文化祭の様子がおかしい1
ホームルームの時間。
担任の山田先生が黒板に大きく文字を書いた。
『文化祭』
「お前らァ!!」
「はい」
「今年も文化祭の季節がやってきたぞ!!」
「なので各クラス、出し物を決めてもらう!」
「普通だ……」
俺は思わず呟いた。
最近、まともな学校生活を送れていない気がする。
だからこそ、こういう普通の学校行事が少し嬉しかった。
「先生は何がいいと思います?」
「俺は体育祭を推す!!」
「文化祭の話ですよ」
「なら、文化祭で体育祭をやる!!」
「やめてください」
早くも不穏な空気が漂い始めた。
「では、委員を中心に話し合え!!」
田中が立ち上がる。
「では、まず風紀を乱さない出し物を考えましょう」
「普通の文化祭ならそれでいいんだけどな……」
佐々木が手を挙げる。
「俺は宇宙カフェがいい」
「何それ」
「宇宙食を提供する」
「誰が来るんだよ」
「宇宙人」
「ターゲットは地球人にしろ」
高橋も手を挙げる。
「私は魔法少女喫茶がいい!」
「普通のメイド喫茶と何が違うんだ?」
「魔法で料理を作るの!」
「なんか怖いからやめろ」
「ひどい!」
転校生が静かに手を挙げた。
「私は演劇がいいです」
「珍しく普通だな」
「前世の私たちの物語を再現するんです」
「全然普通じゃなかった」
「あなたが騎士役で」
「もしかして俺、出演すること決まってる?」
「当然です」
「当然じゃない」
そんな会話をしていると、田中が眼鏡を押し上げた。
「却下です」
「宇宙人、魔法少女、前世の恋人劇。すべて風紀を乱す可能性があります」
「まあ確かに」
「では、私が提案します」
田中は黒板に大きく書いた。
『風紀委員による風紀講座』
「いや絶対つまらないだろ」
「何ですって?」
「…なんでもない」
俺は頭を抱えた。
普通の文化祭。
ただそれだけだったはずなのに。
気づけば黒板には、
『宇宙カフェ』
『魔法少女喫茶』
『前世の恋愛劇』
『風紀講座』
と、意味の分からない候補が並んでいる。
そして山田先生が最後に一言。
「俺はお化け屋敷がいい!!」
「先生、それだけは普通ですね」
「ただし、驚いたやつは全員指導だ!!」
「やっぱ普通じゃないですね」
俺は確信した。
この文化祭が、絶対にまともには終わらないことを。




