これが私の桃源郷
こんにちは。一葉楓です。ネタ満載……かなw
私の名前はフィルベルト。
しがない普通の紳士さ。
イベント予選Cブロック《砂漠》フィールドで、ミルちゃんとアリアちゃんという素晴らしい天使の二人と一緒にこそこそと銃弾を避けて戦闘中。
「ミルちゃん! 体もっと低くしてッ!」
「は、はうぅぅ……」
「アリア、ミルちゃんをしっかり見ていてね」
「まかせなさいッ!」
あどけない天使たちを守るため、私は運営の力を使って予選を二人と初めから共に行動しているのだが、こんなにも敵と早く遭遇するとは思わなかった。
だれもいないところに魔法が発動されたり、砂埃が上がるのと、時々出てくるゾンビのようなモンスター……もちろん《砂漠》ではポップしないモンスターから判断するに、 おそらく、敵は二人。一人は召喚系の魔法職、もう一人は遠距離系の魔法師か、ガンナー系の職だろう。横で砂が飛び散り、砂柱が上がる。そして後ろでは、炎の十字架が地面に広がったり、雷が落ちたり、地面が凍ったりしている。もしかしたら敵はもっと多いのかもしれないが、いずれにせよ、遠距離攻撃が得意であることには変わりはない。
対するこちらは私とミル、《侍》と《狩人》だ。前衛職と近・中距離戦闘職。ものすごく分が悪い。だが……
「やられてばっかりでは……恰好がつかないな」
私は地面に向けてスキルを発動させる。スキルエフェクトを纏った刀が地面に叩きつけられ、人気は大きな砂埃が舞う。もちろん、目くらましだ。
何もただ避けてばっかりの防戦だったわけではない。
ゾンビを切りつつ、銃弾の跳んでくる方向を見極めていたのだ。銃弾は合わせて三方向から飛んでくるが、一番多いのは……ここだ。
狙いを定め、目を凝らす。すると、微かに黒い影のようなものが動いた気がした。
砂埃でミルは隠れている。しばらくは攻撃の心配はないだろう。
私はその微かに見えた影に向かって走る。砂砂漠の柔らかい地面に足をとられそうだが、そこはゲーム慣れした私。素人ではないのだよ。このゲームの開発段階からヴァーチャル慣れしていた体さばきをなめるな! ステイタスを考えなければ、私こそが最強だ!
砂丘の陰に隠れたそれは、まさしく人形をしていた。プレイヤーだ。全体像こそ見えないが、プレイヤーに間違いない。わたしは相手の資格に回り込んで、刀を上段に構え、一気にふりおろ……さなかった。
「なん……だと?」
剣が止まった。相手が受け止めているわけでも、私の体に異常が起こったわけでもない。バグじゃない。何か邪魔が入ったわけではない。私の本能が、私の細胞一つ一つが「権を振るな」と訴えている。
私の崇高なる強大なロリコン精神が、その幼女を傷つけるなと叫んでいる。
その敵は、身丈ほどの銃を背負った、ツインテールの幼女だった。若干栗色がかった髪を揺らせて、少し吊り上った目で私を見ている。やばい、超可愛い。この子マジ天使。
不意に、後ろから声がした。敵かと思って振り返ると、そこには意外な人物がいた。
「なっちゃん、大丈夫!?」
「え……? なんで?」
「あら……あらあらあら。おひさしぶりですー、フィルベルトさん」
巨乳を揺らし、背中には大きな黒い翼を持った絶世の美女さん……旅館の女主人のパイさんが俺の後ろに立っていた。
イベントに行く前、リョウたちと合流するため旅館に行った時に挨拶したきりだが、あちらも私のことを覚えていてくれたらしい。
「こんにちは、パイさん」
ひとまず、互いの武器を収め、ミルとアリアと合流して、我々は共同戦線を張ることにした。
◆◇◆◇◆◇
私たちは、砂漠の中に数少なくある岩のようなものから小さな横穴を見つけ、そこへ入って、拠点とすることにした。カナートと呼ばれる、砂漠で農業をするために、遠くの河川から引いた水を地下から通すための穴だろう。実際に地下水が流れているのはここよりさらに下の方で、ここはただの横穴。普通は縦穴を掘るのだが、何らかの形でこのような狭い横穴ができたのだろう。
私たち五人でいるには、少しばかり窮屈なほどの広さだ。もちろん、明かりは外から入ってくる薄い光だけ。でも、外の暑さと、敵に見つけられる危険を差し引けば、なかなか快適だろう。
私たちは簡単な自己紹介を終え、これからどうしようか話し合っていた。ツインテールの栗色幼女はナツというそうだ。と言っても、幼女三人組はあんまりあてにできないので、ナツとパイさんが持っていた素材アイテムをミルが調理していて、ナツとアリアはそれを見ながらおしゃべりしている。作戦を立てるのは大人二人の役目だ。
どれどれ、どんな料理を作っているのかな?
「ミルちゃん、料理したことあるの?」
「なっちゃん心配しなくても大丈夫だよー。わたしね、時々ママの料理手伝っていたもん」
「そう? なら安心ね」
「わたしは……食べてもいいかな? 一応食べることはできるけど、わたしが食べても何にもならないし……」
「アリアちゃんの分も作ってますよー」
「ホント? ありがとう!」
ふむふむ、なかなか調子よく作っているみたいだな。
「えっと……全部ぶち込んで煮るだけ!」
「え?」
「あれ? なんか間違ってたかな? でも、ママはこんな感じにやってたけど……」
それにしてもどんなアイテムかは関係なしにぶち込むのはどうかと思うぞ?
「でもさ、流石にぜんぶいっしょくたっていうのは……」
「わたしも、アリアちゃんに賛成」
そうだそうだ、二人ともいいこと言った。
「でもさ、お鍋とか、おでんとか、後は筑前煮とかはおいしいじゃん? つまり、この料理もおいしいんだよ! それに、私のままの料理ってすっごくおいしいんだよ。つまり、それを見ていただけのわたしの料理もおいしいってこと!」
素材を全部ぶち込む料理はうまいらしい。
「え? 見ていた……だけ?」
「うん、だけ」
「料理練習じゃなくて、料理観察?」
「うん、まずは何事も観察から。それで学んでできたこの料理はきっとおいしい!」
さらに、料理は観察するだけで上達するらしい。
これは楽しみだ。何せ、初めてのミルの料理だ。何ができるかはともかく、ミルが作った料理がまずいわけがないのだ。
やがて密室に漂う何とも言えない料理の匂い。焦げた匂いとスパイシーなにおいと、幼女の汗のにおい。最高じゃないか! これは素晴らしい料理が期待できる! もはや今生に悔いは無し!! ロリバンザイ!
「はい。フィルベルトさん? ちゃんと聞いてくださいね?」
「ハイきいてます。大丈夫です」
「じゃあさっき私はなんて言いましたか?」
「まずは48時間生き残るためには、食料と水の確保が大事だと。水はここはオアシスに水をひくための地下用水路に直結しているから問題ないとして、食料はどうするか。植物系のアイテムは、ここは砂漠でオアシスでも見つけない限り当てにできない。残るはモンスターから得られる動物系の素材だけど、砂漠という環境ではそれすら見つけにくい。ではどうするかで考えた案が、砂漠では夜行性の動物が多いのが現実世界だから、この世界もそうだろうと推測し、夜にモンスターを狩りに行こうという事。大勢で移動すると目立つから、二人一組で交代に拠点から出て行って、モンスターを見つけ次第、アイテムの確保。でも、これは明日の一日だけでもいいかもしれない。これで食糧問題は解決かと思ったけど、この焦げ臭いにおいは何かしら……と言ってましたよね?」
「……おどろいたわぁ。まさか全部覚えているなんて」
「(近くに幼女がいる)私に不覚などあり得ませんよ」
「頼りになるわぁ。何かあった時は頼んでいいかしら?」
「(幼女であるナツちゃんの保護者である)パイさんのたのみなら、断れませんよ」
「え、それって……」
「私は(幼女が)好きだという事です」
「そんな……いきなり言われても。えっと……」
「(幼女が)大好きです」
「あ……う……」
あら? なんだかパイさんが俯いて真っ赤になってしまったぞ? 俺なんか変なこと言ったかな?
「あ、あの……私、ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします!」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。必ず(幼女を)お守りします」
なぜだ? なぜパイさんは無言になる? なぜ顔を赤らめる? そして……なぜミルは目を丸くし、アリアはニヤニヤして、ナツちゃんは口元を両手で隠して真っ赤になっているんだ?
そして、ミルの声がこの沈黙を打ち破り、さらには怒涛の勢いで幼女三人が騒ぎ出す。
「すっごーい。フィルベルトさんかっこい―!!」
「フィルベルト……男らしい」
「変な人だとは思ったけど……素敵な人じゃない」
「お、おう。……ありがとな」
だが、幼女三人に褒められて悪い気分にはならない。
「じゃあこれはお祝いのごはん! もう日が暮れて夕方だから晩御飯だね。いっぱい食べてね!」
どんッと、目の前に置かれた鍋は、この密室に再び沈黙の空気を流すには十分だった。だが、見た目が虹色だろうと、焦げ臭く、腐卵臭がしようと、赤い生肉がちょこっと覗いていようが関係ない! 幼女の手料理! それは最高のスパイスだ。どんな料理でも三ツ星並みの味に変えられるぅ!!
「…………あれ―? おかしいな。ママの料理はもっとおいしいはずなのに」
「固いのと柔らかいのと……色が変なのと……食べられなくはないけど」
「おいしいとは……言いがたいわねぇ」
「わ、わたしは食べないでおく」
なんだお前ら? こんなにうまいぞ? 幼女の手料理だぞ? どうしてこのうまさが分からない?
「じゃあ私が全部もらおうか? みんな、スタミナゲージは満タンだろ?」
皆が頷いたのを確認して、私はそれを平らげた。
ごちそうさま。生き物の魂と命に、幼女の存在と可愛さにありがとうだ。
「じゃあ、寝ましょうかね? 外はわたしが召喚したゾンビに見張らせているからみんな寝ましょ? 食料は明日の早朝に考えましょ?」
「はーい。じゃあ私はなっちゃんとアリアちゃんの隣で寝る―」
という事は私はナツかアリアの隣だなこれは譲れ――
「ではフィルベルトさんは私の隣」
「て、え? あれ?」
え……俺が端っこ? これじゃあ隣に居るのはパイさん。そりゃあパイさんは美人だが、わたしの許容範囲に入っていない。え? 密室に幼女が三人もいるのに私の隣にはいないとはどういう事だ!? おかしいだろ! ラノベ的に問題ありだよ!
むにゅっと腕に妙な柔らかい感触のするものがあたった。暗くなった密室で、顔を横に向けると、そこには目を閉じて寝息を立てているパイさんがいた。腕は私の腕に巻きついていて、その自慢の双丘で私の腕を挟んでいる。だけど! だけど!
幼女ならばつるペたであるべきなんだあああああああああああああああああ!!
どれだけ願っても、私の願いは届かない。
ちくしょう。ならばこう考えればいい!
密室に……僕と、少女と、幼女と、童女と、美女。なんだこれは? 桃源郷か?
最高じゃないか! これでいいのだ。私は幼女に触れられなくていのだ。もともとそれが信条だった。むこうから触れてきそうだったから少し頭が混乱したようだ。これでいいのだ。
私の名前はフィルベルト。
しがない普通のロリコンさ。
さて、この小説はあくまでもコメディー小説ですからね。真面目にくだらない話を書きましたw
次の人、よろしくー。
*注: 私はロリコンじゃないですよ。




