更なる高みへと
ずっと前から考えていたのですがやっと答えが出ました
朝の5時ごろにリョウのうなり声の直後、辺りから足跡が聞こえてくる。
「うそ、何で周りにこんなに……」
おそらくリョウの索敵範囲外から敵がこちらの位置を把握し、仲間を引き連れ来たというところだろうか? どちらにしよ危機であることには変わりない。
「おそらく俺が狙いだろうな」
「どうするの?」
「俺が飛び出すそしたら敵は俺に追ってくる、後は隙を見てお前は逃げろ」
「でも……」
「心配するな、俺は《白褌の一本気》だぜ」
寒風摩擦をするわけではないが、アーマーブレイクを発動し服を脱ぎ捨てる。
「んじゃ、いきますか」
◆◇◆◇◆◇
「とうとう追い詰めたぞ」
「もう逃げ場はないぜ、変態やろう」
「クッ……」
序盤は《アーマーブレイク》のスピードを生かし数々のプレーヤーからの攻撃を退けてきたが、次第にその人数は増えとうとう追い詰められる。男女問わず10人以上が俺を囲んでいる。
「ふう」
手をゆっくりと上げる。まさかここで使うことになるとは。
「なんだ降参か?」
「降参? 違うね」
その手を頭の後ろで組み力を蓄えていく。次第に高まっていくものを全身に感じる。
「なんだ一体……」
「これは……」
「フォーーーーッ! 気分はエクスタシー!!」
俺を光が囲む。そのまばゆいまでの光にその場にいたプレーヤーは目をふさぐ。話はイベント開始前にさかのぼる。
◇◆◇◆◇◆
「オラッ!」
俺の攻撃で目の前のゴーレムは粉々に砕け散る。《力》の領近くを狩場にし活動を始めたがここはなかなかの当たりスポットだった。死神攻略で新フィールド《力》《戦車》《教帝》の領がそれぞれ開かれた、各ギルドはそれぞれの情報収集を始めるなか、俺たち《ログアウト》はここでのレベル上げを開始した。実はそれとなくフィルベルトが俺たちをここへと導いたのだが、そのことにはあえて口を出すことはないだろう。奴がここに導いたのはおそらくミルがいるということもかねているのだろう。その理由としてはモンスターのスピードがあまり速くない。そのため注意さえ払えば攻撃を食らうことはほぼない。つまりミルを守りやすいというわけだ。しかしそれ以上に俺にとってこのモンスターたちは相性がいい相手だった。スピードを生かし難なく狩をすることができる。少々硬いがそれでも攻撃力でごり押すのは可能だった。さらに言えば、他のギルドがあまり来ていない。どうやら《戦車》領で出るインゴットの価値が高く、それを手に入れるのに躍起になっているらしい。このフィールドに入ってから見かけたプレーヤーの数は10人もいないだろう。そのためふんどし一丁で戦っても誰も文句ひとつ言わない。
「さてと……」
昼時になったため皆と合流しようと思ったときだった。
《レベルが40になりました、3次転職が可能となりました》
「……来たあああぁぁぁあああッ!」
待ちに待った三次転職可能レベルへと到達したのだった。これでこの変態ジョブともお別れだ。
「こうしちゃられない」
夜桜たちに行けないことをメールし急いで町へと向かう。そして転職用NPCに話しかける。
『すまないな。お前みたいな変態を転職させたらうちに転職しに来る奴がいなくなってしまう、ほかをあたってくれ』
ぜんぜんすまないと思ってないNPCにたんを吐きつけ、次へと向かう。
『俺に話しかけるな、仲間だと思われたらどうする気だ』
ひとまず中指を立て最上級の微笑をNPCへと向ける、次行こう。
◆◇◆◇◆◇
「なぜだ……」
もう何十体ものNPCのもとを回ったが、誰一人として俺を迎えようとしない。
「もしかしてずっとこのジョブのままか……」
そんな想像が俺の胃のHPを徐々に削っていく。
『おい、そこのあんちゃん』
振り返るとそこにはひょろりとした男がいた。おそらくプレーヤーではなくNPCだろうか?
『なかなかいい面がまえじゃないか、どうだ3次転職俺のところでしないか?』
「はぁ……」
ところでこいつは何の転職用NPCなんだろうか?
「お前は何の転職をさせてくれるんだ?」
『ん~、正義のヒーローって所かな?』
あいまいにはぐらかす男。
「正義のヒーローね……」
しかし魔法剣士がなれる正義のヒーローって……、ロシア!?
「もしかしてそれは仮面的なヒーロー?」
日曜朝に「シャバデゥビ」言ってるあれ? でも今は終わって今はフルーツ的なあれだろ? まああれよりはましか。
『仮面? ああ、そうなるな』
「シャバデゥビ」か……まあふんどし一丁よりはましか。
「よしやろう」
『おお、そうか。ならまずはアイテム収集をしてもらう』
「あ……」
たしかリュージの話では信じられないほどのアイテム収集をさせられ、そのあとにキチガイみたいな強さの敵を相手にするって話だ。急に気分が沈んできた。
『君には白兎のドロップアイテムと黒ウサギのドロップアイテムをそれぞれひとつづつ集めてもらう』
「へ? 2個だけ?」
『ああ、それだけだ』
騙されるなリョウ、2個だけってことは相当ポップ率が低いってことだ。
「そいつらはどこにいるんだ?」
『どっちも《教帝》領だ、まあがんばりたまえ』
そう言うとNPCはその場から急に消えてしまう。
「はぁ、がんばろう」
◇◆◇◆◇◆
「……いた」
《教帝》領に入った瞬間に目の前に白い耳が見えた。しかしその下にはウサギの姿ではなく可愛らしい女の子の姿だった。
「いや……人魚の前例もある、油断はできないぞ」
身長に近づきすぐ後ろまで立つ、念のためアーマーブレイクをしておこう。
『!?』
俺の姿に驚きその場でへたれこむ白兎。目をぱちくりさせ、いわゆる乙女座りで体を小刻みに震わせ怯えている。えー、この子を倒すの……。
「なあ、俺は別にお前を倒したいわけじゃない。ドロップさえ落として行ってくれるならそれでいいんだ」
自分でもあほなことを言ってるとは思った、しかしそのときはそんな言葉が自然と出た。
『……』
頬を赤く染め、目をきょろきょろと動かしたから小さく頷く白兎、やベー可愛い。
「そうか、ありがとう」
その言葉を言うと同時にあたりが砂煙で見えなくなる。そしてその砂煙が消えたときにはすでに白兎の姿はなかった。
「逃げられた……のか?」
そう思ったのはつかの間で、先ほどまで白ウサギが座っていたところには何か白いものがあった。
「なんだこれ……ハッ!?」
さりげなくてに取ったそれは、間違いなくそれだった。今でも若干暖かさが残っている。純白のそれは俺にとって、いや男にとっては刺激が強すぎる。ましてやあんな可愛いこのパ……んっ、止めておこう。
「とりあえず無くさないように、被っておこう」
足を出すところから両目を出すように被る。いいフィット感だ。そしてこの独特のかぐわしい香りは……。
「やばい、高まってきた」
俺の心のそこにある何かが熱く燃え上がっていく。
「たしか、あと黒兎のドロップだったな」
すると後ろになにやら気配を感じる。
『ッ!』
すぐさま左に回避すると俺のいた場所を何か黒いものが通過した。
「鞭か……」
そこには全身を黒のボンテージで実を包んだ女の子がいた。容姿は先ほどの白兎と瓜二つで、少々目つきが鋭い。そして何よりてには鞭を持っていて、とてもアグレッシブだ。
『ッ!』
再び鞭が通過する。それをよけると同時にはまた回避に移らされる。その動きはあまりにも早すぎる。
「クソッ、何か奴の動きをとめるものが……」
ふとアイテムポーチにあるそれを思い出した。
「いっけぇええッ!」
崖から降りるときに使ったロープを取り出しそれを投げる。まるでそれ自身が意思を持つかのように動きあっという間に相手を亀甲縛りにする。
『ッ!?』
鞭は完全に止まり、相手は動くことさえ許されなかった。
「ふふふ、ふッははははッ」
手を頭の後ろに組み一歩一歩体を見せ付けるように動く。黒兎の表情は完全に絶望へと変わっている。
『ッ! ッッ!!』
「こいつはもらっていくぞ」
黒兎のはいていた網タイツを奪い、自分で装備する。そしてロープを引っ張るとその縄はゆっくりと解けた。すると俺のふんどしがブリーフに変化した。
「これは!?」
『私が見込んだだけはあるな』
すると3次転職のNPCが突然現れた。しかしその姿は俺と同じものだった。
「貴様一体俺に何をした!?」
『私が何かをしたわけではない、おまえが進化したのだ』
「進化!?」
『そう、進化だ生物が生きるために環境に適応するように、おまえもまたこのゲームの中であるべき姿へと……更なる高みへと進化したのだ』
「あるべき姿だと! これが俺のあるべき姿だというのか!?」
『そうだ、おまえは真の変態だ。だからこそ今その姿に進化したのだ』
「俺が……変態!? そんな馬鹿なことがあるか!」
『ならばなぜおまえは《アーマーブレイク》を使う』
「それは……仕方ない状況に陥って……」
『果たして本当にそうかな? 貴様は心のどこかで《アーマーブレイク》をすることで他の人間に見られることに快感を得ているのではないか? そして恥らって見せることで更なる言及を得ようとしている、違うか?』
「そんなこと……」
しかし俺はNPCの言葉を否定しきることができなかった。
『ふ、ならばもうひとつ、普通の人間なら一度使った時点でかなりの精神的ダメージを受け立ち直ることすらできなくなるはずだ、しかしおまえは違った、その後も何度も繰り返し《アーマーブレイク》を使用した、それがおまえが変態である証拠だ』
「俺は変態なのか……」
『そうだ、それを認め受け入れたときお前は真の変態になれる』
「受け入れるだと……」
『さて、最後に私と戦ってもらう。そこでお前は目覚めるのか? それともここで終わるのか? それをしっかりと見届けさせてもらう』
突如NPCの上にHPバーが現れる。
『行くぞ!』
「クッ!」
NPCと俺が指を絡ませ押し合いになる。しかし相手のパワーが強く、徐々に押されていく。
「くそ、足りない力が……」
『力とはすなわち快感、お前はそれを糧に力を高められるはずだ』
「快感で力を……」
手を弾きnpcと距離をとる。
「なるほど、快感か……」
俺はブリーフの両端を引っ張り肩にかけた。
「力が……高まる」
『ふ、それでこそだ』
再びnpcとぶつかり合う、しかし今度はパワーが拮抗しあっている。先ほどより確実に力が高まっているのだ。
「もっと力を……もっと快感をッ!!」
再び手を弾き距離をとって今度はブリーフの両端を右から左左から右へと移す。そして高まるリピドーは最高潮へと高まる。
「フォーーーーッ! 気分はエクスタシー!!」
俺の体は黄金に輝き俺は変態から、スーパード変態に進化した。
『そうだ、それがお前のあるべき姿だ』
「穏やかな心と、激しいリピドーによって目覚めたスーパード変態それが俺だ!」
『さあ、その力を見せてくれ!』
そしてnpcと俺は再び激突する。激しい衝撃波が辺りを包み、砂煙が立ち込める中そのシルエットが次第にはっきりと映し出されていく。
『さすがだな……』
「師匠……」
そこに立っていたのは俺だけだった。
『もうお前に教えることはない、お前はお前の信じた道を行け』
「はい……」
『さらば……だ』
その言葉を残しNPCは消えていった。
◆◇◆◇◆◇
「それは私のおいなりさんだ」
「がはっ……」
俺を取り囲んでいた人間はすでに倒しつくした。
「さてそろそろ時間のはずだが……」
予選の時間が終了し通過者の名前が表示される。そこにはギルやゲイルの名前もあった。
「さて本戦はどのような戦いになるのか楽しみだ」
◇◆◇◆◇◆
「あれ? 俺一体どうしてここに?」
「たしか《白褌の一本気》を追い詰めたところまでは覚えているのだが……」
「一体何が」
その場のあまりもの悪夢にリョウに倒されたプレーヤーは全員がそのときの記憶を失っていた。
「奴は一体……」
こうして《白褌の一本気》の名は謎に包まれていった。
これが俺の答えだあぁぁあぁぁッ!! (おいッ!
最初は三次転職を魔法剣士だけに例のあのヒーローにしようかと思ったのですが、なぜか仮面つながりで例のあのヒーローになってしまいました
何を言ってるのかわからねぇと思うが(ry
さて三周目か……なんだろうなぁ~
今回書けなかった麒麟のその後でも書こうかな……
ではセンターまであと少し、頑張っていきましょう!




