そんな装備で大丈夫か?
今回は奈良都翼が書かせていただきます
「やぁ、元気にしてた?」
「おかげさまでね」
軽いユーモアを挟んだ挨拶に対し、微笑んではいるが目がちっとも笑ってない。
「オッコッテル?」
「ぜんぜん」
「ビャアゾゴバジバナビ」
自称怒ってないらしい夜桜の無駄な脂肪ひとつない美しい足に頭を押され、俺は水中へと追いやられた。
「ねえ良、言うことあるんじゃない?」
「ゴベンバザイ」
「聞こえない、さっさと水中から出てきたらどうかしら?」
「ベッド、ダッダラゾボバジボボゲテグダザイ」
「え、何? 聞こえないんだけど」
先ほどよりも力を込められ、俺の体はより水中へと沈んでいく。空気メーターが見る見る間になくなっていく。
「ねえ人の話聞いてるの、早く水中から出てきてよ」
「ギョザグラザン、ボウグウギゲージガ」
「約束も守れなくて人の話も聞けないなんて、とんだクソ虫ね」
空気ゲージはそこを尽きHPゲージが減っていく。先ほどの潜水でもう半分をきっているためこちらもすぐにそこが尽きるだろう。
「ゴ……ヴェ……」
空気ゲージがなくなったたせいだろうか、声すら出なくなった。
「そんなクソ虫、死ぬべきよ」
そしてゆっくりと残りのHPはなくなり、目の前にゲームオーバーと表示が浮かぶ。
「あら元気?」
悪魔は目の前にいた。
「おかげさまで」
潜水前に一旦ログアウトした事が裏目に出た、リスボン地点は夜桜の船の真横。
「それで、今度はまともに話せるのかしら?」
「ブギビダイダ」
ああやっばり今回もだめだったよ、あいつは話を聞かないからな。
「人の精神てどれくらいで崩壊するのかしら?」
むしろお前の精神が崩壊しているとは口に出すことはできなかった。
「ふふ、良は私の傍にいなきゃだめなの、他の女と一緒にいるリョウなんてリョウじゃないわ」
「ばばっ……」
ヤンデレな従妹に愛されて夜も眠れないらしい。空気ゲージが見る見るうちに減っていく。断末魔の一瞬! 俺の精神内に潜む爆発力がとんでもない冒険を生んだ! 普通の人間はおいつめられ、息が苦しくなれば水面に出ようとばかり考えるだが俺は違った! 逆に!
「! なんだこいつゥ!?」
俺はなんとさらに!
「ま……まさか!」
海底へ潜った! なに良? ヤンデレな従妹が離してくれない? 良、それは無理矢理引き離そうとするからだよ。逆に考えるんだ「(命を)あげちゃってもいいさ」と考えるんだ。
「俺はそんなのやだ!」
夜桜も追って海に飛び込んでくる、チャンスは一度きり。
「ぐっつ」
空気ゲージが切れる。でもいまさら引き返すわけには行かない。
「届けぇぇぇぇえッ!」
HPゲージが消え去る刹那、俺は例の地点へとたどり着いた。そこで現れる3つの選択肢、俺は迷いなく一番上を押した。
――― クエストを開始します ―――
目を開けるのが怖かった、天国か地獄かその事実を突きつけられるようで。
「ここは……?」
きらびやかな水のベールに包まれた世界、その中には空気があった。そして後ろを見ても悪魔はいなかった。
「天国だ」
すると目の前には美しい鱗をまとう人魚のNPCが現れた。顔もかわいらしく見ているだけで癒される。
「こんにちは」
「……シャァァァァッ!」
突如NPC口が裂け、牙を光らせ、目は血走り、つめが伸びる。その悪魔のような容姿の怪物は俺に向かって襲い掛かってきた。
「はは、悪い冗談だぜ」
腰から剣を抜く、どうやらどっちの道も地獄行きだったようだ。
さてどうだったでしょうか?
うまく切り抜けたと思ったら
その先もまた困難
そんなことがあるのも人生です
さて雷菜さん、そんな装備で大丈夫か?




