やめて!本当に傷つくから
こんにちは、霧々雷那です。今回は私が担当しました。なんか、なにをさせたいのか全く見えなかったので、閑話を挟みました。まぁ、俗にいうギャグですわな。
与太話はこの辺にして、そろそろ本編の方をどぞ。
さて、次の日になって目を覚ましてみたが、俺はある事実に気が付いた。まぁ、事実と言ってもなにもやることがない、という超平和的な観測なのだが……。周りを見渡すと、未だに寝ている二名のロリと、変態、それに夜桜だ。
俺は取りあえず、四人を起こさぬように部屋を出て外の空気を浴びる。
仮想世界の朝日だが、やはりこれはこれでいい。
本当にやることがない。まぁ、暇なので一度飯でも食うか……。リアルでな!
―――閑話休題―――――
という、わけで30分後……。
俺は再び路地裏にログインし、そこから一度家に戻る。まぁ、まだ寝ているわけだが、ここは起こさないでおこう。まぁ、俺が消えても何とも思わないだろう。
さて、どうしたものか。やることが特にない。ギルド周りは取りあえず終わった……のか? うーん。一つだけ、まだの場所がある。と、いうか伝えたのだが、本当に伝わったのか定かではない場所……。
そう、カノンのところだ。あそこは本当に伝わったのか確かめに行く必要がある。まぁ、そこまで時間もかからないだろう。それにこの時間でもあの人物なら起きていそうな気がする。
◆◇◆◇
と、言うわけで俺はちょうど魔術師の直下の街にあたる《ルルヰエ》という場所を拠点としている《リアライズ・ワールド》の本拠地にやってきたわけだ。《ルルヰエ》は灰色のレンガが床一面に敷き詰められており、並んでいる家々も地中海の白レンガの家に似ている。だが、一番特徴的なのが、ここに桜が咲いているということだ。
別にゲームで桜が咲いているのは不思議ではないと思う。だが、ここに来るまでの道が豪雪で歩きにくいとなるとそうとも言えなくなる。
外と内の空気が違い過ぎるのだ。
やはり、その名の由来通り、ある神話のルルイエが元となっているのだろう。ちなみに、この先の《迷いの森》と、隣のエリアである《恋人たち》の《ペイグラウンドの丘》は繋がっている。おそらく、当初から同時にボス攻略がされることは計算されてイベントになっていたのだろう。
さらに、知識を加えるのならば、その丘の上にあるのが、件のWボス攻略の戦地となった《コービット城》だ。城と言っても屋敷に近い。
さて、無駄話はこれぐらいにして、本題に移ろう。
俺は《リアライズ・ワールド》の拠点である《ルルヰエ》大きな屋敷までやってきたわけだ。黙って入るわけにもいかず、とりあえず、門番に話しかけてみることにした。
門番と言ってもここは仮想世界なので、カギさえ閉めれば何の問題はない。だが、万が一、鍵開けなどのスキルを持った者が現れるかもしれないためにこうして攻撃の当たらない位置に門番がいるのだ。
俺は取りあえず、その男性にガラス越しに話しかける。
「あの、カノンさんに用があるのですが……」
「要件は?」
「挨拶です」
「それはこの間と一緒じゃないか……。悪いが通すことはできない」
以上の通り、きっぱりと断られた。このまま論争を続けてもいいわけだが、明らかに時間の無駄だ。とりあえず、今日のところは帰るか……。というところで俺は目を疑った。
なぜなら、俺が用のあるカノンが普通に扉から出てきているのだから……。しかも、鼻歌を歌っていて、妙に上機嫌だ。ちなみに、眼鏡もかけていない。まぁ、眼鏡は単なる装飾品なのでつけるのは趣味に近いわけなのだが……。多分、文学少女の雰囲気を出したかったのだろう。
さらに言えば、服装も、《リアライズ・ワールド》で統一された白と赤を基調とした服装ではなく、完全にかわいさを求めている服装だ。
具体的に言うのならば、赤く肌の露出が少しだけある軽装に灰色のスカートという、何ともかわいらしい服装に……。頭に付けた大きなリボンもポイントだ。
これは……スキャンダルか!
その御相手はすぐに現れた。
それは少し高めの身長の男性だった。男性はぼさぼさとした黒髪に、引き締まった顎のラインをしていて、髪型は置いておいてもイケメンと言わざる負えない。体格も筋肉質で申し分ない。男性には装備という装備が見当たらず、代わりに、腰に鍛冶師用と思われるハンマーが提げてあった。
どこかで、見たことがあるのだが思い出せない……。
とりあえず、隠れながら尾行を開始だぜ!
◆◇
むぅ……。なんか、男性と話しているカノンは俺に見せなかった笑顔を見せている。じゃあ、昨日のあれはなんだったんだ……。
とりあえず、《ルルヰエ》の出口まで来た。そこで、カノンが急に立ち止まって、俺に聞こえるぐらいの大声で喋りだした。
「ついて来ないでもらえますか? 変態」
変態?誰に言ってるんだ?あの男性か?ははッ!さっそく爆発か?ざまぁねぇなぁ……。そんなことを思いつつ、こっそりと笑いながら見ていると、さらにカノンは続けた。
「あなたのことを言っているのですよ。そこに隠れてる変態さん」
あぁ、なるほど。変態って俺のことかって――――――
「俺は変態じゃねぇ!」
俺は思わず、飛び出してしまった。あぁ、南無三……。
「まぁまぁ、彼にも彼なりの理由があってのことだろう。あんまり責めるなよ……」
「ですが、師匠。ちょっと悪寒がするもので、多分触られただけで妊娠するかもしれませんし……」
「しねぇよ! どんな逸話だよ!」
カノンをなだめようとして男性は必死になったが、カノンは露骨に嫌そうな顔をするばかり……。いや、そこまで嫌な顔されると正直傷つくんですけど……。
あっ! なんでそこで、そいつの陰に隠れるの?やめて、本当に精神的ダメージが大きいから!
カノンは男性の陰に隠れながら、こちらを凝視している。なんて、羨ましい!
「あぁ、多分君の思ってるような関係じゃないよ? オレらは」
なん……だと!嘘だ!そんなのウソだ!明らかにこいつウソをついてやがる!ん……。なんで、後ろのカノンは少し悲しそうな顔をしているんだ……。
「じゃあ、どういう関係なんですか?」
「まぁ、師匠と弟子みたいなものだ。こいつ。ジョクトラルオンラインに来たとき、完全に初心者でさ、オレが一から教えたんだ」
「あぁ、なるほど……。そうすると、あなたはどこかの有名なギルドのトップか何かですか?」
「まぁ、有名って言ったらそうだな。ボス攻略に積極的でないのに無駄に強い小ギルドなんて噂にあるぐらいだしな……」
「ふーん。で、なんで、そのギルド長さんが超有名人であるカノンさんと一緒にいるんですか?」
なんか、信じられねぇ……。嘘ついてんじゃねぇの?クソ!俺がこいつをぶっ殺してやる!全世界の非リア充のために!
「なんでって、そんなの狩りに決まってんだろ。こいつが誰かとパーティを組んじゃいけない理由でもあるのか?」
「いや、無いけどさ……」
俺が反論できなくなると、カノンが男性の軽装のコートの袖をぐいぐいと引っ張って早く行こうとする。どれだけ逃げたいんだよ、あんたは……。
「そういや、あんた。今、思い出したけど、例の変態だろ? あいつらから聞いたぜ。犬を倒すのに一役買ったみてぇじゃねーか」
「まぁな。俺はどっかのクソ野郎なんざ簡単に倒せるぜ?」
俺がそう言うと、二人は顔を見合わせて笑った。
あのなぁ、そのどっかのクソ野郎はあんたのことなんだが……。こいつ気づいてないのか?
「じゃあ、そんな君の実力を買って、頼みをする。オレらのクエストに同行しないか?」
「あぁ!? 人にもの頼むときは態度ってものが―――――」
「行こうか、カノン」
「はい、師匠……」
「ちょっ! 待って! 行くから! 俺も行くから!」
俺は先に行こうとする、男性の目の前に回り込む。すると、男性は不敵な笑みで笑って見せる。なんかムカつく……。
「君は本当に忙しいね。まぁ、こっちとしてもそれが一番なのかな? じゃあ、仲直りのクエストと行こうか、《ログアウト》のリョウくん」
「なんだ、普通に言えるじゃん。それで、あんたは何者だ?」
俺の言葉を聞いて、男性は失望に似た深いため息をついた。なんか、バカにされている気分だ。それに、隣で笑いを必死でこらえてるカノンがすごいイラつのだが……。殴っていいか?ねぇ、殴っていいよね?
俺は拳を振りかぶって、カノンに殴り掛かる。まぁ、男女平等パンチだ。不意打ちだし、回避も不可能―――――あれ?なんで、あの男は即座にカノンから離れてるんだ?
「来んな、変態!!」
気が付いたときには、俺は腹部に鈍い痛みを覚えていた。それが、カノンの持つ杖で殴られたことだと気が付くのに数秒の時間を要した。
やはり、ギルド長は強い。侮れないはこれ……。
しかも、なんか俺を殴った杖にすべての状態異常を回復する《パナシーアボトル》を使いやがった。その上に呪いを解除する《清めの聖水》まで……。やめて、もう俺のライフは0よ……。
そして、相変わらず男性は苦笑いしながらこちらの方を見ている。
「ははは、彼女を舐めない方が良いよ? あぁ、それと申し遅れたけど、オレは《蒼い鳥》のギルド長を務めてる、リュージだ。まぁ、よろしくな」
だが、握手のための手は差し出さない。
これ、何のいじめ?
いじめ、ダメぜったい!
とりあえず、俺はパーティ参加申請を済ませて、3人で移動を開始した。行先は《始まりの街》だ。ちなみに時刻はまだ6時ぐらい。
◆◇◆◇◆◇
と、言うことで、俺たち3人は妙に距離感が違う感じで歩きながら、始まりの街のある喫茶店に入る。そこの中には朝ということで客が一人しかいない。それが、待ち合わせの客ということなのだが、俺はその人物に見覚えがあった。
そう、《センブルクの風》の外交官であるレイカだ。まぁ、昨日もあったので忘れるわけがない。
「やぁ、話は聞いているよ。3次転クエだろ? えっと、その最後だけでいいのか?」
「えぇ、それでいいです。うちのリーダーもそこまでねだらんで?」
「そうだな。マジであれは地獄だった……。さすがに3日で二人、さらに連続かつ2日でもう一人はきつかった……」
「そうですね。私も苦労しましたよ……」
「そうやなぁ……。ざっと、1週間ってところかなぁ……うちは」
なんだ?何の会話をしているんだ?多分、3次職の転生クエなのだろうが、なんで、みんなそんなに意気消沈した顔をしているんだ。
「あぁ、そう言えばリョウはんは知らないかったん?」
「はい、そんなに大変なんですか?」
「大変てもんじゃねぇよ……。どんだけアイテム集めんだよ……。しかも、最後はガチデ強いモンスターときたもんだ。さらに、職業ごとでボスも違うしよぉ……」
3人の顔から、どれだけ大変なのかはなんとなく察した。レイカさんでこの最後のボスを攻略するクエストまで来るのに1週間以上の時間を有したのだ。自分のことにして考えると身が震えるぜ……。
3次転職者が軒並み低い理由もうなずける。多分、40レべに達してもクエストに阻まれて転職できないのだろう。
3人が同時にため息をついたところで再び話が戻る。
「で、ボス情報は?」
「ありませんなぁ……」
「「ですよねー」」
カノンとリュージの声が見事に被った。仲の睦まじいこと……。あぁ、憎たらしい。
数秒の沈黙の後、俺は咳払いして、会話を再開させる。
「そう言えば、会話からするに、二人は3次職なんですよね。何の職なのですか?」
「んー。俺は《阿修羅》だな。グラディエーターの上位職だ」
グラディエーターは戦士から派生する2次職の一つで、その根本は無刀流、すなわち素手で戦うことである。おそらく、これ以外にも派生するのだろう。ヴァルヴァディアの3次職である《狂戦士》なんかも戦士の派生であるウォーリアーの上位職の一種だ。
「私は《奏者》。まぁ、プリーストとアーティストの複合上位職です」
うわ、難しいものがきたなぁ……。複合上位職はどちらかが欠けていても成立しないという至難の職業だ。おそらくカノンは15レベでアーティストに再転職し、さらに20レべで、再び僧侶になり、そして二次転職した、ということになる。何とも複雑ですこと……。
それにしても《奏者》か。なんかピンとこないな……。どんな職なのだろう。まぁ、阿修羅はあれだろうな。○鬼みたいなあれなんだろうな。なんとなく察しがつく。
その後、俺たちは取りあえず作戦会議など、様々なことをして出発した。ボス情報は相変わらずわからず仕舞いだ。
リュージに関してはヴァルヴァディアに何らかの貸があるようだが、それを探るまでの気は起きない。
◆◇◆◇◆◇
とりあえず、到着したのが《女教皇》のダンジョンである《マグダラ神殿》だ。ここは、前に来たことがあるし、記憶も確かだ。
俺たちはレイカさんの案内について行き、とりあえず、広い神殿内を右に、右に進む。すると、レイカさんが道の途中の柱の前で立ち止まった。
そして、あろうことか、その柱の中へ―――――えっ!? 柱の中に入るんですか?それは9と4分の三番線ですか?
どんだけ、3次転職クエストは鬼畜なんだよ!ボスの間を探すのにも苦労するとかひどすぎだろ!
俺は心の中で愚痴を言いつつ、レイカさんが入っていった柱の中に入っていく。中に入ると、すぐに地下へと続く階段があった。
俺たちはそこをゆっくりと歩いて行く。茶色くかびたレンガがたいまつの光によって黄色く見え、少し不気味に感じさせる。
それに地下特有のじめじめとした空気が肌にまとわりついて気持ち悪い。
特にモンスターと出くわさずに数分まっすぐ歩くと、大きな扉の前に出た。扉の前は安全地帯らしく、モンスターがポップしない。と、言うことはここがそのボスの間ということになるな。
レイカさんは全員にアイコンタクトをとると、扉を開けて中に入っていった。
俺たちが中に入ると、自動で大きな木の扉が閉まり、それと同時に紫色の光が周りに灯り、ボスの姿を露わにする。
ボスの姿は大きな巨人で、体中に細やかな傷があった。いや、あれは傷というよりもまぶたなのかもしれない。
そう思った時に、巨人の目が一斉に開き、こちらの方を見てくる。その光景はとても現実のものとは思えず、見ているだけで意味不明な嫌悪感や悪寒が駆け巡る。体中の汗が噴きだし、目の前の者から逃げろと警告しているようにも感じられる。あれを一言でいえば気持ち悪いだが、そんなちんけな言葉で片付けていいのかと悩んでしまうほど目の前の生物は不気味だった。
「その光景を見たあなたは1D20のSANチェックです」
「いや、違うから! これ、そういうゲームじゃねぇから!」
俺は渾身のツッコミをするが、リュージの耳には届かない。こいつは狂気に陥っているのか?
「10だ。じゃあ、運命のアイディアロール行ってみようか……。ちっ、失敗か。じゃあ、発狂は無しってことで」
「話を聞けよ!」
かなり、落ち着いている3人に対し、俺は少し怒り気味? あれ、俺、リアルで発狂してない?気のせいだよな。これ、そんなゲームじゃないし……。
というわけで、奴の名前はアルゴス。手には何も持っていないが、本当に気持ち悪い。体の至る所に目玉が付いてやがる。
『愚か者が……。我に挑むか……』
「来ます!」
カノンの声を合図に戦闘が始まる。最初は相手のターンからだ。相手は一番レベルの低い俺を見定めて、殴りかかってくる。
俺は敏捷を生かして何とか回避するが、喰らえばHPをかなり持って行かれること間違いなしだ。さて、相手が隙だらけだが、どうする? まぁ、ふんどしになるわけにもいかないので、とりあえず攻撃。
俺は手に持った《海楼》で相手の手首を斬りつける。
しかし――――――
俺の剣はまったく通らず、見事に弾かれる。どうなってるんだ?切れ味が足りないわけではなさそうだし……。とりあえず、相手のHPを確認しよう……ってあれ?9997?数字っておかしくない?
俺の隣を急にリュージが通りすぎて、アルゴスの手に付いた目玉を連続で殴りつけて3つほど潰す。すると、アルゴスのHPが9994になる。
なんとなく、わかったような気がした。とりあえずこれは正気度が持ってかれますわ……。目玉を潰すたびにHPが減るとかやめてくれよ……。
まぁ、これも弓使い用のクエストと考えると妥当なのかもしれないが……。
リュージは目にもとまらぬ速さで相手の暴れるような攻撃をかいくぐりながら、的確に目玉を潰していく。さすがは3次職と言ったところだろう。レイカは俺らの届かない場所をゆっくりと射て、破壊している。だが、カノンはどうだ?大口をたたいていた割に俺よりも減らす速度が明らかに遅い……。
これは……勝った!
と、そう思ったその瞬間――――――
カノンが急に立ち止まって、目をつぶって、胸に両手をあてた。まさか―――――
「Mein Lied kann gehört warden,Notexyungu.」
うおっ!まぶしい!一瞬で衣服がはじけ飛んだのは見えたのだが、まぶしくてその先が見えない。これは何の罠だ!
気が付くと、カノンの服装は変わっていた。スーツに似た桃色の服装をして、アームの部分には太いリング状のものが付けられている。そして、ブーツも同様に変化し、頭にはヘッドホンに似たものが付けられている。
何よりも印象的なのが……歌だ。彼女は唱っているのだ。その勇気があふれるような歌声に誰もが元気づけられる。
《奏者》の固有スキルの《着装》はいたって単純だ。その名の通り、何らかのものを着装して、身体を強化する。だが、解除は自分の意志で出なければ無理である。その上、この能力を使用しているときはプリーストのスキルを一切使えない。その代わり、自分自身のMATKが全てATKに加算される。そして、STRやAGI、DEFが上昇し、《奏者》特有のスキルが使用可能となるのだ。諸刃の剣だが、それなりの強さはある。
カノンは、地面を蹴り飛ばして、疾駆する。途中で、自分の拳の所にあるリング状のものを一気に引き上げる。それと同時に巨人アルゴスの拳がカノンを捉える。
けれども、カノンは避けることをせず、正面から向かい合った。
強烈なライトエフェクトとともに、カノンの拳とアルゴスの拳が交差する。
すると、アルゴスの拳の方が、弾き飛ばされ、その巨体がわずかによろける。なんていうバカ力だろうか……。アルゴスの拳を弾き飛ばしたカノンの拳のリング状のものはいつの間にか元に戻っており、そこから白い蒸気のようなものを排出する。
えっと……。勝ったなんて、言ってすみませんでした。この師匠あれば、この弟子もありなのね……。
さて、その師匠の方だが、アルゴスがよろけたのを見て……と、言うよりも、それを予見していたのか、自分にありとあらゆるバフをつけている。そのためのMP消費はかなりのものだ。
ステータスの欄の状態のところがすごいことになっております。
リュージはそのまま疾走して大きく跳躍する。そして、よろけているアルゴスの腹部を勢いよく殴りつけた。
すると、爆風に似た衝撃波がエフェクトとして発生し、腹部を中心に目玉が次々と潰される。
その瞬間、何故、この人の2つ名がアレなのかをなんとなく理解した。
スキルの多重がけによるMPの消費から言ってそれは本当に一撃のみに全てをかけたもの……。このアルゴスが本来のHPを持っていたならば本当にかわいそうなことになっていただろう。
闘いはその数の割に1、2時間ほどで決着が付いた。最後はきちんとレイカさんが射抜いて終わった。精神疲労はさることながら、何というか、開いた口がふさがらなかった。
これが上位のものなのだと改めて感じる時間だったと思う。
すべての目を潰したアルゴスは羊皮紙を残して消えていった。おそらく、これでクエストクリアなのだろう。
◆◇◆◇◆◇
俺たちが始まりの街に戻ってきたころには10時ぐらいになっていた。早く帰らなければ、夜桜とかに怒られそうだ。
俺は街に着くなり、そうそうにパーティを脱退して、イシスに戻る。だからその後のことは知らない。レイカが何の職に就いたのか知る由もないわけだ。
さて、俺のレベルは今回のクエストで36になったわけだが、あれらの闘いを見ていたら3次職が待ちどうしくなった。まぁ、それよりも前にギルドの方を何とかしなければならない。多分、《蒼い鳥》との関係は表面上の回復だろう。まぁ、周辺諸国のようなものだ。
まずは、ギルドのために何をするべきか……。少し高揚感が出てきた。
それにつられて鼻歌が出てくる……。
「うわ! 何あれ! キモ!」
お姉さん、そこの声聞こえてるから!やめて!本当に傷つくから!
俺は心に傷を負いながら何とか《イシス》のギルドの家までたどり着いた。
はい。今回はこれで終わりですね。時系列的にはわずかに時間が進んだだけというなんという、親切設計!一葉楓さん。私に解読できなかったあの暗号を解読してください。私には無理です。
今回、他にあるかな? あっ!一つだけ。本当はリュージが殴るとき、「撃滅の~」とか、やりたかったのですが、さすがにそこまでやりたい放題一話でやるのはと、思いまして止めました。まぁ、アー〇ド〇アは出してるのですがね。ちなみに、戦闘中のBGMはもちろん『正義を信じて、握りしめて』だよ。
長くなりました。それでは今回はこの辺でノシ




