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ろぐ☆あうと  作者: 奈良都翼
死神
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44/64

「ヘイ、リョウ! ユーアバッドボーイ」ってアメリカンドラマ的修羅場

ギリセーフってことで

今回は奈良都翼です

今回は……伏線×4ってとこですね

何個ブレイクされるか楽しみです

「しかし最近の奴らの行動は目に余るものがあるな」


 男はつぶやき画面を見続ける。


「さて、私も動くとするか」


 そうつぶやき男は画面の電源を落とした。


◇◆◇◆◇◆


 あの後、道に迷いしぶしぶ帰ることにした。第一、4人+1の超小規模ギルドでボスなんて攻略できるはずがない。最弱のマジシャン(ラバーズの参入)の攻略にかかわらず40人以上、女帝攻略に25人、聞くところで女教帝ではその倍の50人が借り出されたのだ、その十分の一以下でどうにかなるとは到底思えない。

 俺たちは例の旅館を拠点代わりに、各地でレベル上げを開始した。しかしミルと俺らのレベルに開きがあり、あまり敵の強いところではレベル上げができないのが現場だった。そんな時とフィルベルトが提案したのは交代でミルのレベル上げをし、残りの二人が適正レベルの場所でレベル上げをするというものだった。そして始まった第一回ミル争奪戦。


「誰があたりを引いた」


「私みたいね」


 夜桜が先が赤く染まった割り箸を見せ付けるように奇妙な立ち方をしている。


「ふぅ」


 ひとまず安心した、もしフィルベルトが当たってしまったとしたら何をするか分かったものじゃない。


「くそ、次は……次は絶対」


「ほらいくぞ」


 フェルベルトの襟を掴み引きずる、その目はミルへと向けられている。


「ミルちゃん、明日は絶対一緒に行こうね」


「いいから歩け」


◆◇◆◇◆◇


 そして俺たちは死神の領である《死霊の丘》に来ていた。


「さて、適当にはじめるとするか」


「ああ、俺パスなんかやる気起こんないし」


 フェルベルトがだるそうにそう言う。


「は? 一人で戦えって言うの?」


「いいだろ、どうせお前は死なないんだし」


「それじゃ、レベルに開きが出るだろう」


 馬鹿でも見るような顔で俺を見るフィルベルト。


「お前さ、まだ気がつかないの?」


「何に?」


「お前のレベルは?」


「37、もうすぐ38だけど」


「ちなみに俺のレベルも37で、もうすぐ38」


「だからどうしたんだよ?」


「はぁ、つまりね、俺はお前を基準にこのアバターのレベルを維持しているってこと。俺がいくら敵を倒したところでレベルは上がらない。そしてお前がレベルを上げればお前と同じレベルになる」


「なんだよそれ、チートだろ」


「チートだ」


 すんなり断言したフィルベルトはひらひらと手を振り、アバターがその場から消えた。


「なんだよ、あいつ」


 怒りを込め石を蹴飛ばした。それはきれいな曲線を描きよろよろと動くゴースト形のNPCにぶつかる。HPがギリギリ目視できるくらい削れNPCはこちらに向かって近づいてくる。


「はぁ、戦闘開始だ」


◇◆◇◆◇◆


「ふう、さてと」


 3時間ほど敵を切り、休憩がてら安全地帯へと向かう。ここならモンスターはポップしないし、ゆっくりと休みが取れる。


「ねぇ、そこのあんた」


「ん?」


 そこには女性型のアバターが立っていた。鋭い視線でこちらを睨んでいるとも、見ているだけとも取れる。茶髪でショートボブといったところだろうか、顔立ちは目つきがあまりよろしくないことを差し引いてもそこそこの美人だ。


「ここらへんにさ《銀狼》ってモンスターがポップするって聞いたんだけど、知ってる?」


 《銀狼》というモンスターの名前は聞いたことがあった。たしかその毛皮は質のいい防具になり、爪や牙は武器を強化するのに最適と聞く。しかしポップ率が非常に低くレアモンスターの中でもかなり貴重とされている。強さは35レベ越えのプレーヤ10人がかりで倒せずしぶしぶ撤退してきたとか。たしかに《死霊の丘》にポップするということを聞いた気がする。


「一応言っとくけど、そいつならかなり手ごわいと思うぞ」


「知ってるわよ、強くなきゃ私のペットにはできないわ」


「ペット?」


 彼女の装備を見るとかなり軽装だった。防御値は大体俺と同じくらいだろうか? だとしたらかなりの死にたがりだ。気になったのはその腰に丸められて収められている武器だ。


「お前のジョブって何なの?」


「テイマーよ」


 聞いたことがないジョブだ。このゲーム内でもかなり少ないのではないだろうか、もしかしたら彼女だけという可能性もある。とはいってもそういうジョブは多い。このゲーム自体無数のジョブが設けられているのだから当然といえば当然だろう。


「つまりモンスターを手なずけるジョブってとこか」


「そう、とはいっても……まだ捕まえたことないんだけどね」


 こんなんで大丈夫なのだろうか?


「そうだ、あんた手伝いなさいよ。暇でしょ? 暇よね? 暇だね、よし決定」


「まあ、いいけどさ……」


 正直このまま死なれても後味が悪い。なら戦いながら勝つことが無理だと分からせて撤退までの時間ぐらい稼いでやろう。


「じゃあ、出発」


◆◇◆◇◆◇


 そんなレアモンスターをポップさせるとなるとかなりの敵を狩る必要があるのも必然と思えたが、そうでもなかった。


「まさか一発で出るとは、しかも2体……」


 体格は優に俺の3倍はあるのではないだろうか? 鋭い牙は《海楼》と大差ないほどの大きさだ。


「なら2体ともペットにするまでよ!」


 腰に収められていた武器を取り出す、それはしなり《銀狼》の腹部へと当たった、どうやら鞭のようだ。HPはピクリとも動かない、さすがに10人の35レベ級のプレーヤーを撤退させただけはある。


「だあぁぁあ!」


 俺のなぎ払いがヒットしたかと思われたが残像を残すほどのスピードで目の前から姿を消した。


「速いッ!」


 後ろに回りこまれていたようで、その前足が俺を引き裂こうと動いている。


「ッ!」


 それをかろうじで避け《銀狼》と向かい合う。目が合った瞬間体中を恐怖が駆け巡った。それを押さえ再び《銀狼》へと一撃を入れる。俺の攻撃はかろうじで減ったことを黙認できた。


「クソッ、速い癖にめちゃくちゃ硬い」


「後ろ!」


 背中に鈍い衝撃が走る。一匹の《銀狼》とだけ対峙していたが敵はもう一体いたのだ。HPは4割ほど削れ黄色くなっていた。


「まったく、使いたくなかったが《アーマーブレイク》!」


 防具が弾けとび俺の華麗なる肉体が露になる。気分はエクスタシー!!


「いくぜ犬っころども!」


 スピードが格段に上がったため、《銀狼》のスピードについていくことができた。《銀狼》の白い残像と俺の白い残像が無数の火花を散らせる。


「速い……」


 眺めるばかりだったあのプレーヤーも鞭を振るい始めた、それはしだいに《銀狼》にヒットし始め、銀狼のHPをわずかながらに削っていく。


「かなりきつい、撤退しよう」

 

「嫌ッ、このままじゃずっと私はお荷物よ。……そんなのは嫌なの」


 涙ながらに訴えてくる。《銀狼》は2体ともまだHPを7割以上残している。このまま攻撃を食らわずに戦い続けるのは困難だろう、第一俺のスタミナが持つとは到底思えない。


「クッ」


 できるだけのことはしよう、そう心に決め再び銀狼と対峙する。その眼光はどこか俺に似た気持ちを持っているようにも思えた。


「おらぁッ!」


 なぎ払いを繰り出し、相手の攻撃をギリギリで避ける。そんな攻防を繰り返していくうちに相手の攻撃がかすってくるようになった。《アーマーブレイク》の効果で防御力が低下している分、そんなかすりさえ5パーセントほどHPを持っていかれる。


「これ以上は……」


 そんな時後方から火の玉が飛んでくる。それは銀狼へとぶつかりその視線は俺ではなく後ろにいる新たなアバターに向けられた。


「御嬢、ご無事で?」


「あなたたち……」


 4人のアバターがそこにはいた。槍を装備した朱い鉢巻の男、剣を構える蒼い眼帯の男、拳を突き出す筋肉質の玄い男、杖を装備した白い男。


「ここは任せてください」


 朱と蒼色の男が《銀狼》と戦闘を開始する。かなり腕があるようで、《銀狼》とまともに張り合っている。

 

「あら、いい男」


 玄い男がこちらに近づいてくる。


「ヨシ、HPカイフクデキタシイコウ」


 少々不安が残るが俺も戦線に参加する。第一あのまま休んでいたら何をされるか。


「まったく、つれないわねぇ。なら私も……やってやろうじゃねぇかッ!」


 玄い男の拳が《銀狼》にヒットする。その一撃ががつりと銀狼のHPを削る。その後も次々に攻撃をヒットさせ一体目の《銀狼》が倒れた。どうやら打撃系の攻撃に弱いらしい、といってもこのスピードでは通常の打撃系武器は当たるはずもない。この玄い男のジョブが幸いしているといったところだろう。


「あらやだ、私ったら」


 くねくねと体をくねらせる玄い男。その動きは筋肉質のその体とミスマッチで非常に気持ち悪い。


「もう一体!」


 その戦闘をどこか悲しげな表情であのプレーヤーが見ていた。


「これじゃ……」


 もう一体も時期に決着がつくだろう。6対1なら余裕だ。


「一気に畳み掛けるぞ」


◇◆◇◆◇◆


「ふう、ひと段落ついたな」


 4人のプレーヤーの助太刀のおかげもあり何とか《銀狼》を倒すことができた。おそらくほぼ全員がスピードが高かったのが勝因だろう。あのスピードの敵を仕留めるのに重武装では厳しいところがある。


「……」


 あのプレーヤーは落ち込んだように倒れた《銀狼》のエフェクトを見ている。


「……ん?」


 そんな時ふと気づいたなぜ《銀狼》はポリゴンかしないのかと。


「もしかしてこれは……」


 俺の予想が正しければあのプレーヤーの当初の目的は成功するはずだ。


「おい」


「……なによ」


「あたりをよく見渡してみろ、俺の予想が正しければどこかに《銀狼》がいる」


 レアモンスターが2体同時に現れるということ自体イレギャラーだ、そしてその二体を6人そこらで撃退することができた。通常ならありえない話だ。となるとこれ事態がイベントである可能性が高い。そうなれば今後何かが起こる、そしてテイマーがKEYとなるイベントなら……。


「あれ! もしかして」


 茂みから小さな《銀狼》が現れる。小さいといっても人ほどの大きさがあるが。


「くーん」


 悲しそうに倒れている《銀狼》を見つめる小さな《銀狼》。


「もしかして……」


「親だろうな、まあ設定だろうが」


「なんか罪悪感がする」


「だったら、ちゃんとこいつを育ててやれ」


 あのプレーヤーが子銀狼の頭をなでる。しかし子銀狼は怒りは見せずむしろぺろりとその手のひらを舐めた。


「名前を決めてください、だって」


「お前が決めろよ」


「じゃあ、ソフ○バンク」


「それはあんまりだろ」


「じゃあ、おと○さん」


「しゃべらないと思うよ、たぶん」


「あんた名前は?」


「リョウだけど」


「じゃあリョウ」


 突っ込みを入れる前に指が動きそのまま名前が表示される。銀狼の頭の上にはリョウという表示が浮かんでいる。


「ん、リョウ? どこかで聞いたような……」


 と蒼い奴。


「御嬢、こいつ《白褌の一本気(シルクロード)》ですぜ」


 思い出したようにそういい加える朱い奴。


「《白褌の一本気(シルクロード)》ってあの!?」


 どんな噂かはおれ自身聞きたくないさっさと帰ろう、うん。


「じゃあ俺はこれで……」


「待ちなさい!」


 やだ~、セクハラで訴えられちゃうのかな……。さすがにふんどし一丁はまずかった。


「私のギルドに入りなさい!」


「えっと……、はい?」


 どうやら訴えるとか通報するとかの類ではなく、ギルドへのお誘い。


「えっと、悪いけど俺もうギルド作っちゃったんだ。だからごめん」


 当然蹴るしかない、これでも俺はギルドマスターだ。


「そう、じゃあ……私があんたのギルドに入るわ」


「えッ!?」


「「「「えッ!?」」」」 


 その場にいたほぼ全員が驚きの表情を示した。


「御嬢、うちのギルドはどうするんですか?」 


 と朱いやつ。


「知らない、パパに任せればいいでしょ」


「そんな~、俺ら殺されちゃいますよ、ただでさえ今日の件でお怒りなのに……」


 と白い奴。


「あんたたちの命なんてどうでもいいの、私はもっと楽しい世界を体験したいのに、パパったら私のこと危ないからとか言って閉じ込めて、この前のボス攻略だって参加させてくれなかったじゃない」


「親方は御嬢のことが心配なんですよ、でもなきゃこんなゲームにまで付き合わなかったですし……」


「私はいいって言ったのにパパが勝手についてきたんでしょ」 


 なんやら不穏な雰囲気。


「いや、うちのギルドメンバー募集してないだよね……」


 その言葉に救いの神を見たかのような表情を見せる4人。


「は?」


 やばい、さっきの《銀狼》より怖い……。


「いや、やっぱ募集してるかも……」


 その言葉に世界一のごみくずを見たかのような表情を見せる4人。中指のおまけつきだ。


「そうよかった、よろしくね私は《麒麟(きりん)》首が長いほうじゃないからね」


「ああ、あの神獣の」


「あらよく分かったわね、私たちのギルド名」


「え、そうなの?」


「なんだ知らないのか……まあ身内、内の小規模ギルドだから仕方ないか。ギルド長は私のパパ《黄龍(おうりゅう)》、んで私が副ギルド長。あとそこの4人がヒラ」


「ってことはそこの赤いあんたは朱雀で、蒼い人が青龍、んで黒い奴が玄武で、白いのが白虎ってとこか」


「なんだ紹介するまでもなかったわね」


 それにしても親切に色まで統一してるところを見ると、よほどのこだわりがあるのだろう。


「はあ……、親方になんて言えばいいんだ……」


「土下座じゃすまないよな、焼き土下座かな……」


「親方のお仕置き……楽しみ」


「もうだめだ、おしまいだ……」


 若干一名を除き全員が死にそうな顔をしている。


「おい、てめぇ御嬢にもしものことがあったらただじゃ済まさねぇからな」


「八つ裂きにしてトカゲのえさにしてやる」


「泣くまで殴るのをやめなくて、泣いても殴るのを止めないからな」


「……掘るわよ」


 何ッ!? 最後の超怖いんですけど。


「善処します……」


「さ、行くわよ」


 かくしてうちに新しいギルドメンバーが増えた。


◆◇◆◇◆◇


「夜桜とミルはまだか……」


「何、他のギルドメンバー?」


「ん、ああ」


 フェルベルトはいつごろ帰ってくるのだろうか、まあいいや。


「俺今日のドロップアイテムの鑑定行ってくるから、よろしく」


「はいはい」


 そういってその場を後にした。


◇◆◇◆◇◆


「なんかパッとしないのばかりだな……」


 今日のドロップアイテムのほとんどは霊魂やら、骸骨やらがほとんど。楽しみにしていた《銀狼》のドロップは《銀狼の髭》と聞いたこともないアイテム。せめて牙や爪なら武器の強化ができたのに。


「いらっしゃい」


「鑑定頼む」


 アイテムをカウンターにドッサっと出す。それを見ながら店主はフーンだとかうんだとかうめいている。


「兄ちゃん、この死霊系の奴なら買い取るよ」


「ん、なんでまた」


 死霊系といえば武器を作ってもあまりデザインがよろしくなく、切れ味や威力が高いわけでもない。しいて言うなら同属の死霊系へのダメージ増加の付加がされることだ。


「いやそろそろ、《死神》の攻略が始まるらしくてさレイトが高くなってるんだよ」


「へーえ、なるほどでどれくらいで?」


「骸骨は……一個500いや700だそう、霊魂は300だな、そんでこのインゴット系は……」


 そのあとも店主があれこれ言っていたが、俺には《海楼(こいつ)》がある。正直死霊系の武器は要らない。


「分かった、じゃあ売却するよ」


「しっかし、この《銀狼の髭》……こいつはだめだ。どこの掲示板にも情報がない、使用法も加工も……安くていいんなら買うけど」


「いや、いいや記念に取っとく銀狼を倒したさ」


「了解、んじゃ精算と毎度」


 チャリンと音とともに俺の懐がにぎやかになる。これでちょっとばかし贅沢しても問題ないだろう。


「あんがとな、じゃ」


◆◇◆◇◆◇


「はぁ、すっかり遅くなちゃった」


 猿を狩りながらミルのレベルを上げていたが、自分のレベルがもう少しで上がりそうだからつい粘ってしまった。


『こらリョウ、そんなとこ舐めるな』


「……!?」


『バカ、まったく……やめッひゃぅ』


「ミルちゃん今日は別のところ泊まろうか」


「夜桜お姉ちゃん、どうしたんですか?」


「いいから、行きましょ……」


 ゆっくりとホテルの部屋から遠ざかる。ミルには見せられないし、これから起こることももちろん見せられない。


「……殺す」


 これから起こる惨劇をリョウは知るよしもなかったし、せっかく温まった財布はパンひとつ変えないほど冷えかえることもこのときはまだ知らなかった。

最後のは別に実際にそういうのが起こってるわけじゃないですよ

《銀狼》のリョウ君ですから勘違いしないように

まあ某ヒロインは勘違いするわけですが……

ボスの伏線は誰か回収してくれるだろう、たぶん……

麒麟さんあたりの伏線も誰か回収もしくはブレイクするんだろうな……

最初のはたぶん触れられないだろうから自分で

それともうひとつもおそらく……

まあこれ以上言ったらブレイクされる気がするので止めときます

では次は雷那さんです、よろしく

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