首長竜ブラキオラ
「なんだ、今の声は!?」
勝利にわくエスパーダ号チームを嘲笑うかのごとく、背後の岩陰から首長竜ブラキオサウルスが出現した。
川崎区のグレート・ダイナモ社の工業地帯を破壊し尽くしたあの恐竜だ。
「新手の護衛者が出現したぞっ!!」
「今度のはおれでも知っているぞ!! ブラキオサウルスだな!!」
エスパーダ・フリゲートに肉薄したブラキオサウルスは、長い尻尾をエスパーダ・フリゲートに大蛇のように巻きつけた。このままでは身動きができない。
「こやつもアビサロンの造りだしたメカニ怪獣にちがいあるまいて!! 仮に名前を首長メカニ怪獣ブラキオラと名づけよう!!」
「また勝手に命名してからに……まあ、言いやすいけどさ!」
「こんな怪獣たちはラブクラフト先生の作品に出てこないのだわよ!!」
「グライアイ、こいつは小説じゃない。現実のことだぜ!!」
「なによ、決め台詞みたいに……」
首長竜が口から放射熱線をエスパーダ号に吐いた。
エスパーダ・フリゲート熱線が当たり、機内温度が上昇していく。
「なんて熱だ!!」
「ん……このままでは装甲が持たないぞ、アクアブルー!!」
「こうなりゃ、白兵戦といくか……まずは分離だ――三機分離!!」
エスパーダ・フリゲートがまた一号機、二号機、三号機に分離し、尻尾の拘束から脱出した。
そして、三機がバラバラに海中を飛び、再び集り、デルタ隊形(三角形)を取る。
「三機合体、エスパーダ・ドラグーン!!」
二号機が胴体部分に変形し、下部から脚部がせり出してきた。
その上部に貼りついた三号機の翼が腕に変形した。
そして、胴体上部に一号機が逆さに合体し、頭部に変形する。
銀青色の金属装甲に輝く人型戦闘兵器に変形した。
その姿は中世の鎧騎士のようにも見える。
「重装竜騎兵エスパーダ・ドラグーン!!」
「ギャオオオオッ!!」
メカニ怪獣がドスドスと地響きを立てて襲いかかってきた。
首長メカニ怪獣ブラキオラは胸部左右から巨大銛が発射された。
「ドラグーン・ハルバート!!」
脚部からせり出した棒状の武器を両手で握りしめると、金属棒が伸びて拡張し、先端が槍状になり、横に斧がついた長柄武器になった。
斧槍を回転させ、巨大銛を弾き飛ばした。
だが、巨大銛には鎖がついていて、長柄武器ごとエスパーダ・ドラグーンの両腕をからめとった。
「しまった!!」
鎖で距離を取りながら、ブラキオラが口から放射熱線を吐き出し、重装竜騎兵が高熱にさらされる。
「なにやってのよ、アクアブルー!!」
「うるせい、まだまだこれからだぜ!」
エスパーダ・ドラグーンの両手が鎖を握りしめ、力を込めて首長竜を引っ張った。
「ギャオン!?」
首長恐竜の巨体が水中に浮いた。
「ドラグーン・フルパワー!!」
重装竜騎兵が鎖ごと首長メカニ怪獣を回転させた、そして、遠心力をつけて海底に叩きつけた。
鎖が切れ、土砂が巻き上がる。
「やったか!!」
土砂で濁った海底が元に戻っていったが、ブラキオラの姿が見えなかった。
「消えた……かなわないと見えて、尻尾をまいて逃げた去ったか?」
「そんな訳ないだろ――岩陰に隠れたか、3号機のようなステルス機能で透明になったかもしれないぞ」
視力5.0のソルレッドが操縦席を360度マルチモニター・コックピットに切り替え、周囲を索敵したがメカニ怪獣は見つからない。
「グライアイ、レーダーはどうだ!」
「ちょっと待って……探してみるのだわ」
グライアイがマルチビーム測深機と、テレパシーとリンクさせた超感覚レーダーで敵機を索敵する。
ソルレッドが、ブラキオラを激突させた海底地面の土砂が消えかけ、そこに大きな穴を見つけた。
「あの穴は……ブラキオラは地中に潜ったのかもしれない!!」
「何だとっ!!」
「アクアブルー、敵機は背後だわよっ!!」
エスパーダ・ドラグーンの背後の土砂が巻き上がり、メカニ怪獣が姿を現した。
高熱放射線で地中を掘り進んできたのだ。
「ギャオオオン!!」
ブラキオラは長い首をドラグーンの上半身に巻きつけようとした。
「ドラグーン・ハルバート!!」
エスパーダ・ドラグーンがふり向きざまに斧槍を横に薙ぎ払った。
ブラキオラの頭部がふっ飛ぶ。
そして、返す斧槍で首長メカニ怪獣の胴体に斬り込んだ。
「とどめだ、リアクター・ビーム!!!」
重装竜騎兵の胸部が開き、ビーム砲口から高熱レーザーが発射された。
首長竜の巨体が爆焔をあげて吹き飛んだ。
「やったぜ!!」
だが、斬られ飛んだ恐竜の頭部が速魚のように自在に海中を泳ぎ攻撃した。
エスパーダ・ドラグーンに放射熱線を浴びせては、また移動し、また放射熱線を浴びせる。
「くそっ、まだ首が生きてやがる!!」
ハルバートで斬ろうとするが。
ブラキオラの頭部はジグザグに素早く動き、捕えきれない。
「くそっ、ちょこまかと……」
「仕上げは任せろ――」
ソルレッドの指示で、重装竜騎兵が片足立ちになり、右手首が折れて、腕部から砲口がせり出した。
折れた手首をグリップとして、左手でつかみ、狙いを定める。
「複雑な動きに見えるが、しょせんはプログラミングされた動き。行動パターンは予測した――ドラグーン・ランチャー!!」
ソルレッドが引き金をひき、グレネード弾がブラキオラ頭部に命中した。
爆炎をあげて水中爆発する。
「あいかわらず見事な精密射撃じゃな、ソルレッド!」
側面モニターから『T』が拍手喝采した。
「アクアブルーの判断力、グライアイの索敵能力があれは、アビサロンのメカニ怪獣なんぞ目じゃないわい!!」
「それもこれも、『T』たち、イクシード・フォースのメカニック部門開発のお陰よ!!」
「がはははは……みなの力のお陰じゃい!」
「おし、勝ち調子のようだな。このまま一気に突入するぜ!!!」
「E・N・G!」
「E・N・G!」
エスパーダ号がピラミッド遺跡下部の出入り口に突入した。
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