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ろぐ☆あうと  作者: 奈良都翼
イベント予選
53/64

鬼畜ステージ

こんにちは。一葉楓です。では本編をどうぞ。


 イベント予選、当日。

 おれたちギルド《ログ・アウト》はイベントに向けて一応いくつか組み手をして対プレイヤー戦闘のノウハウを身につけたわけだが、所詮は付け焼き刃。モンスターとは違った戦術と、攻撃パターン、対プレイヤー戦でどこまで通用するか、正直不安ではある。


 という事で、はじまりの街のイベント会場である。受付で手続きをして選手控室で試合が開始するのを待っているのだ。

 周りを見渡すと、いくつかの知ったプレイヤーがいる。《クルセイダーズ》のミズキとトモキ。《リアライズワールド》のギルドマスターのカノン。《センブルクの風》のギルドマスターのヴァルヴァディアとクイさんもいるし、《天魔帝国軍》のゲイルとギル、大文字もいる。あれは……あの女の子っぽい男の娘はユーリだったっけな? 一緒に《女帝》攻略の時に行動したから覚えている。ギルドに属していないプレイヤーとしては、ゴウさん、エンさん、ヤスさん、あと旅館の主人のパイさんもいた。

 ただ、響と《蒼い鳥》のメンバーは一人も見当たらなかった。事情は知らないが、今回のイベントの参加は見送ったのだろう。


「人いっぱいいるねー。なんだか緊張してきちゃうなぁ……」

「あぁ、でかいギルドからソロプレイヤーまで、しかも今回のイベントはレベル補正があるからな。三次転職していないプレイヤーでも十分優勝は狙えるから、それだけ参加人数が多くなっているんだろうな」


 ミルが期待と不安の入り混じった声でつぶやく。俺たちは控室にあるうちの一つのテーブルを囲んで、周りのプレイヤーを観察していた。あんまりじろじろ見ると不審に思われるだろうが……それ以前に、世間ではおれの存在自体を不審に思っているらしい。いいじゃねぇかよ……褌一丁の何がわりぃんだよ……。


 もちろん。俺も優勝を狙いに行く。夜桜が怖いのもあるが、一人の男として、勝負事は勝ちに行くべきだ。そのためにはギルド内で協力して予選を突破したいのだが、プレイヤーは4つのグループにランダムで分けられるため、望みは薄いだろう。しかも、同じフィールドでもとばされる先はプレイヤーごとにばらばらだ。広大なフィールドで、マップも使えない中、仲間を見つけられる可能性なんてほぼゼロに近いだろう。

 それに、この予選はどうやら二日間にわたって行われるらしい。二日間……つまりは48時間がタイムリミットだ。なぜこんなに長くしたのかは正直、かなり気になるが、フィルベルトが教えてくれた。


「スタミナだろう」

「スタミナか? だからなんなんだ?」

「スタミナは満タンからゼロになるまでにある程度の時間かかる。もちろん、20時間も持たないだろう。ジョブの中にはモンスターのドロップアイテムから料理を作れるものもいるし、それらのスキルをフルに生かせるようにとの配慮だろう。単純な力バカでは予選は突破できないってことだ」

「ということは、フィールドにモンスターがポップするってのも」

「そのための措置だろう」


 これを聞いたときは、正直絶望した。おれにはスタミナを回復させるアイテムなんて一つも持ってはいないからだ。素材を直接食うだけでも少しはスタミナを回復するだろうが、それでも少しだ。その状態で48時間生き残る自信は……。


「この中で、調理関係のスキルを持っている人はいるか?」


 たまらず他に振ってみると、一番先に手を挙げたのはミルだった。


「わたし、《狩人》に転職してすぐに《簡易調理》っていうスキルを取ったよ。スタミナの問題なら、わたしは大丈夫」

「夜桜や麒麟は?」

「わたしは持ってないわよ……《プリースト》だもん……」

「あ、わたしも《簡易調理》は持っているわ。いくつかのジョブで共通に持てるスキルらしいね」


 つまり、スタミナの問題を解決できるのは麒麟とミルだけか。予選の実施時間が発表されたのは今日の予選当日だから、俺以外にもスタミナの問題を抱えているプレイヤーは多いだろう。そう考えると、けっこう二人はラッキーなのかな?


『それでは、予選を開始します!』


 よく響く声が控え室全体にとおる。ドクンと心臓が跳ね、ついに来たという実感がわいてくる。


『ただ今からA、B、C、D四つのグループ分けをいたします。各プレイヤーのメールボックスに本人のグループが書かれてあるメールを送りますので、そちらをご確認ください』


 メールが届いたという電子音。メニューを開くと、イベントの運営からだ。


「おれは……Aグループだ」

「私はBグループ」

「私はリョウと同じA!」


 つーことは、俺と麒麟は同じグループか。夜桜がものすごい悔しがっているが・……まぁいいや。見るとフィルベルトはどうだ?


「Cだって」

「俺もCだ。ミルちゃんといっしょだな。じゃあ向こうでは協力しようか?」

「うん!」


 フィルベルト……てめぇぜったい細工(チート)したろ。


『それではご自分のグループを確認しましたか? では、第一回イベント予選を始めます!』


 言うが早く、心の準備が終わらないうちに声が途切れ、俺たちプレイヤーの体が青白く光る。頭が揺さぶられ、無重力空間にいるような感覚が体全体にとおる。


◆◇◆◇◆◇(Aグループ)


「ん……?」


 その感覚は一瞬だったのか、少しは長かったのか? 反射的に閉じてしまっていた眼を開けると……。


「なんだっけな? フィールド……《巨大樹》だったっけ?」


 人の身長の何倍もある枝の上に俺はいた。淵に立ち、下を見下ろすと、そこにもいくつか枝がある。絵だというのがはばかられるほどの大きすぎる枝。現実世界の通の木の幹の何倍も大きい。

 枝の群れは途中で途切れており、それより下には地面が……なかった。暗闇だけだ。おそらく、そこに落ちると強制終了だろう。そしてもちろん頭上にも枝があり、これはかなりの高さまではえている。ちらほらと、他のプレイヤーの姿も見える。


 俺は《海楼》を抜いていつどこからでも襲われてもいいように構える。


 だが困ったことに……俺はこの巨大樹を上ったり下りたりができないのかもしれない。垂直移動をすることは可能だが、アイテムなしではキツイし、それを補助するスキルも、もちろんない。

 時間は長いのだから、練習すれば崖のぼりかなんかのスキルを取得できなくもないとは思うが、それまではほかのプレイヤーと比べると圧倒的不利になる。


 予選の48時間フリーフォーオールの……始まりだ。


◆◇◆◇◆◇(Bグループ)


「な!? ……ぶはぁ!?」


 ふわふわと浮くような感覚の後に襲ってきたのは水の冷たさと、浮力。そして……足場がない。


「か、《海洋》ステージィ!? 」


 水面に上がって、辺りを見渡すと水平線が見えた。島もちらほらあるが、かなり少ない。わたし……夜桜は《プリースト》で泳ぎに関するスキルなんて一切持ってない。これはまずい。いきなり大ピンチだ。48時間も水の中にいるなんてありえない。


 見渡す限りの……海。陸上戦闘はほぼ望めないと言っても過言ではない。陸上で戦いたければ、船に乗るしかない。


 さながら、源氏と平氏の戦い……戦場の合戦。壇ノ浦の戦いみたいだ。


 近くに浮いてあった無人のボートに這い上がって、再び状況確認。ちらほらと他のプレイヤーもいて、さっそく戦闘を始めているものもいれば、泳いで島を目指すもの。ボートに乗っているものもいる。


 ランダムとは聞いたが、こんなフィールドに飛ばされるなんて思ってはいなかった。

 でも……やってやる。良が予選を突破して、わたしが落ちるなんてのはあり得ない!


◆◇◆◇◆◇(Cグループ)


「……暑いです。フィルベルトさん」

「うん。ミルちゃんの言う通り……暑いね……さすがは《砂漠》ステージ。夜は逆にものすごく冷えるよ」

「が、頑張って……ミルちゃん」


 ぎらぎらと太陽が照りつける中、わたしはフィルベルトさんの隣に立っていた。フィルベルトさんの反対側ではアリアちゃんが同じように暑そうに歩いている。ランダムで飛ばされるはずだったのだが、きっとものすごく運がよかったんだろう。日ごろの行いに感謝。

 ……だけど、見渡す限りの砂色の世界はわたしの気分を否応なくどん底に突き落とす。


 わたしとフィルベルトさんのスタミナゲージはいつもより早く少しずつ減っている。昼の《砂漠》や火山地帯のような熱いエリアでは、特定のスキルを持っていないとスタミナの減りようが通常より早いそうだ。しかも、砂漠ステージではポップするモンスターは少ない。これでは《簡易調理》のスキルを持っていても意味がない。

 そして、夜の《砂漠》は極寒のステージへと様変わりする。そこではHP、MPの児童回復速度が遅くなるという、これまた不利な環境に閉じ込められるのだ。


 そして、戦闘がそれほど得意ではないわたしとして致命的なのが……隠れる場所がほとんどないという事。地平線の先でちらほらとプレイヤーたちを見ることができる。隠れられなければ……戦うしかない。


「暑いよ……」


 わたしの気持ちは早くも脱落気味だった。


◆◇◆◇◆◇(Dグループ)


 始めは自分は目を開けているのか分からなかった。でも自分の顔を触って初めて自分の両目はちゃんと開いていると分かった。

 ではなぜそんなことをするのか? 答えは簡単……。


 光がない。


 薄暗いのではない。無いのだ。これではミズキと会おうと約束していたのに、ミズキを見つけられない。同じDグループに入ったのは運がよかったが、Dグループが飛ばされたフィールドは……《鍾乳洞》だろう。

 暗いから本当に鍾乳洞かはわからない。だが、ここが洞窟であることは確かだ。時折滴り落ちる水の音がいつも以上に響く。洞窟の中で響いている証拠だ。


 相手を見ずに、敵の足音だけで48時間生き残らなければならないなんて……運営側のフィールド選択は鬼畜すぎると、俺……トモキは思った。


 ひとまず背中から剣を抜いてかまえる。スキル《心眼》を常時発動させて。


 《侍》固有スキルの《心眼》は他のジョブが取得する《暗視》や《ダークスコープ》と同じ、暗闇や薄暗い場所でも少しは辺りを見えるという物だ。だが、その分発動中はMPを少しずつ消費する。


 だが、背に腹は代えられない。

 足音で自らの位置を敵に知られないよう、完璧な暗闇の中を歩きす。


◆◇◆◇◆◇


 そして、このイベント参加者はこの後、口をそろえてこう言った。


「運営の人間は……鬼畜だ」

どうでしたか? まったく、こんな鬼畜なステージえらんだの誰だよ! ←

あとの作者さんがどう書くのか、楽しみです。

あ、ちなみに一応確認ですが……

Aグループ:奈良都翼さん

Bグループ:霧々雷那さん

Cグループ:一葉楓

Dグループ:彩菜さん

ですからね。一応確認です。

それと、霧々雷那さん、彩菜さん、『カノンと夜桜』、『ミズキとトモキ』を離れた場所からスタートさせました。これが自然だと思ったので。

ちなみに、フィルベルトに関しては、ロリコン精神と運営の力でスタート地点はミルの隣。自然ですねw

それでは次の人、楽しいイベントをどうぞ~

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