流れ星 リョウ
どうも受験真っ只中奈良都翼です
突然ですが皆さん、猫耳と犬耳どっちが好きですか?
さて、突然語りだして誰だと思うことだろう。最近は服が話し出したり全く色々なものが話し出す。一昔前に流行ったのは、いや現在進行形でちょくちょく某お父さんが話しているところをCMで観る。別に流行に乗るつもりではないが、私も意志を持って語りだしてもいいだろうと思い、突然だが話し出した。おっと紹介が遅れたようだ。私はリョウ、しがない飼い犬さ。
「リョウ……」
主人が心配しているのは私のことではなく私の名前の元となった男、リョウのことだ。全くあんな変態の名前付けられる身にもなってほしい。ともい主人はやつにぞっこん、恋は盲目とはよく言ったものだ。
「これからどうしようかリョウ」
私達は囮となったあの男を見送り、洞窟で人がいなくなるのを待っていた。案の定、今は周りに人はいないようだ。私は洞窟から出るように主人を促し、後からは新入りの小熊どもがついてくる。そしてその後ろを主人がついてくる。
「さて、どうしようか……」
崖側には遮蔽物がなく人の目に付きやすい、とりあえず森の中の方が安全だろう。とはいってもモンスターのポップはいくらかあるため気を抜くことは許されない。おっと言ってるそばからモンスターの反応だ、これは……12、19、まだまだいる。これは厄介だ。主人はあまり戦闘能力が高くない。小熊どももまだ幼い、ここは俺がどうにかしなくては……。
「リョウどうしたの? 近くに敵?」
主人に敵の数を伝え、危険を促す。ここは俺の出番のようだ、さてと行きますか……。距離は30メートルほど先、しかし敵は近づいてこない。いったい何が起きているのだろうか……。
「リョウ待って」
主人の制止を振り切り俺は走り出す。やけに嫌な予感がする。到着早々目に飛び込んできたのは超大型の熊と戦う犬の姿だった。熊は片目がつぶれているが、体から溢れ出す並々ならぬ威圧は今までに葬った者たちの分も纏っているようだ。一方犬達は命をとしたとしてもこの熊をしとめたいという信念のようなものを秘めている。そして俺の目に映ったものは懐かしい面影を秘めた一匹の犬いや、その凛々しい姿は狼だった。
『父……さん』
父親の面影を持った狼はこちらを振り返る、しかしそこに懐かしいといった表情はなく、戦場に迷い込んだ若造への非難の表情だった。
『何者か知らないが死にたくなければ、小僧さっさと去れ』
『父さん! 父さんなんでしょ?』
熊の猛攻を避け、反撃の隙を探すその狼の視線の中には既に私はいなかった。
『大将、先に行きます。どうか勝利を』
一匹の犬が熊の猛攻を避け、熊の懐に飛び込み残された目に飛び掛った。そして目を引きちぎると同時に振り下ろされた熊の一撃でその体は無残に引きちぎられた。
『なぜだ!? 死が恐ろしくないのか!』
『小僧、死が恐ろしくないものなどはいない』
『ならばなぜ!?』
その狼は悲しみを纏った目でつぶやく。
『それ以上に怖いのだ、愛するものが死ぬ事が。守りたいものがあるから戦える、たとえ命を失っても』
『……守りたいもの? あなたは何を守るために戦っているのですか?』
『ちょうどお前くらいの子供が私にはいるのだ、私はあの子が物心付く前に戦線を退いた老兵に預け戦いに赴いた。どんなに成長したか、この目で見てみたい、しかし……こいつを生かしておけばその子にも危険が及ぶ、それだけはどうしても避けたい』
両目を失った熊に対しての若干の油断が命取りになり2匹の犬が切り裂かれる。
『奴め、目を失ったのにもかかわらず、まだ戦えるのか』
生き残りたいただそれだけがこの熊を突き動かしていた。両目を失ってなおその生存本能は残っている。
『今なら……』
狼は助走つけ回転を加え一気に熊にその鋭牙を食い込ませる。その攻撃により熊の右腕が吹き飛ぶ。
『クソッ、仕留め切れなかった』
その渾身の一撃に力を使い尽くしたのか、狼は力なく地に伏せてしまう。なお熊はその攻撃の手を止めない。一匹また一匹と犬がやられていく。
『このままでは……』
『俺に出来る事はないのか……』
『逃げろ小僧、お前の出る幕はない』
『しかし……』
暴れまわる熊が私に飛び掛る刹那、その間を狼の姿が遮った。地面に打ち付けられ狼は既に満身創痍になっていた。
『グハッ!』
『おじさん、しっかりしろ!』
『小僧、逃げろ今すぐに』
熊はこちらの位置を把握しているのか、ゆっくり近づいてくる。
『おじさん、さっきの技は俺にもできると思うか?』
『無理だ、ただの犬風情が《抜刀牙》を使えるわけがない』
『俺は犬じゃない、れっきとした狼、銀狼のリョウだ』
『お前も銀狼なのか……?』
『父の名はリッキー、そう聞いている』
『!?』
私は助走をつけ更に回転を加え、熊へと飛び掛る。しかし牙の入りが甘く、熊の額をわずかに裂くほどだった。
『クッ』
『踏み込むタイミングがわずかに早い、もっと踏み込め』
思った以上に体力の消耗が激しい。後一回使えるだろうか……。
『リョウ、まだいけるか?』
『分からない、少なくとも奴は警戒している』
『俺がやつの気を引く、その隙に仕留めろ』
『しかしそれじゃあんたが……』
『言ったろ、守りたいものがあると』
『死ぬなよ』
その言葉に微笑をむけ狼は熊に攻撃を仕掛ける。攻撃をすり抜けながら熊の気を引き続ける。チャンスは一度、しかしそう時間はかけられない。
『ダメだ、ぶれて……』
『グハッ』
その迷いが熊が狼に一撃を与える隙を与えてしまう。
『おじさんッ!』
『うろたえるな、集中しろ! 機を逃すな!』
一匹、更に一匹と犬が飛び掛り、そのぶれは次第に収まっていく。体の奥から銀狼の血が沸き立つのを感じる。
『今だ! リョウ!!』
『うおぉぉぉおおぉッ!』
助走、回転、牙の入り全てが整い熊の首を捕らえた。牙わ深々と突き刺さり勢いで熊の首が切り落とされた。
『やった、やったぞ!』
『よく……やった……リョウ……』
『おじさん……』
狼の傷は深く銀の毛皮を赤が染め上げていく。
『名乗ってなかったな……、私の名は……リッキー』
『!? そんな、まさか!?』
『父と呼んではくれないか? 息子よ』
『父さん……』
『大きくなったな……、その姿を見れてほんとによかった』
『大将!』
生き残った犬たちがリッキーの周りに集まってくる。
『お前達……戦いは終わった。それぞれの暮らす場所へと……帰れ』
『そんな……俺たちには指導者が必要です!』
『大将! しっかりしてください』
『無理を言うな……俺はもう……』
そのうつろな視線は俺に向けられる。こいつらをおいていくのは心もとない。
『俺が継ぐ』
『!?』
『大将、リッキーの息子、銀狼のリョウがあとを受け継ぐ』
『よく言ってくれた……』
「リョウ!」
声のするほうには主人の姿があった。俺は視線をそっとそらした。それは主人との決別を意味した。
「あなたにはあなたの居場所があるのね……行きなさい」
『リョウ強く生きろ、……どんな困難にも決して負けるな』
『父さん……』
『さらばだ』
リッキーの体は粉々のポリゴン上になり消えていく。俺は遠く空のかなたへと吠えた。
◇◆◇◆◇◆
「それで結局辞退したんだ」
「まあね」
まだ未熟な小熊2匹じゃやはり心もとない、私はあの後自らリタイアをした。
「まあ、リョウはこうし本戦に残れたんだから絶対勝ち抜きなさいよ」
「ま、やれるだけやるさ」
こうして私のイベントはここで終了した。本戦は客席もあるらしいからそこから応援でもしよう。
私は犬耳が好きですね
従順でキリッとしてて、でも主人の前では甘えてくる
そんなイヌ科の耳が大好きです
でもこれだと、耳ではなく犬猫の話ですね^^;




