自分たちの食量しか頭にないクズどもは、終いには天に向かって叫ぶだろう。”溺れる。どうか慈悲を”とな……。そしたら私はこう答えてやる。”いやだね”
こんにちは。こんばんは。そして、おはようございます。最近、疲れでまともに小説がかけなくなっている霧々雷那です。
最初に言いたいことがあります。私はギャグが書きたかった……。だが、茶番をする暇が見当たらない……。まぁ、二日目ではおそらくギャグしかやらないので許してください。
ようやく、試合が開始され、早々に海にドボンする。私が海面から顔を出してみると、そこには小舟以外何もないステージだった。
島のような孤島を想像していたがそんなことはなかった。誰かが鬼畜というだろうが、この程度で鬼畜とか言われると腹が立つ。私は取りあえず、近くの小舟に上がり周りを見渡す。
すると、ほとんどの人物が小舟に乗り、闘い方を考えている最中のようだ。
先ほど、私は『何もない』と言った。そう、小舟以外何もない。つまりこれは身を隠すものが何もないことを意味する。したがって、乱戦になることは完全に目に見えている。一つのグループを叩いているうちに背中を刺されるのだ。
ここから生まれる状況など決まっている。
そう、膠着状態だ。
私の三次職の奏者ならば、多少、空中を飛べただろうが、残念ながらそうもいかない。なんせ、使えないのだから……。
私が悩んでいると、私の船に誰かが乗ってきた。見覚えのある人物……。どうやら大文字のようだ。大文字はすでに天魔帝国軍を辞めているため、服装は普通の重装備だ。
大文字は苦笑いしながら周りを眺める。
「いやー。なんだか、城を前ににらめっこしているみたいですよね……」
どちらも手を出さない。この状況で小競り合いを始めれば不利になることを分かっているから……。
「そうみたいですね……。このステージじゃ重い鎧は不利じゃないですかね……」
「うん。僕もそう思っていた。けど、水中戦になると必要になるから着けておくよ。それよりも問題は食糧だ」
「それなら、心配はいりません。どうやら、舟一つ一つに一人分の食糧があるみたいです」
私は木箱を叩きながら言った。この中には一人分の食糧が入っている。そう、一人分のだ。すると、大文字が辺りを見渡しながら舟の数を数えはじめる。
「舟の数は明らかに人数分じゃないね。だとすると、1/3は餓死する」
「食料を簡単に得るならば、他人の舟を狙うことですか……。おっと、どうやら始まったみたいです」
「有利なのは海賊あたりですかね?」
「いえ、そうとも限りません。魔法職も有利です。不利なのは武器が切断系の人たちだけです」
大文字は苦笑いをしながら答えた。
「それは僕も含まれているよね……」
「そうですね。でも、勝機はありますよ……。後は、エンジンですね」
大文字は首を傾げて私のほうを見る。当然のことながら舟は木船で動かすならオールだ。エンジンなど便利アイテムはない。アイテムは……だが……。
「おっと……。夜桜さん発見です。どうやら、ソロのようですね。囲まれています」
「了解。面舵いっぱいでこがせてもらう」
「いえ。ここで待機して、舟の向きを逆にしてください。走って行きます」
「えっ!? ここから200mはあると思うよ?」
「舟を漕いでいては間に合いません。単独で向かいます。できるだけMP消費は避けたいので、私を投げてください」
「あぁ、そう言うことね……。意外と大胆だね」
「よく言われます」
大文字は苦笑いしながら私の腕を掴む。夜桜は遥か彼方で魔法を撃って応戦しているが、10人程度に囲まれているため意味はない。下手をすれば自分の舟が沈む結果となる。そう闘いに置いては近接系が有利だ。だが……魔法使いには魔法使いなりの闘い方がある。
「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
大文字の全力の投擲で50mぐらいは体が飛ぶ。私は腰を回転させながら脚を下にして、海面に着地する。本来、沈むはずの体は沈まず、未だに全身を続ける。
魔法使い職に限定され覚えられるスキル《エリアルステップ》の効果だ。MPを消費して地形の悪い毒沼などを移動できる技だ。
上位互換として三次職の《ペガサス》の《スカイウォーク》などがあるが、基本的には魔法使い系しか習得できない。その効果は少量のMPを消費し、わずかに地面から足を浮かせるものだ。これは水にも有効。
つまり、水の上を走れる。
DEXだけには自信がある。何のためにAGIを上げたのかわからない。だが、走るのには苦労しない。私はまるでマンガやアニメのように水面を走りながら戦闘に乱入する。どうやら、夜桜はそっち系の補助魔法は習得していないようだ。
十数秒の後にたどり着き、まずは斧を振ろうとしていた奴の顔面を殴りつける。当然のことながらダメージはあまりない。STRが皆無だからだ。だが、ノックバックは発生する。
夜桜は私の突然の行動に驚き、わずかな間、硬直する。相手もだ。
この一瞬の間だけでいい。見たところ魔法系の職業の人物はいない。これは好都合だ。
まずは、舟の端に立っている人物に飛び蹴りをかます。ダメージはほとんど通らない。だが、少しよろけて、自分の重さで地面に落ちる。ここでようやく全員が我に返るだろう。
あと8人だ。倒さなくていい。だから……。
「夜桜さん。舟の後方で思いっきり《フレイムトルネード》撃って!」
「えっ! えっと……。とりあえずわかった……」
夜桜は舟の後方へジャンプする。それと同時に一人が飛び乗ってくるのを私は蹴り飛ばして間の海に落とす。しがみついて乗ろうとしているのは無視でいい。
なぜなら……。
「フレイムトルネード!!」
私は夜桜と同時に呪文を唱える。
「キャプチャーバインド!」
舟の裏から出てきた光のツタが夜桜と私をしっかりと舟に固定する。その直後に、夜桜の両手の先からすさまじい熱風が発生し、海面を広範囲に蒸発させる。だが、敵の誰にも当たっていない。だが、これでいい。
舟は漕いでいないのに前に進みだす。当然だ。推進力を得たのだから……。
小舟は一気に加速し、大文字がいたところでようやく停止する。倒さなくていいのだ。とりあえず状況さえ変えられれば……。
未だに遠くにいる相手はこちらに来る気配はない。どうやら諦めたようだ。それを確認した私たちは腰を降ろしてHPとMPを回復しながら作戦会議を始める。
最初に口火を切ったのは大文字だ。
「まず、今現在の僕たちのパーティを考えてみようか……。まず、僕は完全な防御型……。夜桜さんは火炎系特化の超攻撃型……。このステージじゃ不利だね。最後にカノンさん……。今のあなたは支援しかできない。つまり、このパーティには一見バランスがいいように見えて、相当バランスが悪い」
続いて私が同意する。
「海上戦においては相当の強さを発揮する。でも、海中戦においてはほぼ何もできないに等しい……」
「じゃあ、どうするのよ!」
夜桜が多少ヒステリックになりながら反論する。だが、私と大文字は至って冷静だった。
「だから、私は時間切れを狙う……。そのためには二つしなければならないことがある……。夜桜さんならわかりますよね?」
「……。食料と、安全な場所……。ですよね、カノンさん」
「そうです。後者は遥か彼方に逃げればいいので大丈夫です。ですが、食糧については大問題です」
私の説明を補足するかのように大文字が喋りだす。
「そう。僕らはあと一つ食糧箱を手にしなければならない。だが、ご覧の有様だ。城と城が睨み合って動きそうにない。この海域じゃ水中からの攻撃もあり得る。だけど、この積み荷がある限り、相手は舟を壊せない。もちろん、こちらも……」
「つまりはどこか一つの城を落とさなければならないってことですよね」
夜桜が周りで警戒を怠っていない舟々を見渡しながら言う。どれも鉄壁で一筋縄では落とせない。そこで私は周囲に気を配りながら呪文を唱え始める。
「それともう一つ……。このステージにおいて、最も脅威となりえるのは海賊や水夫などではなく……魔法使いです!」
二つの舟の周囲に球体上のマジックシールドを展開する。それとほぼ同時に激しいスパークがなり、周囲一帯を黄色のライトエフェクトが染め上げる。轟音と雷光は耳を劈き、周囲にいるものを怯ませる。
そう、このステージにおいて、最も効果的なものは雷属性の魔法だ。海しかないこのステージでは最高のコンディションと言えるだろう。水に潜れば必中。水に潜っていなくても感電ダメージを受ける恐れすらある。
夜桜は自分のステッキに手をかけ、大文字は背中の大剣に手をかけた。
この予選において唯一の救いがパーティを正式に組めないこと……。つまり協力はできるが、フレンドリーファイアはあり得るのだ。だから、雷属性の攻撃を受けた時、周囲に人が潜っていないことを意味する。ダメージ必須でなければ……
瞬間―――――
水中からトビウオのように相手のパーティの残りのメンバーが現れる。このタイミングでは逃げることも叶わない。だから、決死の闘いをするしかない。
飛び込んできたのは二人組のようだ。一人は遠くから再詠唱を始めている。それに対し、夜桜も詠唱を開始する。
大文字は乗り込もうとする1人を大きな盾で弾き飛ばして何とか阻止する。あともう一人は私がタックルをして水中に引きずり込む。当然のことながら私も海中戦を強いられる。
水中では圧倒的不利だ。《水泳》スキルがなければまともに泳げない。それでも、戦えないことはない。けれども、そのためには仲間を信じて時間稼ぎだ。
今頃、水面下では夜桜と相手の魔法使いとで魔法合戦をやっているだろう。だが、おそらく勝つのは夜桜だ。
相手の二度目の攻撃は私のマジックシールドで何とかしのぎ切る。そして、三度目を放つ前に夜桜の火力ならば、一気に戦意喪失まで持ち込める。
「《……オ》――――――――」
私は水中で予想よりももっとエグイ技が出てきたことを悟った。だが、その間に相手の斧は水中で振られる。私は腰の剣の鞘でそれを防いだ。
抜いても装備できないがアクセサリーとしてなので防御ぐらいはできる。強化スーツを身に纏えば普通に装備ができるのだが……。
数秒後に波が大きく揺れ、何かが水中に入ってくるような音が頻発する。夜桜が放ったのは火炎系魔法の中で高クラスに位置する魔法である《メテオ》だ。周囲に燃えている岩石を振り注がせる。
パーティを組んでいないと最悪なことになる魔法の一つとして知られている。
この状況で使うのは一件自殺行為にしか思えないのかもしれない。だが、こちらにはメイン盾がいる。小舟2隻程度、大きな盾で防ぐことだろう。そして、これが発動していると相手もむやみに水中から出てこれない。もちろん私もだが……。
そしてあちらにも牽制できる。後は相手が回避している間にもう一度他の魔法をぶつければいい……。けれども、その前にすることがある。
私は手を振りかざして呪文を唱える。
「キャプチャーバインド!」
水中でも音は聞こえる。音を伝える物質があるからだ。また、これとは全く関係ないが、水面で水とぶつかり水中に入るときにただの岩と化したメテオの残骸は海の底に沈み始める。私はそれと相手を固定する。
本来移動制限の呪文だが、水中であるとちょっと面白いことが起こる。まず、人が生きていくためには酸素が必須である。だから、このゲームでも水中に潜ると酸素ゲージが消費されていく。これは敵味方関係ない。
そして、酸素ゲージが無くなって起きることと言えば単純なことだ。移動制限は1分間だ。これだけあれば相手の酸素ゲージを消費させるのには十分すぎる。そして、酸素ゲージが切れて起きることは体力の減少……。
相手は当然のことながらその状況を避けるために岩を破壊しようとするだろう。そしたら私はこれを唱えてやる。
「《スピードダウン》!」
スピードダウンはその名の通り、相手の攻撃速度や移動速度を著しく減少させるものだ。これにより、一分間の間に岩は破壊されにくい。水中では近接系の武器の威力が下がる。ただでさえ威力が落ちているのに攻撃頻度まで落とされてはひとたまりもない。だが、私はこれで終わらない。
「《バリアシールド》!」
当然のことながらオブジェクトである岩にかける。これで相手がスキルを出しても防御力が上がっている岩を壊すのは難しくなる。
だが、呪文を唱えるということは当然のことながら私の酸素ゲージが減少する。だから、元から雷撃でHPが減っている相手と最終的にはどっこいどっこいとなる。だがこちらにはまだ手がある。
酸素ゲージが尽きたら呪文を唱えられないと誰が言っただろうか……。
「《キュア》!」
元がプリーストなだけあって回復量はバカにできない。私程度の体力ならば全快する。そしてMPが高いため、耐久勝負ならこちらが勝利する。
最後の抵抗を見せ、掴まっている敵がこちらに叫んでくる。
「食料はやる。だから助けてくれ。溺れる。どうかお慈悲を……」
私は満面の笑みを一度浮かべてから、即座に真顔に直し、儚く命が消えかけている相手に向かって表情一つ変えずに口を開いた。
「いやだね」
その言葉と共に、岩に縛り付けていた敵がHPを全損させてポリゴンの欠片となった。
私は相手の消滅を確認するとすぐに上に浮上する。
水面に浮上すると、すでに二隻の小舟がそこになかった。その代わり、先ほどまで相手の魔法使いがいたであろうところに舟が3隻になって停まっている。
どうやら制圧が完了したようだ。
私は余ったMPで水中を走りながら舟に駆け寄った。これで食糧難は解決だ。後はできるだけ遠くに逃げるだけだ。遠くに逃げた後は適当に時間を潰せば勝利が確定する。
私と夜桜と大文字は三隻の舟を連結させて、できるだけ遠くに逃亡した。もちろん夜桜エンジンで……。
しばらくすると、誰も見えなくなった。どうやら、作戦は成功のようだ。それを確認して全員は安堵したよう表情を見せ、各自の舟に腰を降ろした。
腰を降ろして第一声は大文字がまたも切る。
「そう言えば僕は釣りスキル持ってるよ」
「「はっ!?」」
私と夜桜の疑問の声が重なった。二人の声は何も遮るものがない海洋では遥か彼方まで届いたことだろう。
要約するなら今までの苦労は全て水の泡……。食糧難はすでに解決済みだったということだ。二人は深いため息をして、見張りを勝手に大文字に任せてふて寝を開始した。
さて、続きは次の私の手番です。あまり気にならない切り方をしたので、次の人も普通に自分の話に入れると思います。次は順番が逆になっているから奈良都翼さんです。
それではノシ




