転校生の様子がおかしい
今日は転校生が来るらしい。
担任の山田先生が教室に入ってくる。
「お前らァ!! 席につけェ!!」
「先生、そのキャラもうやめてください」
「これが俺の普通だ!!」
「先週まで違いましたけど」
「うるさい!!」
山田先生は黒板に大きく文字を書いた。
――転校生
「今日からこのクラスに新しい仲間が加わる」
その瞬間、教室の扉が開いた。
「失礼します」
入ってきたのは、長い銀髪の女子だった。
教室を見回し、そして――
俺を見る。
「…………」
「…………」
なぜか目が合った。
すると彼女は、驚いたように目を見開いた。
「……やっぱり」
「?」
彼女は俺のところまで歩いてくる。
そして。
「お久しぶりです」
「……は?」
「ずっと探してました」
「誰?」
「あなた」
教室がざわつく。
「えっと……どこかで会ったことあったっけ?」
「あります」
「いつ?」
「前世」
「…………」
俺は頭を抱えた。
またか。
また変な奴が来た。
「私たち、前世では恋人だったんです」
「…………」
「今世でも、あなたを見つけることができてよかった」
「ちょっと待って」
「何?」
「初対面だよね?」
「今世ではそうですね」
「なのに恋人?」
「前世では」
「ややこしいな」
彼女は真剣な顔をしている。
冗談を言っているようには見えない。
「ちなみに前世の俺は何してたの?」
「騎士です」
「俺が?」
「はい」
「へえ……」
少しだけ嬉しい。
「私は王女でした」
「なるほど」
「そして私たちは、禁断の恋に落ちたんです」
「急に壮大になったな」
「身分の違いから引き裂かれた私たちは、最後に……」
「待って」
「何ですか?」
「その話、今ここでする?」
「大事な話なので」
「クラスメイト全員いるんだけど」
周りを見る。
クラスの全員がこっちを見ている。
そして、その中には高橋もいた。
高橋が俺に近づいてくる。
「ねえ」
「ん?」
「この子……」
高橋は転校生をじっと見る。
「魔力がすごい」
「お前もそっち側かよ」
「いや、本当にすごいよ」
高橋がステッキを取り出す。
「ちょっと調べてみる」
「学校で魔法使うな」
「大丈夫」
高橋がステッキを転校生に向ける。
すると、ステッキの先端が光った。
「……!」
高橋の顔が変わる。
「やっぱり……」
「何?」
「この子、普通じゃない」
「お前にだけは言われたくないだろ」
転校生は高橋を見る。
「あなたも……魔法を使えるんですか?」
「え?」
「私も、前世では回復魔法を使えたんです」
「…………」
高橋が固まった。
「魔法のこと知ってるの?」
「もちろん」
「……すごい」
「信じるな」
高橋は目を輝かせている。
「魔法を使える人、私以外にいたんだ……!」
「そこ感動するところなの?」
すると、後ろから佐々木がやってきた。
「なるほど」
「何が?」
「つまり彼女は、宇宙から来た転生者だな」
「なんでそうなる」
「宇宙人が今世に転生してきたんだ」
「じゃあ俺は?」
「お前は……」
佐々木が俺を見る。
「地球人」
「なんでだよ」
転校生は俺を見つめる。
「安心してください」
「何が?」
「私は今世でもあなたを愛しています」
「初対面なんだけど」
「問題ないです」
「問題しかないだろ」
すると転校生は、俺の机の上に小さな紙を置いた。
「これを見てください」
「何?」
そこには、古びた写真が貼られていた。
真ん中には、転校生とそっくりな女性。
そして、その隣には――
俺とそっくりな男性が写っていた。
「…………」
俺は言葉を失った。
「これ……」
「前世の私たちです」
「………まじで?」
本当に前世の記憶があるのか?
俺が写真を見つめていると、転校生は小さく笑った。
「今度こそ、ずっと一緒にいましょうね」
「…………」
その瞬間。
高橋が俺の腕を掴む。
「同志ができたのは嬉しいけど、この人は私のバディだから」
「バディ?」
「そう。私と一緒に世界を守るの」
「いや、俺は魔法少女のバディになった覚えはないぞ」
「今なったの」
「勝手に決めるな」
「でも昨日、私の魔法を見たでしょ?」
「見たけど」
「じゃあバディ」
「どういう理屈だよ」
転校生は高橋をじっと見る。
「あなた……彼のことが好きなんですか?」
「…………」
「え?」
高橋の顔が赤くなる。
「ち、違う!」
「違うから!」
「じゃあ、なんでそんなに怒っているんですか?」
「怒ってない!」
「顔が赤いですよ」
「これは……魔力が高まってるだけ!」
高橋は俺の腕をさらに強く掴む。
「とにかく!」
「こいつは私のバディだから!」
「だからバディになった覚えはないぞ」
「細かいことはいいの!」
「よくないだろ」
転校生は少しだけ笑った。
「なるほど」
「何が?」
「あなたも、彼のことが好きなんですね」
「だから違うって!!」
教室中に高橋の声が響いた。
俺は頭を抱える。
すると、後ろから佐々木が肩を叩いてきた。
「何だよ」
「お前、ついに宇宙人に目をつけられたな」
「………」




