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ろぐ☆あうと  作者: 奈良都翼
魔術師&恋人たち
17/64

あなたには何が見えますか?

こんにちは。再びめぐってきました霧々雷那です。

なんだか、ひさしぶりに書いた気がする……

それにしても今回長いなー……あっ! 俺が書いたのか。

失敬、失敬……

余談はこの辺にしてそろそろ本編の方をどうぞ

 始まりの街にプレイヤーによって設置されたボス攻略ギルド本部内は俺よりも何レべか上そうな連中がうようよいた。

 民族風のテントの中は外装以上に広い。しかし、布地が白で涼しいように感じられるはずなのだが、人数が人数なためにかなり蒸し暑い……

 そんなギルドの作戦本部のテントの真ん中には当然のごとく大きなテーブルとボスのステージのマップが事細かに描かれている。

 テントの前にどこかの刑事ドラマにでも出てきそうな看板が立てられていたことは見なかったことにしよう。何故見なかったことにするって? そりゃ、やっぱり見ないで堂々と入った方がデカに見えるだろ?

 中を入り口のところから見渡すと、見知った顔がチラホラいる。ギルド《クルセーダーズ》はもちろんのこと、大文字、リリア、それに響も見えた。


 「うわー……いっぱいいるねー」


 夜桜は足りない身長を補うように爪先立ちと背伸びをしながら中を一瞥する。


 「当たり前だろ……ボス攻略戦だぞ?」


 「それもそうだね」


 夜桜は姿勢を元に戻し、こちらの方を向いてきた。それと同時にボス攻略ギルド本部を取り仕切る数人のうち一人がこちらの方に歩いてきた。


 「あなたたちも参加するのですか?」


 「あー、うん」


 俺は自身の無いような返事をしたが、戦闘によって攻略法はすでに編み出してある。あまり目立ちたくはないが今は致し方ない。


 「そうですか。なら、中で待っていてください。もうすぐ始まりますから……あと、これを始まる前までに読んでいてください」


 係員の指示通り、俺たちは中に入った。渡されたものは一枚の紙切れ……

 なんだこれ?

 俺は戸惑いながらもその紙を読み始めた。内容はボス攻略についての指針と二つのボスの特徴が事細かに書かれている。その情報量はわざわざ俺が調べたものの数倍に匹敵する。

 あれ? 俺が死んだ意味は?


 「リョウがイッた意味なかったね」


 「まったく、骨折り損だ」


 実際のところそうではないのだが、また遠回しに死ねとか言われても困るのでここで手をうっておくことにしよう。しかし、俺の言葉に対して、夜桜は完全スルーに入った……

 おいおい……せめて謝ろうぜ? こいつは俺が死ぬことをどうとも思っていないのか?

 ことの真相は分からないが、これで『死ね』とか言われる心配はなくなっただろう……たぶん。

 

 


 数分後……


 係員の言った通り本当に会議が始まった。会議を指揮っているのは全身を強そうな鎧でかためた風格のある人物だった。引き締まった顎とゲームならではの赤髪、それに額に巻いた長いバンダナはよりいっそうその男性を強く見せた。歳はおそらく30か40だろう。ショートに切りそろえられた赤髪から時折覗かせる鋭い視線は全てを凍りつかせそうだ。


 「それではこれより、対魔術師、恋人の攻略作戦を始める。私はギルド《センブルグの風》の団長を務めているヴァルヴァディアだ」


 センブルクってたしか、皇帝のダンジョン目の前にある都だっけ? 一度は行ってみたいな……あぁ! いかん、いかん! 今は大切な時だった!

 ヴァルヴァディアは俺の思考を無視して話を続ける。


 「敵の数はおおよそ100。これを全て倒さなければならない。何か案はないか?」


 「はい!」


 即座に俺の正反対の方から手が上がる。すると、手が上がった人を通すように周りの人がどけて道を作った。


 「言ってみたまえ……」


 ヴァルヴァディアの上から目線は一見するとムカつくような動作に見えそうだが、おそらくわざとそうしているのだろう。みんなをまとめるため……今は即席でも指導者が必要だった。前に出てきたのは気弱そうな男性だった。軽装な防具と腰にさげている剣からしておそらく職は剣士の上位職であるソードマスターだろう。


 「はい。ボクは狙いを魔術師に絞ればいいと思います。恋人を牽制しつつ、魔術師を撃破、その後一時撤退し、今度は恋人を倒す。これが最善だと思います」


 周りから納得の声やら声援の声が聞こえてくる。しかし、ヴァルヴァディアは平然とした態度を貫いていた。


 「ありがとう。だが、君の作戦は承諾しかねる」


 「なぜですか! これだけの人数を考えるとこの作戦が妥当なはずです!」


 青年の反論とともにテント内でどよめきの声が起こった。まぁ、あれだけ指示されていたならば当然のことだ。かくいう俺もその作戦を思いついて多少押していた。でも、何でそんな作戦をあいつは否定したんだ?


 「簡単だよ。君はもう一度配った紙を見たまえ……もう、さがっていいぞ」


 俺は即座に配られた紙を見る。一見すると意味が不明だったがすべてに目を通したとき、この男の言っている意味がすぐに理解できた。


 「わけがわかりませんよ!」


 怒り狂う男性にヴァルヴァディアは表情を一つ変えないまま口を開いた。


 「わからないのなら口で言おう。我々はこの作戦において死者を一人も出さないことを指針にしている。貴殿の作戦は確かに確実性が高い。しかし、安全面ではどうだ? もし、簡単だと思われていた魔術師に奥の手があったらどうする?」


「くそ! やってられるか!」


 男性はふてくされて、早足でテントを去っていった。そんな光景を見た俺は一つだけ疑問がよぎった。俺はその真相を探るために先ほどの男性のように手を挙げる。


 「そこの剣士。なにかあるのかね?」


 すると、すぐに俺のことを呼んでくれた。俺はそれに応えるように前に出る。俺がききたいことはただ一つだ。


 「えっと……ヴァルヴァディアさんでしたっけ? あなた……もう、作戦を思いついてるんじゃないですか?」


 俺がこの質問をすると、ヴァルヴァディアの口元が少々緩んだような気がした。


 「面白いことを聞いてくるね。君、名前は?」


 「リョウ……所属はない」


 ヴァルヴァディアは営業スマイルとでも言うぐらいの笑みを浮かべる。俺にはその笑みが逆に恐怖に感じられた。


 「そうか……じゃあ、リョウくん。君の質問に答えよう。率直に言うと、答えはYESだ」


 再びテント内でどよめきが起こる。俺だって頭がこんがらがりそうだ。なんでこいつは作戦を思いついているのにわざわざそれを隠してたんだ……

 その答えは当人の口からすぐさま教えられた。


 「でも、先にみんなの意見を聞かないと、おそらく君たちは何も案を挙げなかっただろう?」


 ヴァルヴァディアは放心する一同を見渡した。そして、再び喋り始める。


 「さて、タネも割れたところでそろそろ作戦の主旨について説明しようじゃないか……」


 そう言ってヴァルヴァディアは作戦についての説明を長々と語り始めた……



 ◆◇◆◇◆◇



 俺たちは勢揃いで魔術師の館の最奥の扉の前にいた。

 目的はもちろんボス攻略だ。今回、ヴァルヴァディアがたてた作戦は俺も納得した。だが、まさか先に《恋人たち》を倒しにかかるとは……

 

 「よし! 全員そろったな。じゃあ、これよりWボス攻略戦を開始する!」


 ヴァルヴァディアの掛け声とともに全員が一斉にボスのステージへとなだれ込む。すると、俺が入ってきた扉が突然閉じた。その瞬間、《恋人たち》の気持ち悪い人形すべてが頭だけをこちらへ向けた。


 一瞬の沈黙……


 直後、大量の《恋人たち》が一斉にこちらの方へ猛ダッシュしてくる。それを見たヴァルヴァディアはウォーリアーにふさわしい両刃の大斧を前に地面に突き立て、指示を飛ばす。


 「守備部隊! 第一波、守備用意!」


 その声とともに二十人程度の盾や大剣などを持った者たちが前に出て壁をつくりあげる。《恋人たち》の攻撃に少々後ろに戻されながらも、守備部隊は《恋人たち》の初撃防いで見せた。それを確認したヴァルヴァディアはさらに指示を飛ばす。


 「守備部隊、円形に広がり攻撃せよ! 魔法部隊詠唱用意! 補助部隊! 魔法第一波に備えよ!」


 ヴァルヴァディアの指示は的確で本当に相手の攻撃を全て防いでいた。ちなみに俺は遊撃部隊……つまり、突破されたところの補充や、中に入ってきたモンスターの掃討などを引き受ける。夜桜はもちろん補助部隊だった。


 魔法部隊は全体魔法をわざと遠くに放つことによって、自軍への被害を全く出していない。今、俺たちはパーティ人数上限の関係でパーティではない人が大量にいる。つまり、出した魔法の被害を出す危険性をはらんでいるということだ。

 しかし、魔法を遠くに放ち、衝撃波などは全て相手が受けるという戦法をとっているため、今はその心配はいらない。

 魔法部隊は目の前に透明な壁のようなものを出す魔法であるバリアーを大量に展開し、きちんと攻撃を防いで見せた。

 どうやら、このボスは無事に終わりそうだ……


 刹那――――――



 守備部隊の一角が突然吹き飛ばされた。一人は壁で叩きつけられ、一人は高く打ち上げられた。どちらも防御が高かったためかHPバーをイエローゾーンに突入するところで止められた。

 これに動揺したのはヴァルヴァディアだった。

 いや、それだけではない。この場にいるすべての人物が動揺したに違いない。

 理由は単純。


 《恋人たち》にそこまでの力がないからだ。たとえ、軽装の俺を吹き飛ばせても重装の人達を数人も吹き飛ばすのは明らかにおかしいからだ。

 俺は瞬時に見渡して原因をさぐった……が、理由が見当たらない。

 その間にも、《恋人たち》は今か今かと迫り続けている。


 「くっそ!」


 俺は歯噛みしながら開いた穴を塞ぎに入る。俺の他にも数人がそこに入っていった。ヴァルヴァディアも即座に指示を飛ばす。


 「円形を縮小して隊形を保て!」


 その指示通り、隊形を小さくして復活を待つ。しかし、元々防御力が低い者たちにとって、そこを埋めるのには少々難を極めた。


 「クソ! だからボクは先に魔術師を討つべきだと考えたんだ!」


 よく見ると、作戦会議の時、最初に挙手した男性剣士だった。男性剣士はイヤイヤながらも剣さばきで何とか攻撃を防いでいた。しかし、防御力の低い者たちはガードしてもダメージがいくらか通ってしまう。したがって俺の体力じりじりと削れていった。

 そして十数秒も経たず、俺の体力は五割を切る。正直、大量の攻撃をこんな幅の狭い片手剣で防げという方が無理だ。避けながら戦うしかない。しかし、左右の幅がないこの戦い方では得意の機動力が出せず、何度も攻撃を掠ってしまう。これが俺の体力が減少している理由だ。

 吹き飛ばされた奴の復活はまだか……



 刹那――――――



 俺の隣に立っていたあのソードマスターの男性の体が空中に高く上がった。防御に失敗したわけではない。けれども、突如として男性の体が宙に上がったのだ。

 

 「リョウ!」


 補助部隊である夜桜がこちらに駆け寄り即座にファイアーを放つ。灼熱の球は一人の恋人に当たり、一時的だが敵に侵入を防ぐことが出来た。ファイアーは何かを燃やすように少々の黒い煙を発生させた。そんな中、俺は一瞬だが何かを見た気がした……


 空高く打ち上げられた男性は地面に強く叩きつけられ残されていた少しの体力を完全に散らした。男性は光の欠片となって砕け散った。


 「うあぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 どこかから、絶叫が聞こえる始めると、それに連鎖してあちこちから悲鳴が聞こえだす。

 ヴァルヴァディアは声を張り上げてそれを抑え込もうとするもできなかった。それを味わったヴァルヴァディアは歯噛みしながらも我慢していた最後の指示を飛ばした。


 「総員! 脱出玉で撤退せよ!!」


 俺……いや、ここにいる全員はその指示ですぐさまアイテム欄を開き、用意していた脱出玉を……


 「うそ……だろ……」


 俺は思わず、声に出てしまう。周りを見渡すと、全員俺と同じような顔をしていて、誰一人ワープしようとしなかった。いや、できなかったのだ。

ここが脱出不可能なわけではない。もっとひどいものだ。


 なんせ、確実に用意していたはずの脱出玉が無いのだから……



 「いやだ! おれはまだしにたくない!」


 そんな絶望に似た絶叫があちこちから聞こえてきた。

 もはやこれまでかと考えた時、ただ一人だけ、この窮地に臆していない者がいた。


 「僕の歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええ!!!!」


 そう、ヒビキだった。こんな時に、ヒビキは声を張り上げて歌を歌い始めた。いや、こんな時だからこそ歌い始めたのかもしれない。

 その歌声に、俺は一瞬で我に返る。

 いや、俺だけではない。


 ここにいる全員がそれによって我を取り戻した。それと同時に《恋人たち》がこちらに襲い掛かってくる。


 「総員! 攻撃を防げ!」


 ヴァルヴァディアの指示が再び通るようになり、間一髪でさらなる被害を防いだ。俺たちはヒビキの歌声をバックに再び戦闘を開始する。逃げられないのなら、戦うしかない。


 本当にそうなのか?



 本当に逃げられないのか?



 ふと、そんな疑問が俺の頭をよぎった。

 謎の攻撃……

 用意していたはずなのに何故かない脱出玉……

 そして、何よりも一向に減る気配を見せない《恋人たち》……



 このフィールドは何かがおかしかった。



 刹那――――――


 再び防御部隊の一人が吹き飛ばされる。しかし、今度は補助部隊の魔法によってなんとか一命を取り留めた。俺はその人物が開いた隙間を埋めるようにそこに入り込む。

 体力はポーションで回復しているもののやはり、きついことには変わりない。


 瞬間――――――


 俺は何か嫌な予感を感じ、後ろに少し飛びのいた。


 ビュン――――


 そんな風を切るような音が俺の目の前を通過する。俺は背中に嫌な汗を感じた。いったい何が通過したのだろうか。目にはまったく見えていない。俺はその真相を確かめるために、すぐさま剣を振りかえす。


 しかし、剣は空しく空を切った。


 だが、ほんの一瞬だけだが、その正体が見えた。ぼやけてよく見えなかったが、大きさは目の前にいる《恋人たち》と同じぐらい……単なる幻想なのだろうか……


 俺は一度さがり、他のメンバーと交代する。そして、剣を鞘に納め、ゆっくりと目をつぶった。聞こえてくるのはヒビキの歌声……


 俺は瞬間的に目を開け、ヒビキの歌声を聴くことに集中した。すると、これまたほんの一瞬だが再びぼやけたシルエットが見えた。


 そのシルエットは……《恋人たち》そのものだ。


 俺は未だに動かない魔術師の方をみた。

 魔術師は未だに不気味に笑っている……


 「まさか―――――――――っ!!」


 俺はその事実にようやく気が付いた。

 いや、まさか……でも……


 イチかバチか……やってみる価値はありそうだ……


 「夜桜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 「なにっ!?」


 俺の叫び声に夜桜は即座に反応して、駆け寄ってくる。

 今、夜桜に説明している余裕はない。


 「お前、確か状態異常を直せたよな?」


 「直せるけど何?」


 「頼む! 俺に一回かけてくれ!」


 「なんで!?」


 「説明している時間は無いんだ!」


  夜桜は渋々、魔法を発動させた。


 「リカバー!!」


 光が俺の体を包み込む。リカバーは状態異常を回復する補助魔法だ。なんにも状態異常にかかっていないのなら何の意味もなさない。けれども、もしかかっているのならば……


 刹那――――――


 一瞬だけ、やつの真の姿が見えた。やはり、俺の予想通り、先ほどからの攻撃は《恋人たち》だった。でもなんで、すぐさま見えなくなった? その原因はなんだ?



 まさか!!



 「夏輝! 何度もわるい! ヴァルヴァディアに今すぐこう伝えてくれ。この空間(、、)には幻術がかかっているってな!」


 急いでいるあまり、本名を呼んでしまったのは俺のミスだが、この混戦状況では誰も聞いていないだろう……

 夜桜はすぐさまヴァルヴァディアのところに走って行ってくれた。


 それよりも何よりも問題なのは幻術がこの空間にかかっていることだ。おそらく既存のリカバーでは個人が限界……必要なのは全体の状態異常回復……

 だが、おそらくそこまでレベルが高いものはいないだろう……

 《魔術師》を倒そうと思っても相手に押されてどうしようもない……

 

 どうすれば……


 「リョウ!」


 頭を抱えて悩む俺に突然声をかけてくる人物がいた。夜桜ではない。だとすると、その人物は……リリアだ。


 「どうしたんだ?」


 「幻術ってホント?」


 「聞いてたのか……」


 俺はわざとらしく頭を掻く。そうでもしないと気がまぎれそうになかったからだ。


 「うん……わざとじゃないけど……」


 「まぁ、いいよ……結論から言うとホントだよ。推測でしかないけどね」


 「なら、わたし! なんとかできるかもしれない!」


 「ホントか!?」


 ちょっと待て。リリアの職業ってたしか召喚士だったような……いったい何をすると言うのだろうか……


 「うん。わたしの魔法の一つに確率召喚(フェノメノンサモン)っていうMPを全消費する魔法があるんだけどね。それで、運が良ければこの空間を何とかできるかもしれない……でも、これを使えるのは一日一回のみ……どうすればいい?」


 「これまたイチかバチか、か……」


 やってみる価値はある。だが、それで失敗すればもはや打つ手はなくなる。

 俺は……


 「わたしはやらないで後悔するより、やって後悔したい!」


 リリアは自らの気持ちを打ち明ける。それに対し、俺もいつまでも中途半端なままではいられない。《魔術師》と《恋人たち》のタロットの逆位置の意味の共通点……それはどちらも決断をしなければならないということだ。優柔不断ではいけない。前に進まなきゃいけないのだ。


 「よし! いっちょ、賭けてみますか!」


 「了解!」


リリアは俺から2、3歩さがり、本を取り出した。そして、その魔法の名前を唱える……


 「確率召喚(フェノメノンサモン)!!」


 その言葉とともにリリアの目の前の床に光り輝く魔方陣が展開する。魔方陣は爆発音とともに白煙を上げ、消滅した。

 失敗してしまったのだろうか……


 やがて白煙がなくなり、中から何者かが現れた。ある程度まとまっている黒髪でスポーツ系ともいえないが、ガリ勉系ともいえないような普通の人だった。けれども顔立ちはかなり整っている。格好は明らかにどこかへ出かけている最中の私服……おそらく、服装からして大学生だろう。


 「どこだ? ここ……」


 俺の希望は一瞬で潰えた。なんせ、出てきたのがごく普通の一般人なのだから……どうすることもできない……だが、ここであきらめるわけにはいかなかった。


 「なぁ、あんた。あんたは空間に張られた幻術を解けるか?」


 悩みぬいた末、召喚した人物の知識を借りることにした。三人寄れば文殊の知恵というやつだ。何とかなるかもしれないという淡い希望にすがるしかなかった。

 しかし、目の前に召喚された人物は悩むこともせず、即座に答えた。


 「それが一つのものであればできるけど?」


 曖昧な表現が一切ない、確信的な答え方だった。おそらくこの男性はこの空間を打ち破る何かしらのカギを持っている。そう、俺も確信できた。


 「できるのならその方法を教えてくれ!」


 「方法って言っても俺がやるから何とも言えないんだけど……」


 「はっ!?」


 俺は疑問の色を浮かべるしかなかった。目の前の人物が何を言っているのかわからない。それどころか自分の常識が通じていない気さえした。

 そんな俺に対しリリアは冷静だった。


 「なら、今すぐやってほしいんだけど……時間がないの……」


 「わかった。俺がここに召喚されたのもなんかの縁なんだろうな……」


 そう言うと目の前の男性は気迫と何らかの力を後ろに引いた拳に込め、それを叫びながら前に突き出した。


 「『神を穿つ牙(ギルティ・ファング)』――――――っ!!」


 直後、ガラスが砕け散るように空間が一度崩れ落ち、それとともに今まで戦っていたはずの大量の《恋人たち》が消えた。

 残っているのは一体の《恋人たち》と一体の《魔術師》のみ……

 その空間の中一人欠けた俺たちは確かにこの地面に足をつけて立っていた

はぁ……疲れた。よし! 寝よう!

えっ! まだ自分の小説が残ってるって! 勘弁してくださいよ……

はい、今書きます。すぐ書きます。ジェノサイド……


痛い……叩かれました。


次に書くのは一葉楓さんです。がんばってください。

それでは~ノシ


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