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ろぐ☆あうと  作者: 奈良都翼
魔術師&恋人たち
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いろいろと多いようだ

          

 森を抜け再び《魔術師》のダンジョンを見上げる。


「久しぶり、元気にしてた」


 たっぷりと皮肉を練りこんだ言葉を入り口で吐き捨て、扉を開く。今から死にに行くと思うと気が気ではない。


「お邪魔します、誰かいませんか~」


 外装だけならすでに二回見ているが、中に入るのは初めてだ。内装は中世の貴族の家と言うようなつくりをしている。どんよりとかび臭いような雰囲気を漂わせ、幽霊でも出そうな雰囲気を漂わせている。


「とりあえず……」


 ボスを見たと言うギルドメンバーの情報を元に地図に書き込みをしてもらい、それが指し示す赤丸を目指し歩き始めた。書いた人間の顔が浮かんでくるような丁寧な地図は、右も左も分からないほどの出来で、所々迷いながら歩くことになった。


「なんだこいつ」


 半分が男、もう半分が女といったような奇形の人形がのろのろと歩いている。ぼんやりと眺めていると目が合い、急に人形は加速をして近づいてくる。


「ッ!?」


 後ろにのけぞると先ほどまで俺の頭があった場所を、人形の腕から伸びる長刀が通過した。そのまま体勢を保てずに尻餅をつくと、もう片方の腕をたたきつけてくる。地面を押し一回転すると、その腕は頭があった場所を狙って振り落とされている。このことから察するにこの敵は確実に急所を突いてきている。


 体勢を立て直し腰から剣を引き抜き構える。すると先ほどとは打って変わり、人形はとたんに動きがなくなりぼんやりと立ちすくんでいる。 


「来ないんだったら、こっちからいくまでだ」


 地面を蹴り、人形の懐に入るそのまま脇に剣を叩きつける。じりじりと人形のHPが削れる、そのまま剣を振り抜き距離をとる。そのとき初めて気づいた。


「こいつが『恋人たち』か!?」


 これでそこらの雑魚敵とは逸脱した動きの説明はつく。しかし俺の一撃で削れたHPは敵の10分の一を占めている。ボスだと言うのに耐久があまりにもない。距離を置きながら観察をしていると手を広げ前へと突き出す《恋人たち》、直感が危険と騒いでいる。再び地面を蹴り、体勢を崩しながらも右へと飛ぶ。


「なッ!?」


 背中を爆風で押され。通常の飛距離の何倍も吹き飛ばされる。全身に鈍い痛みが走り大きくHPバーが削れる。直撃したなら間違えなく俺のHPは無くなっていた。


「魔法も使えるのかよ」


 おそらくファイヤー系統の呪文の上位変換だ。距離が離れている今、近づくのは得策ではない。そのタイミングで先ほどの攻撃を放たれたら避けるすべがない。


「だったら俺も魔法を使うまでだ」


 威力は数段劣るものの腰にかけられている本を手に取り、ファイヤーを放つ。避ける動作もなく立ちすくむ敵に炎の球は激突し、HPバーがじりじり削れ敵のHPは3分の2ほどになった。


「もう一発ッ」


 炎の球は螺旋を描き再び敵へと飛んでいく。すると先ほどのように立ちすくむわけではなく、始めに見せたすばやい動きで避け、そのままこちらへと近づいてくる。


「なるほど、そういうことか」


 剣に対して魔法、魔法に対して剣。それが敵の動きだ。そして俺が繰り出したのは魔法、つまりあの腕が俺の頭へとたたきつけられようとするわけだ。剣にしろ魔法にしろ俺より数段早く、高い力を持っている。正直見えないほどの早さだ、それでも狙う場所が分かっていれば防ぐのはたやすい。


「ぐぎぃッ!」


 振り下ろされた腕は予想通り頭へとその軌跡を描こうとしていた。そこに割って入った俺の剣がそれをギリギリで止める。


「さてこれなら次に何を出すのかな」


 左手で構えていた本のページをめくる。そしてその至近距離でファイヤーを放つ。はじけた火花が目の前を通過する。


「困惑中って所かい、でもねこっちとら容赦しないぜ」


 剣を振り抜き、腕を押し返すそして腹部へと切りつける。そしてゼロ距離で再び魔法を放つ。そのまま何度も右手で剣を踊らせ、左手で魔法を放つ。見る見るうちにHPが削れていき人形は光に変わった。


「相手が悪かったな」


 今だけは魔法剣士という職を選んだ自分にに感謝した。しかしどこかボスを倒したという実感を得ることはなかった。手ごたえがなさ過ぎる。


「ひとまず、《魔術師》の顔でも拝みにいくか」


 そんな違和感を感じながらも再び当初の目的である《魔術師》のいる場所を目指し歩く。解読が困難な地図を何とか読み取り、馬鹿でかい扉の前へとたどり着いた。


「さて、お邪魔しますよ」


 ギギッ、っと耳障りな音を立てて扉は開かれた。そしてその光景に俺は呆然とした。


「なるほど……、《恋人たち(・・)》ね……」


 おぞましい数の人形がこちらを見ながら歓迎してくれた。その奥にポツリと一人だけ《魔術師》がいる。心なしか笑っているようにも見えた。


「はは、相手が悪かった……な」


 その後軽くぼこられたことは言うまでもないだろう。




「どうだった」


 リスボン地点には夜桜がいた、アイスなんか食ってあがる。


「……多かった」


「多いって何が?」


「苦労がだ」


 一見突破不可能に思えるが、俺には勝機があった。それをあいつらに伝えるとしよう。俺はギルドの元へ向かった。


勝利の鍵は……なんだろう?

雷那さんごめんなさい


よろしかったらご感想ください^^


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