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ろぐ☆あうと  作者: 奈良都翼
イベント予選
55/64

やったね麒麟、家族が増えるよ!

おい、止めろ

ども奈良都です

「ふむ、無理か」


 できるだけ助走をとったが5メートルほど足りず次の枝には届かなかった。普通の人間ならここで地道に木登りを覚えるだが俺は違った! 逆に!


「降りよう」


 上るのにはスキルがいるようだが下るのには必要がないらしい。まあ同じことを考える奴もいるだろうが早めに行動しておけば少数との遭遇で済むはずだ。途中途中枝で休みながら、ひたすらに地面を目指す。その地道の作業の末2時間ほどでようやく地面に到達した。あいにく、途中プレーヤーとの遭遇はなくおそらく俺が一番乗りだろう。


「なるほど、でかいな」


 東京タワーやスカイツリーが可愛く思えるほどのでかさの世界樹を眺めながら、疲労のたまった体に鞭打ちひとまず隠れ場所を見つける。ちょうど世界樹の方からは死角になっている。逆にこちらからは覗き込むことが可能だ。ここでしばらく休憩をとることにしよう。


「ん、誰か降りて……」


 誰かが何かひも状のものを器用に使い枝から枝へと巻きつけスムーズに降りてきた。次第にはっきりとしてきてその主の顔が分かる。


「麒麟か!」


 向こうはこちらに気づいているようで徐々にこちらに近づいてくる。


「やっぱり下にいた、リョウの鼻は当てになるわ」


「鼻?」


 鼻を押さえながら首を傾げる俺。


「違う違う、リョウのことよ銀狼の」


 アイコンを操作し銀狼のリョウを出す麒麟。麒麟と並ぶリョウは心なしか大きくなった気がする。


「早くついたのはいいが、思いのほか地上エリアは広くはなさそうだ。早めに食料を確保しておこう」


「そうね」


 かくして食料を集めるため行動を開始した俺達。イノシシ型のモンスターや木の実など採取ポイント、食料を集めるのはそう苦ではなかった。集め終わり最初の地点に戻るころにはもうすでに何名かのプレーヤーが降りてきていたらしい。銀狼のリョウの索敵スキルで難なくプレーヤーとの戦闘は回避することができた。時折プレーヤーが木から落ちてくるが上では相当激しい戦闘が行われているのだろう。


「さてと、どうする?」


「スタミナもだいぶ減ってきたし、そろそろ調理を開始したほうがいいかも」


 そういってアイコンを操作し始めた麒麟、それを悟ったかのように銀狼のリョウがあたりを警戒する。俺もあたりを警戒しておこう。


「えっと……まずは」


 素材を眺めながら悩む麒麟、調理スキルを持っていないから分からないがめんどくさそうだ。


「全部ぶちこんで30分!」


「え!?」


 その声を聞き振り返ったころには、すでに素材はなべ型のエフェクトに飲み込まれていった。


「麒麟さん、ひとつよろしいでしょうか?」


「なに?」


「調理スキル使ったことある?」


「無いわよ、持ってはいたけど使ったのは初めて」


 どうやらあと一回素材を集めに行く必要がありそうだ。


「あ、はい素材集めてきます」


「それどういうことよ? 私のこと信用ならないって言うの?」


「いや、スキルって経験値加算性だろ? 初めてで成功するのって確率低いと思うんだな、うん」


「大丈夫、現実ではすごく料理うまいって定評があるんだから」


「へ、へぇ」


 素材を全部ぶちこむ料理はうまいらしい。


「パパったら食べたとき天にも昇るおいしさだったて褒めてくれたの、次からは社員の人にも分けたくらいよ」


「そりゃすげぇや」


 そりゃ天にも昇るおいしさだ、うん。


「素材の味を生かしてるって、現実に戻ったらリョウにも作ってあげるわね」


「た、楽しみにしてます」


 ともあれ、これから30分その素材の味を生かす料理とやらを待たなくてはいけないらしい。


「リョウ、お前も食べるか?」


 ぷいっとそっぽを向くリョウ、どうやら天にも昇れる気分になれるのは俺だけのようだ。


◇◆◇◆◇◆


「さあ、召し上がれ」


「わ、わーい楽しみだな」


 シチューのようにトローリとした紫色の食べ物、その大海原に肉片や木の実が沈没している。でも逆に考えるんだ、女の子の手料理だ。そう見た目が-5としてもその事実で+5ほら±0、大丈夫いけるはずさ。


「いただきます」


 皿までも食べる勢いで一気に飲み込む。その味はなんともいえない神秘的な味で、小宇宙そうコスモを感じる。『うろたえるな小僧ども!!』ってなかんじで、頭の中のブロンズな俺が四人吹き飛ばされるくらい、そう天にも昇るほど……うまい。


「なんだこれ、うまいぞ」


「ね、料理うまいでしょ?」


 この世のものとは思えない味はうまいまずいを通り越し計測不能、そこを補うように頭が勝手においしいと思い込んでいる。といったところではないかと私は思う。


「おかわりあるか?」


「もちろん、たくさん食べて」


 今度はゆっくり一口一口味わって口に入れていく。なんかもう分からないけど、とりあえずおいしいからまあいいや。


「まじでうまいや、天才か?」


「そんなこと……あるかも」


 なんていうか癖になる、癖になる通り越して中毒性がある。繰り返し服用しちゃうぜ。


「お前、いい嫁さんになれるよ」


「え、えぇ!? そう……かな?」


 この味を知ってしまった以上定期的に食べなくては禁断症状が……うぅ。こりゃ浮気もできなぜ。


「まだまだあるから」


 すでにスタミナゲージはマックスだったがその後もシチューを食べ続け、一時間後には間食していた。


「ご馳走様」


「どういたしまして」


 ひとまず戦う利点はまったくといっていいほど皆無。できることならば無駄な戦闘は避けたい。となる逃げるが勝ちの原理が発動する。


「ひとまず寝床を確保するか」


「そ、そうね」


 条件としては見通しがよく、かつ相手からは見つかりずらい場所。かつ寝やすいというのも条件だ。


「さてと、どうしたものかな?」


 現在地点は前者をクリアーしてはいたが、後者には該当しない。モンスターのポップのことも考えると別の場所が好ましいのかもしれない。


「さっき素材集めに回った感じではあまりよさそうな場所は近くにはなさそうだな、少し遠くまでいってみるか?」


「分かった」


 その後ステージを回りわかったことはこのステージは世界樹を中心に半径1キロほどの円状でそこから先は崖で囲まれ上ることはまず不可能だ。そして森の中では定期的にモンスターのポップが発生し、世界樹はから20メートルと崖から森の間の20メートルにはポップはない。その間に拠点を作るのが望ましいだろう。


「とりあえず一周してみるか、索敵よろしく」


 単純計算で6,3キロほどの距離だ。2時間もあれば回りきれるだろう。


「いいえ、回る必要はないみたい」


 そういって一点を指差す麒麟の視線をたどるとそこにはちょうど洞窟があった。


「敵はいそうか?」


「待って、プレーヤーはいないみたいだけど……」


 リョウの鼻がぴくぴくと反応しうめき声を上げる。


「なるほど力ずくで泊めてもらえってことか」


「そう見たいね」


 洞窟に入り魔法使いの頃の初期魔法 《スタンド・フレイム》を使う。視界が開け奥まで眺めることができた。


「これは懐かしい」


 そこには最初に苦戦をした、紫熊が威嚇をしながら待ち構えていた。


◆◇◆◇◆◇


「ふん、こんなものか」


 初期の中ボス級に苦戦するわけもなく、《アーマーブレイク》すら使わずに勝利を収めた。


「待って、まだ何かいる」


 闇の中で何かが光るのが見え、《スタンド・フレイム》を近づける。そこには小さな紫熊が2匹おびえていた。


「こりゃ悪いことしちまったかもな」


 モンスターに悪いもクソもないがやはり人間、罪悪感を感じずにはいられない。


「怯えないで、あなた達のお母さんのことはごめんなさい……」


 しゃがみこみ、紫熊の視線に合わせる麒麟。その姿に最初は警戒していた紫熊も恐る恐る近づいてくる。


「名前決めてって……ん~」


「フェルベルトは止めておけ、ロリコンになるから」

 

「それは嫌ね……じゃあこの額に三日月型の模様がある子が夜桜で、こっちの一回り小さい子がミルかな」


「まあ、いいんじゃないの? また勘違いされないようにな」


 かくして麒麟と楽しい仲間達は増えたのでした。やったねたえちゃん家族が、おい止めろ。


◇◆◇◆◇◆


「さてとだいぶ暗くなってきたしな、どうする? 交代で見張るか?」


「大丈夫よ、リョウがいるから人影があったなら起こしてくれるわ」


「そっか、なら寝るか」


 下はあまり寝心地がよさそうには見えないが、寝れるぶんましか。


「リョ、リョウ……」


「ん?」


「私まくらないと寝れないタイプなんだ……」


「それはお気の毒に、お休み」


「ちょっと、それはあんまりじゃない」


 寝ようとする俺を止めにかかる麒麟。


「お前は俺に何をしろと」


「……腕枕」


「は、はぁ……」


「もう、この際毛布と布団はいいから黙って枕になりなさい」


 『俺が布団になってやろうか?(グヘヘ、ゲス顔)』というくらいの権利はあったのかもしれないが、疲れていてそこまで気は回らなかった。


「了解、どうぞお姫様」


 腕を伸ばして横たえると、そこに麒麟がちょこんと横になる。


「あんまりこっち見ないでよ」


「これはずいぶんと注文の多いお姫様だ」


 むすっとしながらも目を瞑る麒麟、こうしてればまだ幼いようにも見える。そういえば年はいくつぐらいなのだろうか? しかしそれを聞くのは社会的にも、ゲーム的にも失礼だ。しかし推測するくらいは俺の自由なのでこの際俺なりにはっきりさせよう。中学生というほど幼くは見えない、かといって社会人や大学生といった大人っぽさはない。となると夏輝と同じ高校生といったところだろうか、しかしレイカさんほどナイスバーディといった具合ではないが、将来性を感じさせる肉付きは夜桜やミルにはない一種の色気を兼ね備えている。高校生で間違えはなさそうだが、1、2、3で言うなら2か3に該当しそうなものだ。


「んぅ」


 ごろんと寝返りを打ち俺のほうを向く麒麟。距離も縮まり寝息が耳にかかり、むにゃむにゃとと可愛らしいねごとまで聞こえる。いろいろまずいな。


「えっと円周率は3,141592……だめだ、そうだ周期表なら水素、ヘリウム、リチウム」


 ちなみに高校のとき先生と張り合って全部覚えたのがちょっとした自慢だ。その後もつぶやき続け、アクチノイドに入るころには意識は消えていた。

 



どうでしたか?

え? リョウを操作するだけじゃないのかって?

せっかく楓さんが伏線を書いたのですから回収しなくては

それと彩菜さんにはちょっぴりヒント、分かんなかったら直接聞いてください

ちなみに一日目はほのぼの終わりましたが……


大人な読者はほのぼのなんかじゃなくこいつを読むんだよ

とまぁ変態に続く

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