リザードマン
愛が俺を見つけるとビクッと体を震わせた。
「あっ、ピーちゃん。ビックリした…音もなく入ってくるんだもん」
(スライムだからな。足音もしないしね)
愛はベッドの上に座って膝を抱えている。緊張しているのか、何も話さない。部屋の中に気まずい沈黙が漂う。
(仕方ない。明日も歩くんだから早く寝かさないと)
俺はベッドに跳ね上がって、愛の膝の上に移動した。愛がまたビクッとなる。
「あっ…」
愛の体が硬い。柔道部で鍛えた筋肉が緊張でさらに固くなっている。俺は少し離れて、やめておこうかと「ピー」と小さく鳴いた。
愛が顔を上げた。
「…ごめんね。すぐ脱ぐね」
愛が服を脱ぎ始めた。上着を脱いで、スカートを落とす。下着を外して全裸になる。
柔道部で鍛えた筋肉質な体に、大きな胸が乗っている。
(美穂より大きいな)
愛はベッドに横になった。目を固く閉じている。俺は愛の胸の上に乗った。体を薄く伸ばして胸全体を包み込む。先端の突起を挟んで振動する。柔道で鍛えた胸の筋肉の上に、柔らかい膨らみが乗っている。不思議な感触だ。
「ああっ…ダメッ…やめてっ…いやっ…」
愛が嫌がっている。俺はすぐに刺激を止めた。愛の顔を見る。やっぱり怖いんだろう。無理もない。3日間も男たちに無理やりされていたんだ。
俺は「ピー」と小さく鳴いて、愛から離れようとした。
すると愛が目を開いて俺を見た。
「ピーちゃん…ダメッ…やめないで」
(えっ? やめてほしいんじゃないのか?)
俺は再び胸に刺激を与えながら、体を下に伸ばしていく。愛の下の方に体を滑らせると、ツルツルだった。毛がない。割れ目が丸見えになっている。
(こういうのもあるんだな)
刺激を強めていくと、愛がまた声を上げた。
「ああっ…お願い…もう許してっ」
俺は刺激を止めた。愛が息を荒くして俺を見る。
「ああっ…ピーちゃん…ダメッ…もっと…」
(……わかった。愛はMだ。無理矢理されているのを想像して、俺でオナニーをしているんだ)
俺の体がプルンと震えた。愛の「やめて」は「やめないで」で、「許して」は「もっとやって」だったのか。3日間のトラウマが変な形で出ているのかもしれないけど、愛が望むなら容赦なくやらせてもらうぜ。
俺は奈々と同じように2つの穴に体をねじ込んでいった。同時に胸の刺激も続ける。さらに体を分岐させて愛の手首をベッドに固定した。動けないように拘束する。
「あああっ! ダメッ! いやぁっ!」
愛が絶叫しながら腰を浮かせて逃れようとしている。でも怪力スキルを持っているはずの愛が俺の拘束から逃げられない。スライムの粘着力は怪力でも剥がせないらしい。
「やめてっ! お願いっ! 許してっ!」
(でも体は拒絶してないよな。中が締め付けてくるし、腰は自分から動いてる)
俺は容赦なく5か所同時に刺激を続けた。胸2か所、前、後ろ、首筋。愛の体が弓なりに反り上がる。
「あっ…ああっ…いや…ダメ…そんなの…ああああっ!!」
愛の足がピーンと伸びて、体が硬直した。そしてそのまま動かなくなった。
(やばい。やりすぎたか)
恐る恐る愛の顔を見ると、安らかな寝顔だった。眠っているだけだ。俺は愛から離れて、布団をかけてやった。
(愛ちゃん、辛かった分だけ楽しんでくれ。明日からは前を向いて歩こう)
俺は静かに部屋を出た。廊下を渡って美穂の部屋に戻る。
美穂がベッドの上で待っていた。俺を見つけると安堵した顔をする。
「あっピーちゃん! 終わったの?」
「ピー」
「すごい声が聞こえてたけど…大丈夫?」
美穂が心配そうに俺を拾い上げる。
(大丈夫だよ。二人とも寝たよ)
「ピー」
「そっか。よかった。愛ちゃんも奈々ちゃんも寝れたならいいね」
美穂が俺を胸に抱いて布団に潛り込む。
「ねえピーちゃん」
「ピー?」
「私も…ちょっとだけ…」
美穂が耳元で囁く。顔が赤い。
(まだやりたいのか美穂。元気だな)
俺は美穂の胸に張り付いて、優しく振動した。美穂が小さな声を漏らす。昨夜より控えめだ。隣の部屋に気を使っているのかもしれない。
「んっ…ありがとうピーちゃん…」
美穂が微笑んで、そのまま目を閉じた。俺は美穂の胸の上で小さく震えながら、気配察知を発動する。周囲にモンスターの気配はない。安全だ。
(よし。今日も平和な夜だ)
翌朝。全員で朝食をとった。俺は異空間からパンと紅茶を出す。
奈々が目をこすりながら起きてきた。顔が少し赤い。
「おはよ…なんかすごくよく眠れた…」
愛も続いて起きてきた。少し恥ずかしそうに俺を見る。
「おはようございます…ピーちゃん」
「ピー」
「あの…昨日は…ありがとうございました」
愛が小さく頭を下げた。
「気持ちいいって思ったの初めてだったんです。ずっと怖いって思ってたのに…ピーちゃんだと安心して…」
美穂が微笑む。
「でしょ? ピーちゃんは優しいからね」
奈々がニヤニヤしながら俺を見る。
「美穂、ピーちゃんすごいよ。昨日私なんか…もう…」
「奈々! 詳しく言わなくていいから!」
美穂が慌てて止める。奈々がケラケラ笑う。
愛も少しだけ笑った。
「あの…もうさん付けしなくていいですか? 美穂さん、奈々さんって呼ぶの…少し距離がある気がして」
「もちろん! 愛って呼ぶね!」
美穂が愛の手を握る。
「うん。私も愛って呼ぶよ」
奈々も愛の肩を叩く。
「ありがとう…美穂、奈々」
愛の目が少し潤んだ。俺はそれを見て安心した。仲間が増えた。絆が深まった。
「よし、今日も出発だ!」
美穂が元気よく言う。俺も「ピー!」と鳴いて元気よく跳ねた。
ホテルを出て西に歩き始める。厚木の町を抜けて山道に入っていく。国道246号は山間部に入ると道が狭くなる。建物も少なくなる。
「この先は山道だね。気をつけて歩こう」
奈々が気配察知を発動しながら前を見る。俺も気配察知を発動する。LV2になったおかげで範囲が広がった。前方500メートルくらいまで探知できる。
「ピーちゃん、前方に気配がある。3つ…いや5つ。大型のモンスターだ」
奈々が足を止める。
「5つ? それは多いね」
美穂が緊張した顔になる。
愛が盾を構える。
「私が前で守ります。ピーちゃんが攻撃している間、私が二人を守ります」
「愛…ありがとう」
美穂が愛の肩に手を置く。
(よし。愛が盾になり、俺が攻撃する。奈々が気配察知で索敵する。美穂は…美穂は後方で安全にいてほしいけど、テイムスキルがあるから何か役に立つかもしれない)
俺は前方に跳ねていった。気配の方向は山道のカーブの奥だ。
カーブを曲がると、そこにいたのは今まで見たことのないモンスターだった。二足歩行のトカゲ。緑色の鱗に鋭い爪。身長は2メートル近い。
(リザードマンか? ゴブリンやオークより格上のモンスターだろう)
5体いる。それぞれが石の槍のような武器を持っている。
(これはきついかもしれない。でもやるしかない)
俺は体を針の形に変えて、スキル『体当たり』を発動した。先頭のリザードマンめがけて跳ねる。速い。LV10を超えた今の俺の体当たりは、ゴブリンなら一撃だ。
だがリザードマンは反応した。石の槍を盾にして俺の体当たりを受け止めた。
(硬い! ゴブリンとは全然違う)
「ピーちゃん!」
美穂の声が後ろから聞こえる。俺は即座に体を広げてリザードマンの槍に張り付いた。武器を封じる。リザードマンが慌てて槍を振り回すが、俺は離れない。
(今のうちに捕食する)
俺はリザードマンの腕に沿って体を這わせて、顔面に張り付いた。呼吸を封じる。リザードマンが暴れるが、スライムの粘着力は剥がせない。
「ガアアッ!」
リザードマンが叫び声を上げる。他の4体が反応して俺に向かって槍を突き出してきた。
(まずい。4体同時に攻撃されたら美穂たちの所に行く前にやられる)
「ピーーーッ!!」
俺は叫んで、1体目の捕食を急いだ。体がリザードマンを包み込んでいく。鱗が溶けていく感覚。数秒で1体目が石になった。
残り4体が槍を構えて俺に向かってくる。俺は地面に着地して、即座に2体目に向かって跳ねた。
だが2体目と3体目が同時に槍を突き出してきた。俺は空中で体をひねって回避する。スライムの体は空中でも自在に動ける。
「愛ちゃん! 来るよ!」
美穂が叫ぶ。4体目と5体目が俺を無視して美穂たちの方へ走り出した。
「来なさい!」
愛が盾を構えて前に出る。4体目の槍が愛の盾に当たった。ガッという金属音が響く。愛が少し後退したが、持ちこたえた。
「愛!」
奈々が愛の後ろに隠れて声を上げる。
俺は2体目に張り付いて捕食を始めた。3体目が俺を引き剥がそうと槍で突いてくるが、俺の体はゼリーだ。槍が突き刺さってもすり抜ける。
2体目が石になった。俺は即座に3体目に飛びついた。
愛の方は4体目と5体目の2体を相手にしている。槍の攻撃を盾で防いでいるが、二体同時だと押し込まれている。
「くっ…重い…」
愛の声が苦しげだ。怪力スキルがあるとはいえ、二体同時はきついらしい。
俺は3体目を急いで捕食した。そして愛の方に向かって跳ねた。
「愛! 今行く!」
言葉にならない「ピーーーッ!」という叫びと共に、俺は4体目の背中に飛びついた。顔面に張り付いて呼吸を封じる。
4体目が暴れている間に、愛が5体目の槍を盾で弾き返した。そして盾で横に押し倒す。
「今です!」
愛が叫ぶ。俺は4体目の捕食を完了して、最後の5体目に飛びついた。5体目は倒れた体勢から起き上がろうとしていたが、俺が顔面に張り付いて動けなくなった。
数秒後、5体とも石になった。
【レベルが14に上がりました】
【スキル『槍術』を奪いました】
【怪力スキルがLV3に上がりました】
【体当たりがLV2に上がりました】
(やった。レベルが一気に上がった。槍術も奪えた。怪力もLV3になった)
「ピーちゃん大丈夫!?」
美穂が駆け寄ってくる。
「ピー!」
「よかった…5体もいて心配したよ」
奈々もへたり込んでいる。
「強い…リザードマンとかいうの? 今までのモンスターと全然違う」
愛が盾を下ろして息を吐く。
「盾がなければやられていたかもしれません。槍の一撃がすごく重くて」
「愛ちゃん、ありがとう。盾のおかげで私たち無事だよ」
美穂が愛に抱きつく。愛が少し照れて、でも嬉しそうに微笑んだ。
(愛の怪力がLV3になったらもっと盾が使えるようになるはずだ。それに俺の体当たりもLV2になった。どんどん強くなっている。富士山のラスボスに勝てるかもしれない)
「ねえ、これからもっと強いモンスターが出てくるよね?」
奈々が不安そうに言う。
「うん。ゲームマスターがどんどん強くなるって言ってたから」
美穂が頷く。
「でも大丈夫。ピーちゃんがいるし、愛も盾で守ってくれるし、奈々も気配察知で敵を見つけてくれるし」
「そうだよね。私たちは最強のパーティだよ!」
奈々が元気よく言った。
「はい! 4人で富士山まで行きましょう!」
愛も拳を握る。
ポヨン。
ポヨン。
俺は美穂の肩で跳ねながら、前を向く。
山道は続く。富士山はまだ遠い。でも仲間が増えて、絆が深まって、俺たちは強くなっている。
(美穂。奈々。愛。三人を守り抜いて、富士山のラスボスを倒す。それが俺の使命だ。)
「ピーーーッ!!」
俺は空に向かって精一杯の声を上げた。
廃墟の山道に、俺たちの声が響いた。
冒険はまだ始まったばかりだ。
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