ!!」


 アクアブルーがイクシード・ハンドガンをフルオートにして、邪教徒の半魚人たちを掃討していく。


 ソルレッドが車両後部からロケットランチャーを取り出し、肩付けした。

 四連装式ミサイルポッドからロケット弾が発射され、武装した邪教徒たちを爆破していく。


「ギョルアアッ!!」


「深きものどもよ……わが異能『人形の雷霆(パペット・サンダーボルト)』を喰らいなさいっ!!」


 グライアイの人形やぬいぐるみ達が半魚人たちに向って口内の電撃ビーム砲を発射した。

 雷光が魚類人たちを包み込む。舛井村の海童たちが焼け焦げ果てた。


 だが、ビアドラスは電撃攻撃にも耐え抜いた。深海の水圧ばかりではなく、高電圧にも耐えうる頑強な肉体を持っていた。


「電撃が効かないなんて!?」


 ビアドラスが海璃に向って走ってきた。


「きゃああっ!!」


 アクアブルーがグライアイの前に立ち、ビアドラスに立ち向かった。


「おっと、てめえの相手はこのおれだ!!」


「……ありがと……アクアブルー…」


 頬を赤らめるグライアイ。

 小生意気な聖海璃であったが年相応の可愛さを見せた。


「礼はいいってことよ、肉弾戦は男の仕事だぜ!!」


「もう……相変わらずのバトル馬鹿かも」


「それより、超能力者のお前に頼みがある。洗脳されちまったマリさんを救い出してくれ!」


 海璃と樹里はこくりとうなずき、


「もちろんよ。マリさんは『ホワット!?ミステリー㊙情報部』の人気ミステリー・リポーター。彼女が出ないと番組は始まらないのだわよ!!」


「その意気だぜっ!! ソルレッド、グライアイとマリさんを頼むぜ」


「任せておけ」


 ソルレッドはイクシード・ライフルを前にかかげてみせた。


「アクアブルー、お前も決着をつける時がきた――抜かるなよ」


「おうよっ!!」


 グライアイとソルレッドが兵器庫へ向かった。

 それを追いかけようとしたビアドラスをトウセンボウする蒼太。


「ビアドラス、てめえの相手はおれだぜっ!!」


「ギョレル……キサマハ屋敷ニイタ人間……邪魔ハサセン!!」


 ビアドラスが口を開き、紫色の溶解泡を吹き出した。


「おっと、そうはいくかい。ここに来るまで物騒なシャボン玉の対抗策は考えてあるぜ……イクシード青嵐脚(せいらんきゃく)!!」


 アクアブルーは軸足を中心にして、その場で身体をコマのように回転させた。

 イクシード・スーツによる高速回転蹴りで、渦巻き状の上昇気流が発生し、溶解泡がそれに巻き込まれ上に飛ばされた。


 溶解泡が八方に乱れ飛び、壁や天井、廊下を穴凹だらけにした。


「やめろ、ビアドラス!! 神殿が崩壊してしまうぞ!! 溶解泡は禁止だ!!」


「ギュレロビッ!!」


「てめえも最強の戦士という肩書があるなら、格闘戦でこの俺の相手をしやがれ!!」


 蒼太は利き腕を後ろに引き、左手を前に構えてファイティングポーズを取った。


「ギョルル……面白イ!」


 ビアドラスは魚人司教に向き直り、


「ギュビ……魚人司教サマ、オ願イガ」


「何だ?」


「アイツハ今マデ戦ッタ中デモ強イ……ギョマーレノ儀式を」


「おお……そうか、ビアドラスが認めるほどの戦士か……ならばギョマーレの闘技場を用意しよう!!」


 驚く蒼太の前で、魚神像の前の広場に亀裂が走り、中心が円形にせり上がり、周囲の床が陥没した。 


「わわっ……こんな仕掛けがあったのか!!」


 蒼太が驚いていると、陥没した床に水路からマグマが流れ込み、溶岩濠(ようがんぼり)となった。




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