「お、お代官様、かんにんを」「よいではないか、よいではないか」「あ~れ~」なんて妄想をする話
今回は最近いろいろおかしい奈良都翼です
「急がないとな……」
路地裏から飛び出し急いで待ち合わせ場所へと向かう。ボス攻略を果たし町のいたるところでプレーヤー同士による宴会が開かれている。
「お兄さん、お兄さんってば」
突然誰かに呼び止められ振り返る、そこには女性の姿があった。女性は暗闇に星をちりばめたような瞳でこちらを見つめている。視線はやわらかく、物腰が柔らかそうに見える。顔立ちはきれいで、背も高く良自身とほとんど変わらない、肌は白く足もすらりと長いまるでモデルのようだ。髪型は黒のロングの髪を後ろで一箇所に束ねている、いわゆるポニーテールという髪型だ。数秒の間その容姿に視線を奪われた。
「あんさんがリョウはんやろ?」
関西のほうの方言だろうか? 若干違和感を覚えた。
「ああ、そうだが……」
「少し話をしたいんやけど、ええか?」
「すまないが急いでるんだ、また今度」
美人さんとの会話と夏輝の機嫌を天秤にかけるが、どう考えても答えはひとつしかない。今は待ち合わせ場所に急ぐしかない。駆け足でその場を去る。女性の姿が見えなくなるほど来て後悔はようやく消えた。
「……せわしない人やな」
「……いないか」
時間はすでに40分を超えていた。辺りを見回すがどこにも夜桜の姿はなかった。
「怒ってどこか行っちまったのかな?」
フレンド登録をしていればあいて場所を確認できることを思い出しスタート画面を開く、目の前に現れるスタート画面からフレンド一覧を選択し、夜桜の名前を探す……がどこにもなかった。
「……なんだよこれ」
何度確認しても俺のフレンド一覧に夜桜の二文字はない、あわててメッセージ画面を開くと二通のメールが届いていた。恐る恐るそれを開くと俺の悪い予感がすべて外れてはいてくれないことを理解した。
「……嘘だろ」
一通はフレンド登録が取り消されたと言うものだ、そしてもう一つは夏輝の怒りを詰込んだ文だった。
『時間も守れない人とパティーなんて組んでいられません、縁があればまたどこか出会いましょう』
「マジかよ」
思い返してみるとこれが初めてではない、こうして待ち合わせの時間に遅れることはしばしばあった。怒りが頂点に達したとすれば話がつく。
「リョウはん」
「ん、あぁさっきの……」
そういえば名前も聞かずに分かれたことを思い出した。
「自己紹介がまややったね、うちレイカいいます」
「こりゃどうも」
いつもなら喜んで会話しているところだろうが、今はそんな気分ではなかった。
「用は済んだん?」
「悪いけど、ややこしくなってしまってね、まだ終わってない」
そういってその場を離れようとしたとき、急に手をつかまれた。
「ちょっとまって」
「なんだよ」
「うち、あんさんの秘密を知ってます」
その言葉に俺の思考は完全に停止した。
「今なんて?」
「あんさんの秘密を知ってる、って言ったんや」
できれば聞き間違えであってほしかった。
「詳しく聞こうか」
「こんなとこではなんや、場所を移しましょか」
近くの喫茶店に入ることにした。レイカは目の前でお茶を飲んでいる、そうしているだけで絵になるのは彼女の容姿が故だろう。
「リョウはんはなにも頼まんの?」
「生憎そんな気分ではないんでな、それでさっきの話の続きだが、その秘密どこで知ったんだ?」
「それは言えんなぁ」
グラスの中で氷を躍らせながら、そんなあいまいな答えを返すレイカ。
「そんで、どないしてそんなことできんの?」
「俺もわからん、スタート画面にログアウトボタンがあって押したらログアウトできたそれだけだ」
レイカの手からグラスが滑り落ち、目を大きく見開き、その表情はまるで凍りついたように動かない。やがてグラスは地面に落ちポリゴン状になり消える。
「どうかしたのか?」
「……まさか適当に言っただけなんやけどな」
そこまで聞いて俺は自身の過ちに気づいた。
「……もしかして知らなかったの?」
「あ、いや……かんにんな」
しゅんと黙って俯き申し訳なさそうにこちらを見上げるレイカ。
「……さてどうしたものか」
「殺さんといて、何でもするさかい」
別にそんなつもりで言ったわけではないのだが、何でもすると言われたら……。
「じゃあ……」
「えっちなのはだめやで?」
「……チッ」
デジャブを感じるのは気のせいだろうか? まあいい、それよりどうするべきだろうか、このことを他人に言いふらされても困る。かといってプレーヤーキルはご法度だ。いい解決法を考えなくては……。
「はあ、それでさっきまで言ってた秘密ってのは何なんだ?」
「それは、……良はんああでもいわな話してくれへんと思って」
完全に手玉に取られた。ちょうどよさそうなテーブルがあったので俺の頭の強度と勝負してみた。
「どないしたん」
「へへっ、今日のところは見逃してる」
ひりひりする頭の痛みを我慢しながらそうつぶやく、まったく俺はなにがしたいんだよ。
「あぁ、なんだ……それで話をしたかった理由でもあるんだろ?」
「そのなぁ……うち、めちゃ弱いんや」
「それがどう繋がるんだ?」
レイカはもじもじとまた話を始める。
「そんでうち強うなろうと思っていろいろやってみたんやけど、なかなかうまくいかなくてな」
「……」
「そんな時リョウはんの噂を聞いたんや、ギルドにも入ってへんのにボスを倒したって聞いて」
確かにあの時俺の名前はプレーヤーに告知された。
「うちわらをもすがる気持ちであんさんを探したんや、強さの秘訣教えてもらおうと思ってな」
身を小さくして震えているレイカ、なんだかこちが悪いことをしたみたいだ。
「まあなんだ、別に俺が強いわけじゃない、運がよかっただけだ」
「うちどないしたら……」
上目遣いでこちらを見るレイカ、くそっ可愛いぞ、このやろう。
「まぁなんだ、強くなるの手伝ってやるよ」
「ほんまか! おおきに」
机に身を乗り出し目を輝かせるレイカ。
「その代わりさっきのことは……いいな?」
「わかっとるって」
そう言ってフレンド申請を送ってくる。申請を承認しステータスを見る。レベルは8確かに弱い、スリーサイズは……チッ書いてない、なんだこのクソゲー。
「さて、ひとまずレベルを上げるか」
そういって店を後にする。ひとまずクエストでも受けるとしよう。
「さて良はそろそろ反省したかしら」
夜桜は頼んだ紅茶を飲み終えその場を後にしようとした。そんな時目に飛び込んできたのは……。
「どうやら反省してないみたいね」
そんな事を良はまだ知らなかった。
妄想関西弁で新キャラを書いてみました
間違ってたら、かんにんな^^;
ってことで雷那さんよろしく




