まったくもって悪夢です……
はい、最近忙しすぎる霧々雷那です。今回は話を一気に進めたかったので二次転までいかせちゃいましたいました。まえがきが長いのはウザいと思うのでそろそろ本編の方をどうぞ。
あれから三日ぐらい経っただろうか……俺たちはついに20レべに到達した。20レべと言えばあれだ。ついに二次転職ができるというわけだ。二次転職の場所は始まりの街周辺に散らばっている特定の人物のクエストをこなせばいいらしい。とはいうものの、実はすべての転職クエの目的は全て一緒になっているらしいが……
情報屋からの話によると、特定のNPCから声をかけられるらしい。とりあえず俺たちは街の中を散策することにしてみた。
夜桜の希望はプリーストらしいので、それらしい場所を散策してみる。例えば教会とか……
『もしもし、そこの御嬢さん……』
おっ! 神父から声をかけられたみたいだ。
夜桜は神父の元に行き、何やらクエスト絡みの話をしていた。しかし、数十秒後も経たないうちに俺の元に戻ってくる。
「どうした?」
「この神父からだと『ディーコン』なんだって……」
「そうか、じゃあ次に行くか……」
とりあえず次に移動……今回は俺の転職クエを兼ねて酒場へ……が、収穫なし。まぁ、当然の結果だ。なかなか、見つからないものだ。大体、始まりの町がやけに広いのが悪いんだ。妙に路地とかあって入り組んでるし……ん? まて……路地裏……
「すまん! ちょっと噴水のとこで待っててくれ!」
「えっ! ちょっとリョウ!」
俺は夜桜の制止を振り切って走り出す。目指すはそこら辺の路地裏だ。ソードマスターなんだから路地裏にいたっておかしくはないはずだ。まずはお近くの酒場の……
「はっ⁉」
俺は思わず声に出して驚いてしまった。酒場の裏手にいたのはゴミ箱に突っ込んだ人間……服は軽装で腰には何やら剣を携え、かつ本も吊るしてあった。
もしかしたら上位職のNPCかもしれないという淡い期待とスルーするべきだ、という考えがミキサーに入れた果実のように混ぜ合され、俺の頭を混乱させる。
ここは……
『>そっとしておこう』
俺はとりあえずスルーすることにした。こんなゴミ箱に顔から突っ込んでいるやつが上位職のNPCなわけがない。そう、俺は幻想を見ていたのだ。
俺は恐る恐るNPCの後ろを通り抜けようとする……が―――――
『ちょっとそこの御兄さん』
ゴミ箱に顔面ダイブしているので少しくぐもった声だ。まぁ、今の俺には関係ないが……
『体を引っ張ってくれないかな? もし、引っ張ってくれたら有益な情報を上げるよ?』
無視無視。こんな奴に付き合っている暇はない!
『いらないの? まぁ、君が要らないというならいいや……とっても有益なのになぁ……』
気になる……ごっつ気になるぅ……やばい、すごい気になるんですけど!
数秒後、NPCを救出している俺がいた。
『いやー。助かったよ。ところで君は魔法剣士に興味はないかい? 僕の見たところ君は魔法と剣士、両方に通じているみたいだね』
まぁ、再転職したしそりゃそうなんだが……俺の目的はソードマスターのため、今回は素直に断ろう。
『でも、あと一押し足りない。そこで、君に試練を与える。これをクリアしてきたら魔法剣士の極意を与えよう。どう?』
もちろん俺は断る一択だけどな……俺の目の前にはクエスト確認画面が出てくる。転職クエなので、相変わらずキャンセル不可だ。
俺はとりあえず次に現れる選択肢を待った。
そして……
『縺ゥ縺』『縺ィ縺縺』
「文字化けぇぇぇぇぇぇぇえ!?」
まじかよ! まじかよ! どうすんだよこれ! 文字数的に前の方が『はい』で後ろが『いいえ』か? いや、まて! もしかしたら前が『NO』後ろが『YES』かもしれない……考えるんだ……いや、考えるな、感じるんだ!
俺は意を決して前の文字をタッチ……結果はどうなったのだろうか……
『そうか! よかったぜ! じゃあ、頑張れよ!』
「こう答えるってことは……はぁ……」
俺は何度目かわからない深いため息を吐いた。
そう、結果はどうやら『はい』を押してしまったらしい……終った……俺の人生……いや、待てよ。ここまでの文字化けがあって何故、問題になっていないんだ?
運営がいないとはいえ、口コミで広がってもいいはずだ。でも、この情報はなかった。ということはつまり、魔法剣士というものは結構レアなのではないか?
以上のことをことを考えると、剣は魔法剣士でも使えるしいいのではないだろうか……うん。そうだ。キットコレデヨカッタンダー。
自分の中で強引に納得させる俺……
「とりあえず、夜桜のところに戻るか……」
俺は何か大切なものを失った路地裏を後にした……
◆◇◆◇
俺はとりあえず、そこらへんに置いてきた夜桜と再会することにした。場所は指定した通り噴水前……あれ? なんか見たことがあるような顔立ちが……
俺はその人物に近づいてみる。
「よっ!」
「んー? あぁ! リョウじゃん!」
そう、俺が再会したのはリリアだ。リリアの容姿はまだ幼さが残る顔立ちに薄紅色の目、身長は俺よりも低い。髪型はウェーブのかかったショートカットだ。
リリアは噴水のヘリに座り、パンを食べていた。格好は前に別れた時とは違い、今は何だか私服のような白を基調とした服を着ていた。
リリアは俺を見るなり、バターらしきものをたっぷりと塗ったパンを一気に食べ、立ち上がる。
「あれ? 今日はお連れ様いないの?」
「そういう、お前こそソロなのか?」
「ちがうよ。わたしはこれから二次転クエやるから、同じような人と待ち合わせ中だよ?」
二次転職クエってそこまで難しいのかな……ソロでも何とかなるのかな……なんか、また夜桜にイッテ来い言われそうだし……
「そっか。俺も夜桜と待ち合わせ中――――」
俺は後ろに殺気を感じてすぐさま横に飛びのいた。直後に、先ほどまで俺のいた位置に木でつくられたロッドが振り下ろされる。あと少し反応が遅れていたら頭を強打しかねない……
というか、こんなことする人物と言ったら……
「何すんだよ! 夜桜――――――おわっ!」
再び振り下ろされたロッドを今度は真剣白刃どり……死ぬ……マジで死ぬ……街中じゃHP減らないけど、精神的の殺される……
「リョーウぅぅぅぅぅ……そんなところで何やってるのかぁ……」
「笑顔が怖いです……夜桜さん……」
俺はロッドを眼前で何とか押さえつけつつ、苦笑いを浮かべた。俺……何もしてないのに……何で、夜桜はあんなに怒ってるんだよ!
「いきなり飛び出していって何してたのかなぁぁぁぁ……まさか、他の女の子とイチャコラ何てしてないよねぇぇ……」
「してねぇよ! 断じてしてぇよ!」
「リョウは何もしてないよ? わたしたちはここで偶然会って話してただけだよ?」
リリアの話を聞いて、夜桜はバックステップをしながら俺から一旦距離をとる……僧侶なのにどんだけのスピードだよ……あれ? 夜桜ってAGI上げてなかったような……
「本当にぃ?」
「おうさ! 本当だともー! それより、何でそこまでリョウに突っかかるの? 照れてるの?」
ド直球のストレートキターーーーー!! たぶん、夜桜は俺を心配してくれているだけだと思うけど、そこまでストレートに言いますかね……
「て、照れてるわけないじゃない!」
「ドウヨウヲカクセテマセンヨ……」
「う、うるさい!」
再び、夜桜は真っ赤になってる顔を隠しながら、レンガの床を蹴り飛ばして、俺に接近……今度は突然すぎて、俺の体が追いつかない……やば……マジで殺されるぅ……
肉薄する夜桜の手に握られたロッド……俺は吹き飛ばされることを覚悟した。
しかし――――――
ロッドによる鈍い痛みはいつまで経っても訪れることはなかった。ロッドは俺の目の前で何者かの手によって止められている……目の前にいるのは金属光沢のある堅いプレート装備を全身に来た人物だった。
「あんまり騒がない方がいいですよ? 野次馬が騒ぎますから……」
その人物は周りを軽く見渡した。俺たちもそれを見て周りを見渡す……気が付けば結構な人数が集まっていた……俺と夜桜は即座に真面目ぶって、背筋を伸ばした。
しかし……
「おー! 大ちゃん! やっと来た!」
「大ちゃ……お願いですからその呼び方はやめてください……」
俺は俺を悪魔から助けてくれた人物のアバターをよく見た。大人びている顔立ちをし、髪は目に入るかというぐらいの茶髪のストレート……身長は俺と同じぐらいかもしれない。年齢は分からないが、おそらく高校生だろう。一番俺が気になったのは顔につけた細いフレームの眼鏡……なんで眼鏡?
そう、仮想空間なのだから視野補正もかかっているはずなのだ。つまり、眼鏡はただのオプションとしてしかつけられない。なのになんで?
俺の疑問を一時的に引き裂くように夜桜は喋りだした。
「お二人はリア友かなにかですか?」
「ちがうよー。ただ単にフレンドなだけだよー!」
「そうですね。彼女とは2、3度パーティを組んだぐらいです」
それだけでこれだけの仲とは……恐るべし、リリアの元気パワー……
「そう言えばお二方はなんでこちらへ?」
「あぁ? 二次転だけど?」
「そうなんですか。僕は『大文字』というものです。僕らも二次転なんで、よかったらご一緒しませんか?」
おぉ! それはなんてナイスなものだ! このままじゃ俺一人で挑むところだった……それだけはマジ勘弁……
「すみません。私たちはまだ、二次転のNPCを見つけてないので……」
いきなり口を酸っぱくして答える夜桜……なんでこいつは意地を張ってるんだ?
「俺はもう受けたぞ?」
「えっ――――――!」
唐突な俺の発言に夜桜は当然のごとく驚く……まぁ、そうだよな。
「失礼ですが、お二方は何になるのですか?」
「私はプリースト……」
「俺は魔法剣士だ」
「魔法剣士ぃ! どうしたの? ソードマスターになるって言ってたのに!」
「まぁ、成り行きでな……」
文字化け+勝手な自己解釈で、なんて言えない……とっても言えない……
「魔法剣士ですか。それはまたずいぶん珍しいジョブを選びましたね。まだ情報も知らないんじゃないですか? リリアさんの『召喚士』並みに珍しいですよ」
『召喚士』ってどこでそんなジョブを見つけたんだよ……どこのNPCから受けたんだよ……
「あなたはプリーストですか。僕は『騎士』ですが、よかったらそのNPCのところまで案内しましょうか?」
「本当? いいの!」
「えぇ……リリアさんもそれでいいよね」
「もちろんさ!」
リリアは元気よく親指を上に立てて、片目をつぶって応答する。相変わらずに天真爛漫さだ……
そう言えば、何処でプリーストのクエを受けられるのだろう……
「お二方は、『イシス』には言ったことがありますか?」
「『イシス』ぅ? どこだそこ……」
「んーと、《女帝》の最奥ダンジョン前にある街のことですよ。戦争中はモンスターが少なかったので楽々行けたのですが、今は少々大変になりますね」
あぁ、そうか。戦争中はモンスターがある程度いなくなっているから、《皇帝》と《女帝》のフィールドを簡単に進めたのか……おそらく、彼の『ナイト』は《皇帝》の方の街で受けたのだろう。
「四人なら大丈夫なのさー!」
「そうですね。四人なら何とか突破できるかもしれません」
「こちらも大助かりです」
「では、さっそく……」
俺の目の前にパーティ申請のウィンドウが現れる。俺はそれに迷わず『OK』を押した。なんで、これは文字化けしないんだか……
しかし、夜桜は何か悩んでいるようだった。
「なんで、勝手に話を進めてるのよ!」
「夜桜は『イシス』に行かないのか?」
「行きますよ!」
結局夜桜も腕を大きく振りかぶって、『OK』の方にタッチ……だから、なんでそこまで意固地になっているんだ?
パーティ加入が完了すると、俺の視界の左上にHPバーが追加される。それとともに、二人の名前が可視化した。
名前は彼が自分で言った通り『大文字』となっている。リリアは相変わらず『liria』だがな……
とりあえず、パーティを組んだので早速出発……
◆◇◆◇
二人は一度、その街に行ったことがあるので門のところで転移可能だが、俺と夜桜は未踏の地なので普通に歩いていかなくてはならない……
ご迷惑をおかけします。本当に……
向かったのはゴブリン洞窟のすぐ横のダンジョンだ。ゴブリンダンジョンの後ろは当然のごとく山なので歩いて登るはめになる。ちなみに、ゴブリン洞窟もこの試練の山も同じ《女帝》のテリトリーだ。したがってあいつら……すなわち流星犬山大陸軍がいるわけだ。当然のごとく強いやつ?もな。俺がクエスチョンマークをつけるのにはわけがある。何故って? そりゃ、目の前の大文字さんが強すぎるからだろ……同じ20レべとは到底思えない……
リリアもリリアだ。なんで魔法使いなのに本とナイフを持っているのかね……あいつ、ソロでできるんじゃないのか?
俺と夜桜は負けじと剣を振るう。夜桜は後ろから炎の魔法を放つ。
えー、とりあえず、今の戦況をゆっくりとお話ししましょう。
まずは気になる大文字さんから……
大文字は犬の大剣を軽くかわし、頭に一発自身の大剣を振り落す。ここでスキル発動……剣士のスキル、『インパクト』。剣を縦ふりして、通常の何倍もの威力を一撃で出す技だ。
「せいやっ!」
掛け声とともに、装備しているはずの犬をたったの二撃でポリゴンの欠片にする。しかし、そんな大文字に今度は一斉に犬たちが襲い掛かる。しかし、大文字は焦ることなく、振り下ろした大剣を腰の位置に構える。
「はぁ!」
今度は剣を自分の体を軸にして一回転……この技は確か剣士スキルの『ローリングスピン』だっけ? どうやら、大文字はスキルポイントを完全に大剣技に振っているらしい。しかし、いくら剣士とはいえ、遠距離の魔法には弱いはず?
おいおい、飛んでくる魔法を大剣で切り伏せたぞ! ありか、それ!
そして、遠距離陣営はリリアが掃討している。なんだろう、リリアの素早いことと言ったら……剣や斧やら魔法やらに当たることなく、スイスイと避けている。速度を見るかぎり、俺とそこまでAGIは変わらないはずなのだが……
リリアは右手に持ったナイフと魔法で見事にコンボを繋げていく。あぁ、ちなみにこれは決してスキルではない。使っているのは魔法使いのスキルである『ファイアー』ぐらいだろう。一番よくわからないのがなんで、相手の攻撃を身をひるがえして避けながら、空中で魔法を放てるかな……ほんとにすごいわー。
それに対して俺たち……彼らが十匹倒す間に俺らはたったの三匹……
なんだか、この二人といると、敵とのレベルの差が感じられない……
◆◇◆◇◆◇
と、言うわけでほどなくして港町『イシス』に到着……海の向こうに見える島のような要塞におそらく《女帝》がいるのだろう……
仮想世界なのにサンサンと輝く太陽に、風に乗せられて漂う磯の香り……まさに海だなこれは……白レンガが太陽の光を反射しているのが、さらに俺の気分を湧き立てる……
俺たちはそんなイシスの修道会の中にいる女性のNPCに話しかけ、クエストを無事に受理する。これで、準備は整った。さぁ、次は二次転職クエのボス攻略のみだ。
◆◇◆◇◆◇
そう言うわけで、いろいろ装備を整え、俺たちはクエストに書かれた場所へとやってきた。場所は始まりの街から少し歩いた場所にある《死神》のテリトリー内の悪夢の館だ。出てくるモンスターのほとんどはゴースト系統だ。《死神》の直下なだけはある。
モンスターのレベルはそこそこ強いものの、四人なら、楽々突破できるレベルだった。そして、その悪夢の館の最奥にたどり着く……なんとなく予想がつくだろうが、転職クエなのでおそらくボスは強いな……
俺たち四人がボスの部屋の前の扉に触れると、いきなり視界がゆがんだ。おそらくイベントに突入したのだろう。つまり、前回のような奇跡は絶対に起こらない……
俺たちが目を開けると、そこは出口のないドーム状の空間だった。灯りはもちろん、不気味に揺れるたくさんのろうそくの炎……俺は思わず息を飲んだ。
直後―――――
ドーム全体に響き渡るようなくぐもった声が聞こえきた。
『ワレの館に土足で踏み入れた愚者どもよ。ワレの悪夢で永遠に眠り続けるがよい』
その声とともに、俺の目の前にウィンドウが表示される。そこにはクエストの新規概要が書かれていた。そこにはここを出るためにはこのクエストを破棄すればよいと書かれている。親切設計過ぎて涙が出てくる。
俺たちはほぼ同時に『OK』を押した。すると、何もない上の方から半透明のモンスターがゆっくりと降りてきた。モンスターは黒い布を身にまとい、目は片目だけ赤く不気味に光っている。口からは何やら紫色の煙を吐いていた。
モンスター名『ナイトメア』……こいつが二次転職のボスなのだろう……ボスの攻撃パターンはすでに情報屋から入手済みだ。恐れることはない。
ナイトメアが咆哮すると、その体の付近に何本ものHPバーが現れた。それとともに、俺たちは一斉に走り出す。
「ファイア!」
ファイアは一撃でナイトメアのHPバーの一本目の半分を削り取る。さすが、INTにほぼ振っているだけのことはある。それと、属性ダメージのおかげかな。
二回目のファイアを夜桜が放ったところで、ナイトメアの体が実体化した。二回目のファイアはまるで当たっていないかのようにHPバーは動かなかった。ナイトメアは急加速して夜桜に突進する。そして、機械の鋭い爪で引き裂こうと腕を振り下ろす。
ガギンッ!
甲高い金属音がなり、イシスで購入した俺のシルバーソードと金色に爪が交錯する。剣はカタカタと震え、防いだ俺の体は剣と爪がぶつかりあったまま、後ろにさがらせられる。
だが、これで再びナイトメアに隙ができる。その間に大文字とリリアが大剣とナイフで一気に切り裂いていく。二人の怒涛の攻撃は一瞬にしてナイトメアの一本目HPバーを全損させる。すると、再びナイトメアの体が半透明化……
それとともに大文字の大剣はナイトメアの体をすり抜けるようになった。
そう、ナイトメアは半透明化してるときは魔法しか効かない厄介ものだ。だが、実体化しているときは逆に物理しか効かなくなる。つまり、これは両刀(物理と魔法の両立)できる人か、パーティで行かなきゃ絶対に不可能だということだ。
ナイトメアは咆哮し、体から紫色の炎を周囲に放つ。その攻撃モーションの間に俺は距離をとる。しかし、素早いリリアとは正反対の大文字は当然のごとく逃げ遅れる。
しかし―――――
「バリアー」
夜桜が僧侶特有の補助スキルを発動して、大文字のダメージを軽減させる。大文字も大剣を縦のように使い、見事にガードした。
数分後、ナイトメアの体力はすでに最後のHPバーの半分に差しかかっていた。最後は実体化しているため、俺たちの出番だ。今回の闘いにおいてリリアに関してはソロで行けたのではないかと思うほどの強さだった。だが、俺も負けてはいられない。
「はっ!」
大文字の『インパクト』がナイトメアの頭に命中し、ナイトメアの体力が最後のHPバーの30%を切る。ここで、リリアが躍るような華麗なナイフのコンボを決め、さらに減少……もう20%を切っている。俺はそこで、剣士スキル『カット』を発動させる。カットは弧を描くように相手を切り裂く技だ。俺のシルバーソードが青色に輝き、ナイトメアの体力をさらに5%減らす。
ナイトメアは最後のあがきと言わんばかりに口に何かを溜めはじめた。この攻撃はフィールド全体を一気に薙ぎ払う技だ。回避位置はナイトメアの直下だけ、あとは気合で避ける。夜桜はすでに移動済み、大文字は着地しているために回避可能だろう。リリアはまだ空中コンボ中……俺はまだ、スキル後で空中硬直中……
問題なのはリリアと俺のわけだが、ナイトメアのターゲットは俺に向いている……
俺の体力はすでに半分を切っている。ガードすれば何とか耐えられるか?
ナイトメアから紫色のレーザーが放たれる。強烈な光エフェクトが俺の方に向かってきた。
しかし―――――
俺とレーザーの間に大剣を構えた大文字が割って入った。大文字は空中で吹き飛ばされながら俺とぶつかり、一緒に床に叩きつけられる。そこで、レーザーはフィールドを1回転するように周回する。リリアは空中でナイトメアを踏み台にし、もう一段ジャンプ……
ナイトメアのさらに上の安置へと回避する。俺と、大文字は周ってくるレーザーを剣で防御した。防御しているとはいえ、どちらもイエローゾーンにさしかかったことは確かだった。
大文字はレーザーが切れると同時に、俺の胸元を掴みあげ、そのままナイトメアに投げた。俺の体は一直線にナイトメアの方に向かって行く。まったく、なんて剛腕だよ……
俺はナイトメアとの距離を一瞬で縮めた。ナイトメアと肉薄した俺はラストアタックを開始する。ナイトメアの体力はリリアの続けざまのコンボにより残り10%ぐらいだ。
俺は剣を握る手に力を込めた。
「終わりだ! この野郎!」
俺のシルバーソードは青色の輝きを放ち、剣士のスキルを発動させる。発動したのは『断空剣』だ。
俺の剣は一度、昇竜のように上がり、その後、俺の体の体重を乗せて再び振り下ろされる。剣は赤いライトエフェクトとともにナイトメアの体を引き裂く。
それにともなって、ナイトメアの体力を完全に全損させた。
ナイトメアがポリゴンの欠片となって一気に砕け散る。
それとともに俺たちに経験値が一気に入ってきた。4分割なのでかなり少なくなっているが、俺のレベルを21にするのには十分だった。
俺は勝利の余韻に浸るようにゆっくりと着地した。それとともに俺の視界は再び歪み、気が付くと、あの扉の前に戻されていた……
これで、終了かな……後始末は他の人に任せよう。新キャラ登場させましたけどよかったのかなー。まぁ、いっか。とりあえず二次転クエをクリア!
次は一葉楓さんなので後始末よろしくお願いしますね。
それでは~ノシ




