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海底戦線

注意事項⚠️


作中に地震のシーンがあります。


苦手な方はブラウザバックしてください。

 エスパーダ・ドラグーンが分離し、エスパーダ・フリゲートへ再合体した。


 海底遺跡の出入口から潜入し、奥へ進み、行き止まりの上へ浮上した。潜望鏡で周囲を見回す。


 そこはドックとなっており、足場やタワークレーンが並び、建造中の葉巻型母艦やUFO、メカニ怪獣があちこちに見えた。


「あれを見て! 作っているのは人間よ!!」


 海璃の指差す先には、ムチや銃火器を持った舛井村の海童たちに使役される人間が見えた。


 鉄骨を運んでいた男が倒れ、海童が容赦なくムチを浴びせた。


「あっ、あの人は拓哉に似ている!?」


 その中の一人に見覚えがあった。

 眼鏡をかけた温和そうな顔立ちは、真樽子漁港で出会った亀崎拓哉(かめざきたくや)少年に面差しが似ている。


「きっと、あの人は拓哉のお父さん――亀崎帆平(かめざきはんぺい)技師だ!」


 海底牧場の謎の爆発で死んだと思われていたが、生きていて、海底ピラミッドで強制労働をさせられていた。


「海底牧場の生き残りか……すると、UFO作りをしている人間は、遭難者やさらってきた人々となるな……」


「拓哉、お父さんを助けだしてやるからな!!」


 アクアブルー、ソルレッド、グライアイは1号機に集まった。

 合体したエスパーダ号の艦首部分からエスパーダ1号機が分離した。

 エスパーダ・ハリアーは単機でも水中活動が出来るのだ。


 水飛沫をあげてエスパーダ・ハリアーが浮上した。


「ギョギョッ!!!」


 あわてふためいた海童たちが、水中銃でエスパーダ1号を撃った。

 しかし、銛はむなしく装甲に弾かれる。


 ならばと別の海童が、石壁に取り付けた移動銃座をくりだした。

 奴隷が反乱した場合の暴動鎮圧用銃(ライオットガン)で、銃口から最大出力で電撃光線が放たれた。

 エスパーダ・ハリアーに直撃し電流が全身をおおう。


「残念だったな、エスパーダ1号は完全耐熱耐寒耐電撃仕様により、びくともしないぜ!」


 エスパーダ・ハリアーの両翼についている6砲身の20mm口径機関砲、エスパーダ・バルカンが掃射されて、光線銃座や半魚人たちを倒していく。


 エスパーダ1号が空中で変形し、自動車形態にチェンジした。

 グラン・ストリーム――マニズ・モーター社のマニズ・スティングレイに酷使した外装で、6・2LVエンジン(最高出力460―466馬力)を搭載。

 空力性能に優れたシャープなデザインと高い運動性能が特徴である。


 潜水走行が可能で、エアクラフトで空を飛ぶことも可能なスーパーカーである。


「ギャギュギョ!!」


 海童のリーダー格が司令塔のビーム砲でグラン・ストリームを撃った。

 イオン化された高熱粒子線がスーパーカーを襲うが、アクアブルーのハンドルさばきで巧みに回避した。


 車先端(ノーズ)のフロントバンパー上部から2門のレーザー砲がせり出し、レーザー光線が司令塔の根元を破壊し、ビーム砲が落下して爆発した。


「ギャオオン!!」


 黒煙の中から、まだ装甲を張り付けていない骨格と外枠のみのメカニ怪獣ブラキオラ2号がドスドスと地響きたててグラン・ストリームを踏み潰そうと襲いかかった。


「骨ザウルスか――弱点の動力炉が丸見えだぜ!!」


 バンパー上部のレーザー砲から赤く光る動力炉を直撃した。

 製作途中のメカニ怪獣は閃光を上げて爆散する。


 180度回転して停車したグラン・ストリームから、アクアブルーが飛び出して、イクシード・ハンドガンで残りの海童を倒す。

 後部座席からソルレッドとグライアイも飛び出し、イクシード・ライフルと全領域式機械兵器(オールレンジ・ウェポン)で掃討を手伝った。


 黒焦げとなり、白い泡を出して溶解しだす海童の死体を見て、唖然とした表情の亀崎帆平ら作業員たち。


「あなたたちは一体……」


「亀崎帆平さんですね。大丈夫ですか!?」


「なぜ、私の名前を……」


「真樽子漁港で拓哉くんに会いました。あなたの買ってくれた釣り竿で元気に釣りをしていましたよ」


「拓哉が……そうですか、拓哉は元気ですか……」


 亀崎技師は子どもの無事を知って、うれし涙を浮かべた。


「あなた方が助けてくれなかったら、危なかった……働きの悪い作業員は別室に連れていかれ、半魚人に食べられてしまうのです……」


「なんて、ひどいことを……」


 エージェントたちが怒りの表情を浮かべる。


「ところで、ここへ、和鷹マリという女子アナが連れ去られたのを見ませんでしたか?」


「ああ……ニュースキャスターの……彼女は奥の方へ、気絶したまま半魚人に抱き抱えられたまま連れ去れて行きました……」


「海底牧場の生き残りの作業員はここにいる人達ですべてですか?」


「ええ……舛井村の住人が物資搬入に使っている潜水艦があります。操縦できる者がいるので、それで脱出しましょう」


「そいつはいい。護衛の怪魚は退治したので、安心して脱出してください」


「おうい、みんな、ここを出よう!!」


 作業員たちから歓声があがり、潜水艦へ乗り込んでいった。




 その頃――


 天にも届くのではないか、という巨大な石柱が幾つもそびえていた。

 上を見上げると闇夜より深い暗がりがあって、天井が見えない。 


 暗灰色のマントを羽織り、フードを被って顔の見えない奇妙な集団五十名が直径500メートルはあろう広場にいて、奇怪な祝詞(のりと)をあげていた。


「アビサローン……アビサローン……ギャグルナフ……ギョアギョア……ギアアア……」 


 床は石畳で、前方に石段があり、数十段上に祭壇のような広間があった。


 暗灰色のローブを着た人物が杖をもち、両手をあげてさらに前方を見て祈っていた。


 そこには身長30メートル以上もある巨大な石像が立っていた。

 その巨像は、体は人間に近いが、頭部は魚という、魚頭人身の怪神像であった。


 バビロニア神話の『オアンネス神』、ウガリット神話の『ダゴン神』とも呼ばれる古代の異形の神像である。

 怪神像の両目が怪しく光り輝き、点滅を何度か繰り返した。 


「ギョタグル……ギャゴン……ギュルルイエ……ル……アビサローン……アビサローン……」


 祭壇にいる魚を模した民族仮面を被った司祭は、魚人司教と名乗る怪人物だ。

 彼の横に貫頭衣のような白い服を着た女性が盆を捧げもっていた。

 その盆には『契約の鍵』がのっている。


 虚ろな目付きをした女性は、和鷹マリだった。


「和鷹マリよ……契約の巫女よ……お前は兵器庫の封印を解くのだ」


「ははぁ……魚人司教さま」


「契約の巫女よ……思い出すのだ。お主の存在意義を。身体に刻み込まれた異能の力を。そなたの魂に刻み込まれた記憶そのものを。契約をここに。世界を裁くにたる偉大なる力を封印せし部屋よ。契約の鍵をここに。契約の巫女の正統なる力をもって三千年の封印を解かん。封印の蔵よ、開錠せよ!!」


「アビサローン……ギャグルナフ……ギョアギョア……ギアアア……」


 邪教徒たちが唱和し、兵器庫の扉が光り輝いた。そして、巨大な扉が徐々に開く。

 扉が完全に開いた。

 兵器庫の中には、八角形の奇怪な塔がたっていた。

 その周囲に機械装置のような物体が八つ、ストーンヘンジのように円形に並んでいた。

 その中に貫頭衣を着た女性の石像が立っている。


「おお……これこそが古代アビサロン人が創り出した究極の気象兵器――『ビヒモウス』!! よくやったぞ、契約の巫女よ!!」


「ははぁ……」


「さあ、次は『契約の鍵』で『ビヒモウス』を起動させるのだ」


「わかりました……魚人司教さま」


 ベゼルの宝石が妖しく緑色に輝き、和鷹マリの両眼も緑色に輝いた。


「契約の巫女よ、大海神に護られし鍵穴をここに。アビサロンの御名を借り、長き封印を開かん――『ビヒモウス』よ、蘇れ!」 


 契約の巫女マリは八角形の塔の正面の操作盤にある鍵孔に『契約の鍵』を近づけた。

 八つの機械装置物体も光りはじめる。


 キーが入ることで、深い眠りについていた『ビヒモウス』が再起動しはじめたのだ。


「おお……数千年の時を眠りし『ビヒモウス』が蘇る……世界を審判する力を秘めし『ビヒモウス』よ……その偉大なる力を使って、地上の穢れた民に神罰をくだしくれる……まずは試運転に、伊豆大島の三原山に地震を起こすのだ!」


「ははぁ……」


 契約の巫女が操作盤を動かしはじめた。

 座標を確定し、海底神殿の地下に装備された小型地中ミサイル一基が発射され、伊豆大島の地下にある地震層めがけて突き進んだ――




 伊豆大島で突如、地震が発生した。

 そして、三原山の噴火が始まった。

 火口から溶岩流が流出し、噴煙があがった。

 火山弾が降り注ぎ、大島町役場はサイレンを鳴らして、避難指示を出した。

 遅れて相模湾に津波が発生し、神奈川県周辺で津波警報と地震警報が出された。




「三原山が噴火したぞ!!」


 真樽子湾の漁師や港湾従事者たちが不安におののく。サイレンが鳴り、津波警報が出た。

 住民たちが急いで港から避難していく。


「UFOに続いて、○年ぶりの三原山噴火かぁ……こりゃ、えらい撮り高だぞぉ!!」


 牟田口Pとカメラマンは興奮して噴火を撮影してた。


「早く避難しないと、津波に呑まれるぞっ!!」


 港湾職員に叱られ、大空テレビのロケバスも急いで撤収を始めた。


 三原山の噴火の様子や、地上波のニュースを空中投影モニターで見た魚人司教は満足げに、


「テスト運転は大成功だ――次は関東平野にある大断層の地震層を大型地中ミサイルで爆破させる。さすれば大断層にずれが起きて、関東平野に大地震を誘発してやるのだ。東京はおろか関東一円が壊滅する。そして、大波が沿岸地帯一体を水浸しにし、日米の軍港も壊滅する。その後、水没した関東一円を円盤部隊で制圧するのだ」


「魚人司教さま……『ビヒモウス』の連続運転は不可能です。50分ほどのエネルギーチャージ時間が必要のようです」


「いいとも、いいとも――いくらでも待ってやろう。お楽しみはこれからなのだ」


「ははぁ……」


「審判の時がきた――母なる海を穢しつづける地上の毛無し猿どもを一掃するのだ!!」


 魚人司教が不気味に高笑いをし、邪教徒たちの奇怪な祝詞が海底神殿にこだました。





地震や津波のシーンは大幅にカットしましたが、不快に思われた方には申し訳なく思います。

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