死神って言ったらアレだよね。
こんにちは霧々雷那です。なんかいろいろなものにはまって更新ができていない。今日この頃ですが、とりあえず書きました。まぁ、死神ですね。気にせず本編の方をどうぞ。
次の日になった。だが、彼女たちは返って来なかった。まぁ、どうせそのうち帰って来ることは分かっているのだが、何処か落ち着かない。
ちなみにフィルベルトは幼女捜索へ出ていったきり帰ってこない。こいつは……まぁいいや。とりあえず、今いるのは麒麟と俺だけになる。とりあえず、やることもなくとにかく気まずい……。
そんな時、急にアナウンスがなった。
只今より《死神》攻略の会議を始める。参加を希望する者は至急、《安冥京》の安冥城正門前まで来るように。 ―――――ギルド:《天魔帝国軍》ギルド長――――
どうやら、本格的に死神攻略に乗り出すらしい。平凡な日常に飽きたんだったら行くべきなのだろう……。俺は取りあえず、横にいる麒麟のことを見た。麒麟も自信満々に俺に近づいてくる。もしかしたら、そこに夜桜も行く可能性も高い。だったら向かうことに越したことはないのだろう。
◆◇◆◇
《安冥京》は死神のボスダンジョン直前にある街だ。その名の通り、何処か古来の日本を思わせる雰囲気がある。流れる小さな川や、瓦屋根の露店。アーチ状の橋や日光を遮る和傘……。完全に江戸とかそこら辺の雰囲気だ。
そんな安冥京の中で一番のシンボルが街の端からでも見える大きな城だ。名前を安冥城といい。殿様が住んでいると言われている。
そんな場違いの雰囲気の中、俺たちは街の正面の門をくぐり、一直線に城へと突き進む。城の前にはすでに人だかりができている。だが、見上げると城壁の上に立っている人物がいた。どうやら、ゲイルとギルのようだ。ゲイルは時計を確認しながら時間を待っていた。数分間ほど待たされたが、特に怒ることはしなかった。
すべてのギルド内の部隊を力をもって率いるギルと、頭脳や知識を持って率いるゲイルだ。この二人の信頼関係は海よりも深く、そして厚い。
ゲイルは時間を待ちわびたかのように喋りだした。
「よく集まってくれた……。では、今回の攻略について私から説明する。攻略方法は至って簡単だ。それは行けばわかる。だが、問題は第二段階だ。今までのボスの特徴を見ていると、HPが減少した時、本来の力を発揮することがわかっている。だが、今回の死神は違う。第一段階を倒したのち、第二段かが現れる、と私は思っている」
急に野次馬で誰かが叫んだ。
「第二段階があることは確認できたんですかー?」
「残念ながらできなかった。だから、私は君たちへの協力を求めている。第二段階は必ずある。ボス級があの程度で終わるはずがない」
「あの程度?」
「あぁ、それも行けばわかる。説明は以上だ。参加を希望する者は10分後に再びここに戻ってきてくれ……」
そう言うと、二人はマントを翻して舞台裏に消える。説明は不十分過ぎる。これでは不安をあおるだけだ。俺は隣にいる麒麟に同意を求めた。
「なんか、説明が雑すぎないか?」
「違うよ……。多分、あの人のことだからそれなりの考えがあるんだよ」
「そう……なのかな?」
俺は理解できなかったが、とりあえず参加しないということは無いので、ポーションなどを買い揃えて再び戻ってくる。再び戻ってくると、先ほどよりも多少人数が減っていた。ざっと見て40人ほどだろうか……。その中に知り合いがいるのか見渡してみると、結構いた。レイカさんや、残りの大ギルド長。残念ながら夜桜の姿はなかった。だが、もっと残念なことに《蒼い鳥》のアヤとリュージもいる。後はクルセイダーズもいるな。
全員がそろうと、再びギルとゲイルが現れ、みんなの前で声高に宣言する。
「よく集まってくれた。私は君たちを歓迎する」
ゲイルは急に飛び降りて地上に着地する。その後を追うようにギルも着地した。
二人は全員に背中を見せると、ダンジョンの方へ歩きだし、直前でもう一度声を張り上げた。
「これより死神攻略を開始する!」
その声とともにゲイルはまっすぐダンジョンの中へ入っていく。死神のいるダンジョンの名前は《四季》だ。その名の通り、最初は春から始まる。各エリアにいる鬼を倒すことで次の季節へと変わるのだ。季節が変われば移動不可能のところも通れるようになる。そうやって移動するのだ。
最初の鬼は瞬殺だった。二つ目の夏の鬼は集団でかかれば雑魚も同然だった。だが、第三の秋の鬼は少し手強かった。物理防御が高いのだ。とりまきにもそれなりの強さがあり、多少苦戦したがそれでも進むことができた。
最後の冬の鬼は以外にもあっさりと終わった。やはり、先導に立つギルが鬼のうなじを切り落とす姿は見ている者を魅了する。とりまきはウザかったが、手こずることはなかった。
こうして、最後のステージへと入る。最後の直線に入るとモンスターがまったくでなくなる。そのかわりに少しだけ霧が濃くなってきた。しばらく歩くと広いところに出る。どうやらここがボスのいる間のようだ。だが、地面は河原の石があり、動きづらい。川のせせらぎが聞こえるところを見ると、どうやらここは《三途の川》らしい。あたり一面には彼岸花が咲き誇っている。
らしい……。と言ったのにはわけがある。たしかに奥の方にぼろい小舟が見えるのだが、その船頭はなんと、その小舟の中で寝ているのだ。その上、少し手前にはなぜか筺体がある。それも格闘ゲームのだ。
それより奥に近づこうとしても障壁みたいなものがあるらしく、それ以上奥にはいけない。筺体にはご丁寧に100Jと書かれている。
俺たちがそうやって騒いでいると、舟で寝ていた人物が目を覚まして起き上がる。その人物は女性だった。癖のある赤紙をトンボでツインテールにしている。赤い瞳を持ち、服装は半そででロングスカートの着物のような服装をしており、腰巻をしている。彼女は腰のあたりに幅広の剣を持っていた。
「あぁ……。客か……。あーヤベッ!仕事しないとあたい、マジで首になるわ。あぁ、早くしてくれ。そこにお金をいれればいいんだ。渡し賃ケチったら落っことすからな」
どうやら、格ゲーで彼女に勝てばいいらしい。俺たちが突然のことに戸惑っていると、急に彼女とは別の声のアナウンスが流れる。
『Please select your character』
それと同時に上の画面で30秒の文字が灯る。俺たちの上には矢印があり、どうやらこれで決めるらしい。すると、俺の知らない男性が前に出た。
「へへ……。格ゲーなら楽勝だぜ……」
そう言って男性は筺体の前に座り、100J入れる。するとスティックが動くようになった。それと同時に30の文字が減り始める。だが、そこで恐るべきことが起こった。男性がスティックを動かすと、俺たちの上にある矢印が動いたのだ。男性はかなり動揺した。やがて数字も減り、矢印が止まっている人物が指名される。指名された人物は急にワープして、あの障壁の中に入った。そして死神の女性と対峙する。
「おい……これなんだよ……」
「しらねぇよ! 体の自由がきかねぇ!」
操作する男性と、指名された男性が戸惑っていると女性が急に口を開いた。
「ふーん。あんた……死ぬよ」
「なんだよそれ!予言か!」
「死神の目。残りの寿命の半分と引き換えにこの目をやろうか?」
「いるかそんなもん!」
中に入ってしまった男性がこういうと、死神は軽くわらった。それと同時に再びシステムボイスがなる。
『THE WHEEL OF FATE IS TURNING』
『REBEL 1』
『ACTION』
その言葉と同時に死神の方が動く。死神は下蹴りから入り、次々とコンボを繋げる。20コンボほど行ったところでようやく止まる。よく見ると上の方に両者のHPが対称に表示されている。
操作する男性は焦りながらも必死で応戦した。だが、死神に圧倒されるばかりだった。だが、一番の要因はそこではない。このステージの難しいところは互いの連携が取れていなければならないことだ。見知らぬもの同士が組んでも相手の特性がわからなければ操作ができないのだ。
あっという間に1ラウンド目をとられ、2ラウンド目もなすすべなくHPを0にされる。それと同時に『GAME OVER』の文字が現れ、中にいた人物がポリゴンの欠片となって砕け散った。
操作していた人物は自分のした罪に耐え切れなくなり、発狂する。それが全員に伝わり、感染病のように広まっていく。そんな時、ギルとゲイルが前に出る。
「どうやら、出番のようだな……」
「あぁ、でも格ゲーなんてやったことないぞ……」
「オレはお前を信じてる……」
二人が互いを確かめ合って筺体にコインをいれようとした時、再び声が上がる。今度は別の人物だ。その人物を俺は知っている。そう、リュージだ。
「それ、ちょっと待て……。あんたら、初心者なんだろ?だったらやめた方がいい。ありゃ……かなりのAI積んでるぞ……」
「ならどうする……。このままじゃあいつは倒せねぇぞ……」
「あんたらは有名だ。そんなあんたらに死んでもらうと困る。だから、今回はオレたちに任せてくれないか?いいよな、アヤ……」
「別にいいわよ。負ける気なんてさらさらないし……」
そう言ってアヤはリュージの横を通り過ぎる。その時、リュージの口がわずかに開いた。
「すまないな……。つらい仕事を任せて……」
「そんなのいつものことじゃない……」
アヤの姿はまるで死にいく人のように白い着物を纏っていた。だが、手にはしっかりと刀が握られている。そんな二人を俺は止めることができなかった。俺がやるにしてもそのパートナーがいない。横にいるのは知り合って間もない麒麟だ。できるはずがない。
リュージはコインを入れ、即座にアヤを指名する。すると、アヤの体は一旦消え、透明な壁の向こうに再出現する。
「今度はあんたかい?」
「えぇ……。覚悟しなさい」
そう言ってアヤは刀を抜刀し、鞘を放り投げる。鞘を捨てるということは武士にとって逃げないことを意味する。
二人が対峙すると、再びあの悪魔のシステムボイスが聞こえてくる。
『THE WHEEL OF FATE IS TURNING』
『REBEL 1』
『ACTION』
その言葉と共に、先制攻撃を仕掛けたのはアヤだった。アヤは体の操作を全てリュージに任せているため、今は一撃に全力を注ぐことだけ考えている。
「はぁ!」
アヤの声とともに綺麗な空コンが死神に決まる。だが、死神も負けてはいなかった。分限ループこそしないが確実に技を繋げてくる。気が付くと、二人のHPバーはかなり減少していてオレンジゾーンに入っている。
「この着物野郎!」
一瞬、画面が光り、死神が幅広の剣を持って突進する。アヤはそれをガードし、即座に一撃をいれ、相手のHPバーを0にする。
だがすぐに死神は立ち上がり、アヤと一定の距離を保ったところに再び立つ。
死神は深いため息をつき、自分の右手の甲をアヤに向けた。
「しゃーないね。使いたくなかったんだけど……」
彼女がその言葉を言った途端、一瞬地面が揺れる。
「第666拘束機関解放。次元干渉虚数方陣展開! はあぁぁぁぁぁぁぁ! 死の魔導書、起動!」
死神がその言葉を口にした途端、彼女の周りを赤黒い何かが纏わりつき、オーラのようになる。その途端、心臓が押しつぶされるほど俺は恐怖を感じた。
「行くよ、この着物野郎!」
『REBEL 2 』
『ACTION』
その掛け声とともに第2ラウンドが開始される。アヤは先ほどと同じように出の早い刀での攻撃を仕掛けようとしたが、死神の一撃の方が先に入る。死神の攻撃が当たるたびに彼女のHPはごく微量に回復する。だが、驚くべきなのは速さとパワーだ。攻撃力は最初の1.5倍程度にはなっている。
その攻撃のせいで一気に均衡は崩れ、死神の方が断然に強くなる。
アヤが刀を振りぬこうとした途端、死神は自身のこぶしを引く。アヤの刀が届くよりも先に、赤黒いオーラを纏った拳がアヤに炸裂し、そのまま数メートル引きずると、頭を掴みオーラで握り潰す。それとともにアヤのHPが0になる。だが、すぐにHPが満タンまで復活する。
「リュージ……信じてるから……」
やけくそ気味になるリュージをアヤは正気に戻し、再び刀をかまえる。2ラウンド先取のため、どちらにも後がない。アヤが死神の正面にたつと同時に再びラウンドコールがなる。
『REBEL 3』
『ACTION』
今度の最初をとったのはアヤだった。アヤは一度飛び退いて攻撃を避けると、即座に近づいてコンボを決める。だが、不利なことには変わりない。相手のHPを2/3ほど持っていったところで、相手の攻撃を受け、そこから死神のコンボが始まる。1コンだけでHPの40%は持っていく。アヤが即座に起き上がりもう一度攻撃を加えようとした時、カウンターをいれられ、再び相手のコンボが始まる。結果的にHPはドット単位で残ったが絶望的だ。
それでもアヤは即座に立ち上がる。そんなアヤに無慈悲な一撃が振り下ろされる。
「障壁解放!」
緑色の波動がアヤの周囲から発せられ、近くにいた死神を吹き飛ばした。ここから驚くべきことが起こる。
死神の攻撃をアヤは相殺し始める。アヤの攻撃も死神が相殺している。
相殺は10秒ほど続く。まさに格ゲーとは程遠いほど異常な光景だった。だが、その均衡を破るようにアヤの一撃が入り、再びコンボに入る。だが、相手のHPの全てを削りきれずに残してしまう。
「見せてやるよ……蒼の力を」
その瞬間、アヤは刀を自身の前にだし、赤い方陣を展開する。死神の振り上げた刃がその方陣に当たり、視界が暗くなる。
「わるいが、潰させてもらう……」
「どっちが!」
「なにっ!」
死神の持つ幅広の剣が鎌のような形に変わり、死神はそれを振り下ろす。だが、アヤから出る白と黒の光が刀に移り、鎌の斬撃と刀の斬撃が幾度となくぶつかり合う。目の前が激しく瞬き、気が付くと二人は互いに背中を見せ合っていた。
二人とも同時に虚空へ剣をふる。それを合図に同時に振り向き、再び攻防が始まる。視界は明るくなったが、目の前ではライトエフェクトがぶつかりあっている。
アヤが一撃をいれ、コンボを決めて終えようとする。
「障壁解放!」
だが、今度は死神の方が緑色の波動を出し、アヤを吹き飛ばす。死神が走り寄ると同時にさらに攻防が始まる。ライトエフェクトがぶつかり合い、どちらのHPもまるで減らない。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
アヤが咆哮し、死神の攻撃に合わせてほんの少しだけ身を退く。すると、アヤの体を撫でるように幅広の剣が振り下ろされる。アヤは煌めく氷の刃を纏いながら死神の体を切り裂いた。
「これで終わり……」
アヤが何もない空間で刀を振り上げると、氷の刃が地面を這いながら吹き飛んだ死神の体を切り裂き、死神のライフを0にした。死神はそのまま力なく地面に倒れる。
その姿にギャラリーが沸いた。皆が喜びあい、拍手するものさえいる。死神が地面に倒れると同時に筺体の前にあった障壁がガラスのように音を立てて崩れ落ちる。リュージは即座にアヤに駆け寄り、精神的な疲労で倒れそうになるアヤを抱きかかえる。
「大丈夫か?」
「うん……。でも、ちょっと疲れた……」
全員が喜び合っているが、ギルとゲイルだけは表情を変えていない。むしろ、何か殺気立っているように見えた。
「おい……早くそこを離れろ……。奴はまだ……消えていない」
リュージが死神の方を見ると、死神は確かに地面に倒れているが、ポリゴンの欠片となってはいなかった。リュージはアヤを抱きかかえたまま、即座に集団の後方へと走って行く。それと同時に死神の周囲におびただしい数の黒い霧が噴き出す。黒い霧は瞬く間に収束し湖のようになり、そして形を成していく。
気が付くと首が何本もある化け物が近くにいた。その巨体は見上げなければならないほど大きく、また目のような酸漿色の光がこちらを見るたびにとてつもない恐怖に駆られる。黒い怪物は長い首の一本を伸ばしてこちらを喰らおうとする。だが、それよりも早くギルが動いた。ギルはこちらに近づいてくる怪物の太い首の一本を容易に切り落とす。
その途端、怪物が咆哮した。だが、その数秒後には黒い霧が再び収束し、首が元に戻る。
相手のHPバーを見てみると、何本にも重なったHPのうち、削れたHPが即座に回復を始めている。
俺は周りの人物が武器を抜くのと同時に海楼を鞘から抜く。俺は体勢を低くしながら正面へ走り、怪物の体を切り裂く。
何だこれ……。手ごたえが軽い……。
剣で怪物の体を切り裂いてみると、その違和感にすぐに気付く。たしかに剣は切り裂いている。だが、反動がまったく来ないうえに、斬った傷口が即座にふさがり始めている。
後方からの支援として光魔法が相手に炸裂するが、効いている気がしない。本当に闇属性なのかもわからない。死神に効果があるとされたネフェティスでの素材から作られている武器も効果がない。
こちらがどんどん消耗していくのに対し、向こうは即座にHPを回復する。何度攻撃してもまだ、一つ目のHPバーすらも半分を切っていない。
だが、それでもこちらは応戦している。空中を飛べるものなどいないはずなのに、相手の首は落ちる。復活こそするが数秒間だけ動きが止まる。それと同時に攻撃が一挙に集中する。だがHPバーはまったく削れない。
怒り狂った黒い怪物は待機を震わすような咆哮をして、こちらに近づいていくる。それと同時に長い首がこちらに伸びてくる。すると、今度はヴァルヴァディアが首を狩り落とす。もう一度止まると思われたが、黒い怪物は止まることなく次は胴体から細く鋭い触手が何本もこちらに向かってくる。その狙いの中心にいたのは……麒麟だった。俺は触手が到達する前に麒麟の元にたどり着く。
だが、もう救出する時間は無い。俺は走った勢いを殺さないまま麒麟にタックルをして吹き飛ばす。その代わり、俺はそこに取り残され、大量の黒い槍が降り注いでくる。
一本が俺の胴体に刺さり、2本目が俺の足に刺さり転倒させる。その瞬間、俺はもう死ぬことを覚悟する。どうせ死にはしないが……。
しかし――――――
いつまで立っても無重力感は来ない。俺は鈍い痛みが走る体を無理やり回してその光景を目にする。そこには前に俺を殺そうとしたアヤが立っていた。アヤは前方に方陣をだし、大量の槍を防いでいる。だが、それを支える腕は震えており、長くは持たないことを危惧しているように思えた。
「何してるの! 早く逃げなさい!」
俺はその声に反応し転がるようにそこから退避する。それと同時にアヤの持つ刀に白いライトエフェクトが走り、黒い槍ごと全てを振り払った。
「我に流れる次元よ。今ここに収束し一つの事象を見せよ。我が刃の一振りにてその宿命を切り裂く。我が名はアヤ。推して参る!」
その掛け声とともに相手に突っ込んでいく。幾多もの触手が彼女に襲い掛かる。アヤはその触手を次々と弾き飛ばす。しかし、その途中で刀の刃が折れ、ポリゴンの欠片とかす。けれども、その表情は笑っていた。まるで、強敵に会い交えたことを喜ぶように……。
「私がここで退く道理などありはしないっ!我が戦友から受け取った無双の一振りッ!」
アヤの右手に先ほどの死神の幅広の剣が出現する。アヤがそれを一振りして黒い触手を吹き飛ばすと同時にその剣が銀色の光を放ち、一本の刀の形を成す。
「虚構刀レイキ……。行くぞ!」
アヤはさらに奥に進む。だがそれでも怪物は彼女の脚を止めようとする。彼女を喰らおうと3つの怪物の首が迫った。
刹那―――――
横から飛び出したギル、ヴァルヴァディア、カノンがその首を吹き飛ばす。それと同時にリュージが後方から飛び出し、怪物の体を殴りつける。すさまじい衝撃波が発生し、怪物の体が揺れた。それと同時に俺より後方からレイカさんの光の矢がリュージ殴ったところを正確に射抜き、螺旋状の傷を作る。アヤはその中に刀を振り下ろしながら飛び込んだ。数秒と経たずにその穴は塞がりアヤの体は闇に飲み込まれる。
「選べクソ野郎ども! ここで逃げるか! それともこの化け物に立ち向かうか!」
ギルの怒声とともに先ほどまでうろたえていた全員が奮起する。そこから一斉攻撃が始まった。互いが互いをフォロー仕合ながら死ぬことだけを回避し、生き残るために戦う。
「くそ……。俺も選んでなんていられないか……」
俺はポーションでゆっくりと回復したHPの具合を見ながら深呼吸した。
「アーマァァァァァァァァァァァァァァァァッ! ブレイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウッ!」
俺の体の防具がはじけ飛び、ふんどしだけが残る。その光景を見たものは確実に変態と思うだろう。だが、それは褒め言葉だ。
俺は相手の攻撃を掻い潜りながら周りの奴とあわせながら攻撃する。合わせたこともないやつだったが攻撃が見事にかみ合う。
3次職の奴らが次々と首を刈り取っていく。復活することなど眼中にないように何度も何度も切り裂く。
それ以外の者たちで、高く跳躍して空中で戦えないものは後方部隊を守りながら黒い怪物の胴体を攻撃する。作戦など立てていないのに皆が協力し合って戦っていた。
レイカさんの三次職は《サジタリウス》といい。弓の名手がそのまま進化した形となっている。その矢の威力は前の職業の頃よりも数段と増している。
黒い怪物の中に消えていったアヤの三次職は《虚構斬魔士》といい、おそらく特殊な条件下で出現するであろう職業だ。ほとんど侍と変わらないが、魔法の力を得ており、目の前に展開される方陣は強力な盾と成りうる。また、相手がそれに攻撃すると同時に自分が反撃することも可能だ。
ヴァルヴァディアの三次職は神将だ。重い斧の一撃と天空を描くような攻撃が特徴的な職である。
三次職のメンツが次々と首を切り落とし、俺たちが総攻撃を仕掛け、死闘の末にようやく相手のHPが半分を切る。だが、もうポーションが切れている者も出始めている。だが、ここで攻撃の手を休めればすぐにHPが回復する。
ゲイルがこれ以上の進撃が不可能と感じ、撤退を指示しようとした瞬間、信じられないことが起こった。突如として怪物の体が動かなくなり、回復が止まったのだ。黒い怪物の酸漿色の目は色を無くし、黒く染まった。
その瞬間、怪物の残りのHPが全て吹き飛び、怪物の体を構成していた黒い塊が霧散した。それと同時にボス攻略のファンファーレが鳴り響く。周囲に拡散した黒い霧はすぐに薄くなり、元の空間に戻る。
その黒い霧が爆散した中心に先ほど怪物の体に飲み込まれたアヤの姿があった。アヤは軽く刀を振り、刀にまとわりついていた何かを振り払った。
おそらくこの光景に気が付いているのは少数だろう。ほとんどの人物がボスを倒した喜びに歓喜し、はしゃいでいる。
そして、数分後には大ジャンケン大会が開催され、等しくドロップアイテムが振り分けられた。
麒麟はそのジャンケン大会でウィップを手にした。俺は最初の方で負け、手に入れることができなかった。
こうして、《死神》の攻略は終わった。俺と麒麟は共に笑いながらギルドへと戻った。
◆◇◆◇
さて、家については見たが誰も中にはいない。まぁ、まだ帰っていないのだろう。俺はメールぐらい送っておくかとステータスメニューを開く。すると、すこしおかしい部分があった。それはギルド内の貯蓄金の欄だ。何故か……。あれだけ余裕があったその貯蓄金の額が――――――――――――――0だった。
死神って言ったらやっぱりアレですよね。ちなみに両方の元ネタがわかった人はおそらく顔がにやけたでしょうね。でも、もう一つ思いついた死神がどこぞの名前を書いたら死ぬノートのアレですが、さすがにそれだとチートすぎると思ってこうなりました。まぁ、後悔はしているよ。反省はしていないが……。さて、とりあえず奈良都翼さんの伏線の二つを回収してみました。それであっているのかわかりませんが、とりあえず次の方針は決まりましたね。次は一葉楓さんです。そう言えばようやく5体目のボスを倒したのかな?それでは~ノシ




