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魔の海域と守護獣

「あれを見て!!」


 グライアイがこわばった声を出した。


「うっ!! ……ひでえ事しやがるもんだぜ……」


 海底の底は、言わば『船の墓場』であった。

 海洋調査船『つきよみ』、F-15Jイーグル、ヴァージニア級原潜などの残骸が海底に沈んでいた。


「縄張りに入ったものは、すべて殲滅(せんめつ)か……冷酷無情のやり方だな」


 ソルレッドらが息を呑んで残骸を見た。

『T』の開発したアンチ磁気攪乱装置が無ければ、自分たちも海の藻屑(もくず)となっていたのだ。

 エスパーダ・フリゲートで遺跡に近付いていった。


「目標の海底遺跡が見えたわよ、アクアブルー!」


「あれが通称『真樽子ピラミッド』か……」


 海底に遺跡らしきものが見えた。

 南北に約300メートル、東西に約400メートル、高さ35メートルにおよぶ巨大な石造りの巨大な建築物に見えた。


 直線の道路や石組み、排水溝、敷石を思わせる地形や巨石の組み合わせが見られる。

 周囲を壁面で囲まれた平面が見えた。

 テラス状の地形は、正確に左右対称であり、加工跡と思われる。


 本部からカメラ越しに遺跡を観察する『T』は、


「やっぱり、アビサロン人の造った遺跡なのかい、『T』?」


「うむ……垂直壁面が自然崩落でつくられた場合、壁面の真下に岩石片が堆積しているはずだが、それが見当たらなかった。つまり、この遺跡は人工的造られたものだということになるのう」


「やっぱり、古代のアビサロン人が造った海底神殿とやらなんだな……」


「浦島太郎の話でいう竜宮城だわね……おとぎ話と違ってディストピア風だわね」


「浦嶋子の話では、常世の国・蓬莱国の海神(わたつみ)が治める水晶宮(すいしょうのみや)だという話だぜ」


「ん……常世の国……海の彼方にある理想郷……あるいは、死者がおもむく暗闇の国か……」


 ソルレッドが切れ長の瞳で遺跡をながめた。


「幽世(かくりよ)、黄泉(よみ)の国のことだわね……ちょっと素敵かも。もっとも、我が闇の王国には敵わぬが……」


「また、ラノベみたいなこと言い出しよってからに……」


 あきれる蒼太をよそに『T』は、


「あの遺跡が水没したのは前回の氷期が終わって、海面が上昇した時でなんじゃろうな……4000年から2500年前。つまり1万年以上前、世界最古の古代遺跡ということになるわい」


「そんな大昔からアビサロン文明が……」


 ソルレッドもめずらしく驚嘆の声をあげた。


「ちょっと、アクアブルー、入口らしいものが見つからないけど、あの遺跡へどうやって潜入するつもり?」


「よっしゃ、エスパーダ・フリゲートの得意技、衝角(ラム)戦法で遺跡に突っ込もう!」


「バッカ、中が水浸しになるじゃないの!! 深きものどもは平気だけど、和鷹マリさんは人間なのよ。浸水すれば命が危いのだわよ!!」


 グライアイが金切り声をあげた。


「おっと、それもそうか……」


「遺跡を周回してみよう」


 ソルレッドの提案をみなが賛成した。

 エスパーダ・フリゲートが海底遺跡を半周すると、反対側の基礎部分に大きな穴が見えた。


「ん……おそらく、あそこから葉巻型母艦やUFOが出入りしているのだろう」


「おし、虎穴に入らずんば虎児を得ずだ。あそこから侵入してみよう!」


「待って、あれを見て!!」


 グライアイが緊迫した声で、


「レーダーに何か迫ってくるわ!!」


「なに!?」


「全長30メートルもある大怪魚よ!?」


 エスパーダ内臓の望遠カメラから、リモート通信で画像を見た『T』は、


「信じられん……そいつは、古代の甲冑魚ダンクルオステウスにそっくりじゃい!?」


「ええっ!? なんでそんな大昔の化け魚が、なんだって相模湾の海底にいるってんだい?」


「おそらくじゃが……アビサロン人が真樽子ピラミッドを護衛するために使っておる護衛者(ガーディアン)なのかもしれぬて……アビサロンが古代の怪魚をアビサロンの超科学で蘇らせたのかもしれんぞい」


 ダンクルオステウスがエスパーダ号に攻撃してきた。


「あんな化け魚に体当たりされたら、ヴァージニアの二の舞だ……水中ミサイル発射!!」


 エスパーダ号下部から二基の水中ミサイルが発射され、大怪魚に命中し、爆発が起きた。


「やった!!」


「あれを見て!!」


 ダンクルオステウスは無事だった。

 いや、身体半面の皮が破れて、中身が見えた。

 銀色にかがやく鋼鉄製のようだ。


「ありゃ、機械の魚だったのか!?」


「ん……どう見ます、『T』?」


 ソルレッドがうかがうと、『T』は難しい顔をして、


「ふ~~む……わしの見たところ、古代魚型のメカニ怪獣かもしれんなあ……」


「メカニ怪獣ってのは、なんだい?」


「メカニカル(機械式の)と怪獣を合わせて作った機械化怪獣のことじゃ。今わしが作った造語じゃい!!」


『T』がエヘンプイと自慢げにいう。


「ダジャレかよ!!」


「よし、わしが命名しよう。魚型メカニ怪獣ダンクラーじゃい!!」


「勝手に命名すんなよ!! まあ、短くていいやすいけど!」


「ダンクラーが攻撃を開始するようだぞ、アクアブルー!!」


「なに!?」


 魚型メカニ怪獣ダンクラーが口を開いた。

 すると、中から魚雷のような物が発射された。


「ありゃ、魚雷じゃねえか!!」


「対魚雷迎撃システムを使うんじゃい!」


「おう、これだな!」


 エスパーダ号から迎撃用小型魚雷が発射され、水中で互いの魚雷が爆発した。


 グオオオオッ!!


 大怪魚がエスパーダに捨身の体当たりを仕掛けてきた。


「これでも喰らえ!!」


 エスパーダ・フリゲートの側面から小型魚雷が発射され、集中砲火で魚型メカニ怪獣ダンクラーは爆散した。


「やったぜ!!」


「ギャオオオオッ!!」


 海中を震わせるような禍々しい咆哮がとどろいた。


 地響きの足音を立て、岩陰から新手の守護獣が出現した!!


 作品を読んでみて、面白かったと思っていただけましたら、広告下にある《☆☆☆☆☆》に評価していただけましたら、創作活動への大きな励みと活力になります。


 星の評価は日間ランキングの順位に大きく関わるため、今作のこれからに大きく影響いたします。


「今作を応援したい!」と思ってくださった方は、なにとぞ応援を、よろしくお願いいたします。


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