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文化祭の様子がおかしい3

 文化祭の出し物を決めた俺たちは放課後の教室に集まっていた。

 今日から本格的に準備を始めるらしい。


「よし!! 始めるぞォ!!」


 山田先生が叫ぶ。


「まずは準備運動だ!!」


「いらないです」


「文化祭は体力勝負だ!!」


「違います」


「全員、グラウンドへ集合!!」


「なんでだよ!!」


 結局、俺たちはグラウンドを走らされた。

 文化祭の準備なのに。


「一周追加だァ!!」


「先生、何でですか!?」


「声が小さい!!」


「十分大きいですよ!!」


「もう一周!!」


「理不尽すぎる!!」


 数十分後。

 俺たちはようやく教室に戻ってきた。


「では、準備を始めましょう」


 田中が腕章を整える。


「まずは教室の装飾からです」


「やっと普通の準備ができる……」


 俺は安心した。

 そう思ったとき。


「完成した」


 佐々木が言った。


「何が?」


「宇宙船」


「…………」


 教室の後ろを見る。


 段ボールとアルミホイルで作られた巨大な物体があった。


「いつの間に作ったんだよ」


「昨日の夜、徹夜で作ったんだ」


「学校に持ってくるなよ」


「宇宙船だから」


「ただの段ボールだろ」


「地球人にはそう見える」


「便利な設定だな」


 佐々木は満足そうに宇宙船を叩いた。


「これで宇宙カフェができる」


「異世界体験型カフェな」


「そうだった」


「忘れてたのかよ」


 その横では、高橋が床に何かを描いていた。


「何してるんだ?」


「魔法陣」


「文化祭の準備で?」


「うん」


「何に使うんだ?」


「料理を出す」


「普通に作れよ」


「魔法のほうが早いよ」


「危ないからやめろ」


「大丈夫だって」


 高橋がステッキを構える。


「光よ――」


「頼む田中」


「はい」


 田中が高橋の肩を掴んだ。


「校内での魔法の使用は禁止です」


「なんで!?」


「危険だからです」


「昨日は使ってよかったじゃん!」


「昨日は私が知らなかったからです」


「そんな!?」


 高橋が俺を見る。


「…助けて」


「今回は田中が正しい」


「裏切り者!」

「バディなのに!」


「俺は最初からバディじゃない」


 その頃。


 転校生は教室の壁を見つめていた。


「ここに玉座を置きましょう」


「玉座?」


「王女の席です」


「お前の?」


「はい」


「ここカフェだぞ?」


「王女が客を迎えるのです」


「それ、カフェじゃなくて謁見の間じゃない?」


「似たようなものですよ」


「全然違うだろ」


 転校生は真剣な顔で続ける。


「それと、入口には我が王家の紋章を」


「それ文化祭で必要か?」


「必要ですよ」


「なんで?」


「王女なので」


「今世は高校生だろ」


「前世は王女でしたから」


「その理屈無法すぎるだろ」


 俺は教室を見渡す。


 宇宙船。

 魔法陣。

 王女の玉座。

 ……そして田中が壁に貼った、


『廊下を走らない』

『大声を出さない』

『校内での魔法禁止』

『前世からの交際に関する規則』


「最後の何だよ」


「風紀維持のためです」


 俺は頭を抱えた。


「もうめちゃくちゃだ……」


 そのとき。


「おい」


 佐々木が俺を呼んだ。


「何?」


「この宇宙船、操縦士が必要だ」

「頼むぞ相棒」


「お前がやれ」


「俺じゃ動かせない」


「俺なら動かせるのか?」


「ああ。主人公だからな」


「メタ発言するな」


 高橋もやってくる。


「じゃあ私は助手席ね」


「だからバディになった覚えは――」


「よろしくバディ」


「最後まで言わせろ」


 転校生も近づいてくる。


「あなたは私の騎士なので」


「前世の話を今世に持ち込むな」


 田中が俺を見る。


「あなたは準備をサボっていますね」


「お前らのせいだよ!」


 そして山田先生が叫ぶ。


「お前らァ!!」


「今度は何ですか!?」


「気合いが足りん!!」


「何が!?」


「もっかいランニングだ!!」


「またそれですか!?」


 俺は教室を見渡した。

 宇宙人。

 魔法少女。

 前世の恋人。

 風紀委員。

 昭和の体育教師。

 そして、その全員に振り回されている俺。


「……文化祭って、こんなに大変だったっけ?」


「………」


 誰も答えてくれなかった。

 教室の隅で佐々木が宇宙船を改造している。


「……これ、ワープ機能も付けられるな」


「付けるな」


 文化祭まで、あと少し。

 しかし、俺はすでに疲れていた。

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