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聖剣使いの俺と無限魔力の妹で異世界生活してますがなんか思ったのと違う  作者: ペロロンチーノ


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6/7

初依頼と現実

 翌日。


 俺たちはギルドの掲示板の前に立っていた。


「……思ったより多いな」


 壁一面に貼られた依頼書。


 内容も様々だ。


 素材採取、荷物運搬、護衛、討伐――


「どれにする?」


 桜が隣で覗き込む。


「とりあえずFランクだしな……」


 目についた依頼を一枚取る。


「これとかどうだ?」


「えっと……“スライム討伐・3体”?」


「初心者向けって書いてあるし、とりあえず様子見るって感じで」


「いいんじゃない?」


 桜はあっさり頷いた。


「じゃあこれで」




 受付で依頼を受け、街の外へ出る。


 初めての“依頼”だ。


「……なんか、緊張するな」


「ちょっと分かる」


 桜も少しだけ真剣な表情をしている。


 普段は余裕そうだが、さすがに初めての実戦だ。


「場所はこの辺りか……」


 依頼書に書かれていた場所に到着する。


 草原の一角。


 特に変わった様子はないが――


「……いるな」


 視線の先。


 ぷるぷると揺れる、半透明の物体。


「(あれがスライムか……)」


 ゲームとかで見たまんまだな。


「どうするの?」


「……まずは俺がやる」


 剣に手をかける。


「無理しないでね」


「分かってる」



 


 一歩、前に出る。


 スライムがこちらに気づき、ゆっくりと近づいてくる。


「(……遅いな)」


 正直、怖さはあまりない。

 それもスライムは弱いと、前の世界で染み付いてるせいだろう。


 だが――


「(油断はダメだ)」


 距離を詰める。


 そして――


「はっ!」


 振り下ろす。


 ――ズシャッ。


「……?」


 手応えはある。


 だが。


「……え?」


 スライムは、普通に動いていた。


「(切れてない……?)」


 確かに当たったはずなのに、致命傷になっていない。


「ちっ――!」


 もう一度振る。


 今度は横薙ぎ。


 ――ベチャッ。


 形は崩れる。


 だが――


 すぐに元に戻る。


「(マジかよ……)」


 予想外だった。


「おにーちゃん!」


 桜の声。


「スライムは核を壊さないと倒せないて書いてある!」


「核!?」


 そんなの聞いてない。

 ここにきて自分がやってしまってミスに気付く。


「(どこだよ……!)」


 焦る。


 その一瞬。


 スライムが跳ねた。


「っ!」


 避けるが、バランスを崩す。


 足がもつれる。


「(やば――)」


 体勢が崩れる。


 その隙を狙うように――


 スライムが迫る。



 


「――“ファイア”」


 次の瞬間。


 炎が走った。


 ゴォッ!


 スライムを包み込み――


 一瞬で消し飛ばす。


「……」


 静寂。


「……助かった」


 息を吐く。


「大丈夫?」


 桜が近づいてくる。


「……なんとか」


 正直、かなり危なかった。

 もし1人だったら、あのまま顔を覆われたら……


 



「(これが……実戦か)」


 ただのスライム。


 初心者向けの魔物。


 弱いと舐めていた。


 それなのに――


「普通に負けかけたな……」


「うん」


 桜はあっさり頷く。


「おにーちゃん、剣ちゃんと当たってたけど倒せてなかったしね」


「核とか知らなかったしな……」


「そこは勉強不足だね、普通に依頼書の下の方に書いてあったよ?」


「……ぐっ」


 正論すぎて何も言えない。



 その後、残りのスライムも探す。


「次は私やるね」


「……頼む」


 素直に任せる。


 そして――


「“ファイア”」


 ゴォッ!


 一瞬で一体撃破。


「……早いな」


「うん、楽だね」


 もう一体も同じように処理。


 結果――


 依頼はあっさり達成された。




 だが。


「……なんか悔しいな」


 帰り道、思わず呟く。


「うん?」


「俺、ほぼ何もしてないし……」


 最初の一体すら、まともに倒せなかった。


「そんなことないよ」


 桜は軽く笑う。


「ちゃんと前出てたし」


「それだけじゃ意味ないだろ」


「最初はそんなもんじゃない?」


「……そうか?」


「うん。私の方がちょっとおかしいだけだよ」


「自覚あるのかよ」



 


 少しだけ、気が楽になる。


 だが――


「(このままじゃダメだな)」


 実感した。


 今のままじゃ、戦えない。


 聖剣があっても、使いこなせなければ意味がない。


 知識がないとなにもできない。

 


「なあ、桜」


「ん?」


「俺、ちゃんと強くなるわ」


「うん」


 即答だった。


「知ってる」


「……なんだそれ」


 少し笑う。



 夕焼けの中、歩く。


 手には、初めての報酬。


 そして――


「(課題も見えたな)」


 剣の扱い。


 知識不足。


 そして、実戦経験。


 足りないものだらけだ。


 だが――


「(だからこそ、面白い)」



 


 こうして俺たちの“初依頼”は終わった。


 成功ではある。


 だがそれ以上に――


 自分の未熟さを、思い知る結果だった。

 


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